『大怪獣 ネアゲラー V.S. ネサゲラー』

やましん(テンパー)

『大怪獣 ネアゲラーV.S.ネサゲラー』

 

 『これは、フィクションです。経済理論等、は、考慮されていません。』




 怪獣銀座として世界的に知られるジャップーン国に、またしても、古代の大怪獣が迫っていた。


 南からは、ネアゲラーが。


 北からは、ネサゲラーが。


 かつて、近代の始めに一度現れて、大混乱を巻き起こしていたから、その記憶はまだ、なんとなくは、残されていたのである。


 しかし、当時は貨幣経済が未熟で、あまり決定的な経済理論もなく、しっかりとした記録もない。ただし、映像はある。ネアゲラーとネサゲラーの姿は判っているのだ。


 ただし、だから、未来から派遣された、ネアゲラーも、超次元から来た、ネサゲラーも、当時はまだ、十分には、その真価を発揮できなかったのである。それは、西暦2030年あたりのことだった。


 どちらも、あちこちで食べまくった末に、なぜだか分からないうちに、いなくなってしまっていた。


 そのとき、人類は、絶命の危機にあった。



      🦖 🦕



 大蔵経済省外局怪獣部は、エリートの落ちこぼれ部屋になっていた。


 このところ、怪獣の襲撃が止まり、あまりやることのない、ナヤ・マーシン係長は、丁度、古い怪獣の資料を漁っていたのである。


 そこに、第一報が来た。


 『係長、海洋保安隊が、太平洋にて身体が異常に長い巨大海洋生命体に接触。体長、約150メートルか、それ以上。さらに、北太平洋にて、漁船がまんまるな巨大生物に遭遇したとの情報あり、直径約200メートル。たくさんの触手あり。』


 『長いのと、真ん丸の、か。』


 『ネアゲラーと、ネサゲラーでは?』


 主任が言った。


 『ばかな。500年も生きてるか? しかし、そうかもな。子孫かしら。』


 『1000年近く、生きる怪獣は、いますよ。』


 『まだ、未確認なんだろ?』


 『捜索中ですが、時間はかからないでしょう。すぐに、市場を閉鎖すべきです。』

  

 『確認してからだ。そのように、決まっている。しかし、閉鎖準備ら! 各トップにだけは伝えてくらさい。』


 『わかりました。大臣が怒り狂うでしょうな。』


 『じき、総選挙なんだしね。覚悟はしてるよ。あのひとたちは、常時命がけなんだから。怪獣くらいではびくともしないさ。しょっちゅう来るしね。しかし、ネアゲラーとネサゲラーなら、話しは、違うな。さらに、問題は相場や物価だ。世界では、怪獣はもはや、必ずしもリスクではない。すでに、怪獣バリヤーが張り巡らされていて、街の中では暴れることはできない。闘いの場は、限られてるんだ。もんだいは、ネアゲラーの値上げ念力超能力と、ネサゲラーの対抗値下げ光線だな。どちらも、技を磨いてきていたに違いないから。こちらも、かなり、根性入れてやらなくては。力比べになるぞ。』


 『なら、こちらも、総力戦やりますか。介入師を10人全員集めましょう。』


 『ああ、ただ、誰の為にやるのか? そこが問題だよ。悩ましいな。』


 超能力集団『為替・相場等介入師』は、この事態に備えて、ばっちり、訓練を重ねてきていた。時給20万ドリムの高級とりたちである。


     🍱


 某やましんは、電光値札で、399ドリムのお弁当にするか、320ドリムのおうどんにするか、迷っていた。


 そのときである。


 スーパーさんの天井の一部分が、崩れたのは。

  

 ネアゲラーの念力は、ときに、破壊的な力にもなるのだあ。


 『ネアゲラーだあ!』


 という、叫び声が上がった。


 『ありえないだろ。バリヤーはどしたあ!』


 『バリヤーは、破られたと、ニュースが入ったぞお。』


 付近の店の電光値札は、あっちゅうまにはね上がった。


 お弁当は、いったん、610ドリムになった。(注: 1ドリム=1円)


 しかし、ネサゲラーも迫ってきていた。


 値下げ光線が、付近を飛んだのである。


 ネサゲラーの、値下げ光線は、半径200.0キロの範囲に、影響を与える事ができる。


 電光値札は、反転、250ドリムに下がったが、すぐに500ドリムになった。


 買うほうは大変である。


 スマホを見ながら、あちこち、お店を飛び回る。


 しかし、年寄りは、そうもゆかない。


 某やましんは、その場に座り込んで、様子眺めとなった。落ち着くのを待つ作戦である。レジは大混乱している。命の危険がある。


 ひとは、人をつきとばし、暴れまわった。


 

      🙏


 『うんじゃあまいやら。うんじゃあまいやら。うんじゃあまいやら。ぜに、くいに、こう。うん。うんじゃあまいやら。うんじゃあまいやら。………』



 介入師たちは、熱い、祈りを捧げていた。


 ひみこさま、あたり、から世に知られずに続くという、秘伝の術である。


 主任と係長は、たくさんの、データとにらめっこしていた。


 『西側が高すぎだ。西に祈りを集中化しろ。』


 ナヤ・マーシン係長が、叫んだ。


 そこに、大臣からの指令が飛んだ。


 『レベル4で、高止まりさせろ。しくじったら、くび。』


 ナヤ・マーシンは叫んだ。


 『くそ。そら、レベル4だ。高止まりさせろ。しくじるなあ。』


 『うんじゃあまいやら。うんじゃあまいやら。たか、めん、くいに、こう。うん。うん。うん。うんじゃあまいやら。〰️〰️』


 消費者は、いっせいに、高いほうを買いにはしった。


 しかし、某やましんは、不感応者である。

 

 いまだ、安いほうを狙っている。


 

 『くっそう。くっそう。』


 ナヤ・マーシン係長は、独り言を繰り返していた。



 そうして、この壮絶な闘いは、いまだ、続いているのだ。 😱





 

   🙇🙇🙇🙇🙇🙇🙇



     おわり



       ぽ


 


      🐼🐻🐰


 注: ネアゲラーとネサゲラーの姿は、『近況ノート』にあります。















 



 


 


 


 

 


 

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