第3話 綺麗になーれ

自分は春になると桜の木の下で花見を行うんですよ。1人で酒を飲みながらグイッとするのがとても好きで、酔いながら見る桜の花びらがひらひら舞う姿なんてもうそれは素敵で、毎回見惚れしまうほどです。また自分には気に入っている桜の木があるんですよ、それはもう他の桜の木よりも美しく、そこで花見を行うことが春での唯一の楽しみなんです。ある時自分、結構酔っ払ってしまって何故かそこの桜の木の下の土を掘ってたんですよ、手でごりごりって。おかしいですよね(笑)。掘っていたらあるものを発見して、一気に酔いが覚めたんですよ、、それは人間の白骨死体だったんですよ。見た瞬間とても驚いて、今にも叫びそうだったんですけど、でもふと我に返ったんですよ。

"あぁーだから綺麗なのか"ってね

言い伝えとか都市伝説であるじゃないですか、「桜の木の下には死体が埋まってる」って。桜が綺麗な理由はそういうことなんですよ。とある誰かの死のおかげで桜は綺麗に咲き、ヒトはそれに集る。死体現場と同じです。死体が発見されるとどこからともなく野次馬ができるように。桜もそうなっているです。だからこれからもこの桜が一生綺麗にいられるようやらなきゃならないんです。綺麗になーれってね。

ん?なにをって?

すぐわかりますよ、だってあなたは今からその桜の糧になるんですから。

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