4話目


「はぁ~、お腹もいっぱいいっぱいなので、のんびりタイムに突入でーす」


近い距離から話しかけるイメージで。

「そういえば最近はあまり話せてなかったけど、そっちの生活はどう? ココと比べたらどこも夢いっぱい遊びいっぱいの都会みたいなものなんでしょ」


「え? 思ってたのと違う? そんなに甘い話は無かった……って、そんなに落ち込みそうな程にアレだったの???」

「そっかー、それは大変だったね。こっちはこっちで近くにいるからって肉体労働に駆り出されるけど、完全に別種の大変さなのかも。これでもおねーさんはは大学で勉強する身なのにね~」


「でも、おねーさんと違ってあなたは頑張ってるわよね。それは十分すごいことよ」

「勉強でも仕事でも、あなたはいつも頑張ってたわ―。私はそれを見て偉いなーって何度思ったかしら」


「ほら、私は昔から人混みが苦手な田舎暮らしでしょ。たとえどんな目標や夢、単にお金が欲しいからって理由だとしても、それで頑張れるあなたはすごいわけですよ」

「褒めすぎ? そんなこと無いよ、全然足りないぐらいだから」


「直接は聞いてないかもしれないけど、親戚の人も話題にしてたりするのよ。あなたはたくさん頑張れちゃう人だから自慢できるって」

「同時に、頑張りすぎないか心配だってね」


「実際頑張りすぎてたりしないでしょうねー? 都会じゃ頑張りすぎが原因で体調が悪くなっちゃってー、って聞くわよ」

「おそろしやおそろしや。のんべんだらりとやってる田舎では味わえないわぁ、おそろしやー」


「ふざけすぎって? ふふふっ、何言ってるのっ。恐ろしい事を暗ーく話したりなんてしたらますます気がめいっちゃうじゃない。こういうのはね、明るく笑い飛ばそうとするくらいがいいのよ」


「ねえねえ、もし何かあるならいつでも頼っていいんだからね。おねーさんはずっとあなたを見てるし、周りが何を言おうとあなたの味方だから!」

「そう、おねーさんは味方なのです!!」(強調)


「……あ、でもでも。あなたが頑張りすぎると私が比較されちゃって大変かもしれないから、その辺りも加味してほどほどの方がイイのかも」

「その……もし私が何か言われそうだったら助けてくれると嬉しいなー、なんて」


「うんうん、あなたならきっとそう言ってくれると信じてたわ。ピンチの時はお互いさまということで、ひとつよろしくね♪」


(頭をなでる音)


「…………あらあら、お腹がいっぱいになって眠くなったのかしら。目がとろーんとしてて、今にも眠っちゃいそうよ?」

「なーんにも気にせず、眠ければ寝ちゃえば? 誰にも邪魔されないでお昼ねするのは健康にいいのよ」


「枕はいる? お布団しこうか?」

「あ! せっかくだからおねーさんが膝枕してあげようか?」

「遠慮することないのよ。昔はよくしてあげたじゃない」


「というか、おねーさんがしてみたいの。ね、いいでしょ?」

「ふふふっ、素直でよろしい♪」


「はい、それじゃあどーぞ。ゆーっくり頭をおろしてね」


頭のすぐ上からのイメージ

「高さはどうかしら、首は痛くない?」

「うん、よかったよかった。それじゃあ後は好きな時に寝てOKよ」



「そんなこと言われてもいきなり寝れるわけもないって?」

「んー、じゃあ眠くなるまでこんなのはどうかしら」


(団扇でゆーっくりぱたぱたと仰ぐ音)


「少しは涼しい?」

「こうやって団扇で仰ぐのって、お母さんがよくやってたんだけど……不思議なぐらい心地よくて油断するとすぐに寝ちゃったのよね」


「ぱたぱた、ぱたぱた……」

「そよそよ、そよそよ……」


(気持ちのいい風が吹き、風鈴の音が鳴る)


「あなたは段々眠くなーる、あなたは段々眠くなーる……」

「ふふっ、ごめんなさい。ちょっとふざけてみただけよ」


(小声で)「子守歌はどうかしら。どんな歌詞だったっけ……」


「ねーんねーんころりーよ、おころーりよ~♪」

「ぼうや~、よい子だねんねしな~♪」

「いーまも昔も……かわりな……あれ?」

「(にっぽん昔ばなしOPっぽいが微妙違うリズムを口ずさむように)ふ~ん、ふんふんふ~ん、ふんふん…………ふふふふふ~ん?」

「なんか違うような……これで合ってるような……あれ~?」

「まあ、いっか。きっと合ってる合ってる」


「どうどう、眠くなってきた?」

「ええ、効果無しか~。ざーんねん」


耳元でしゃべるイメージで。

「……あれぇ、よく見たらこのお耳さんはお掃除が必要そうですね~?」

「ふっふっふっ、お客さんラッキーですよ♪ 今ならなんとおねーさんのお耳掃除がタダでついてきますからね~」

「ちょっちょっ、そんな怪しむような目を向けないでも大丈夫だってば。やるならちゃーんとやりますからね」


 ドラえもんのようなイントネーションで

「じゃじゃーん、使いやすい耳かきぃ~~」

「よーし、じゃあまずは右耳からね」


→より耳の近くから囁き声で語りかけるイメージ

「ん~~…………」

(以降、耳かきをする音を幾度も挟むイメージ)


「こりこり、ほじほじ…………」

「ちょーっと奥まで失礼しますね~…………」

「うんしょ、うんしょ」

「ん、もうちょっともうちょっと」


「はい、綺麗になりましたよー」

「仕上げにふ~~~~~」


「ふふふっ、くすぐったかった?」

「でもコレでスッキリしたでしょ」


「はい、じゃあ反対でーす♪」


左耳の至近距離から囁き声で聞こえるイメージ

「こりこり、ほじほじ…………うりうり、やりやり」

「はーい、またまた奥まで失礼しま~す…………」


「えいしょ、えいしょ」

「ん、もうちょっ……と、ちょっと頭を動かして失礼~……そうそうその位置その位置」


「コッチはもっと念入りにやっときますね~」

「こりこり、ほじほじ……こしょこしょ」

「くすぐったかった? ごめんね♪」


「…………はーい、おしまいでーす」

「と見せかけて、仕上げの……ふ~~~~~」

「ふふっ、私の耳かきも大したもんでしょ。ハマったら他のじゃ満足できなくなっちゃうんだから」


「……あら、大分瞼が重くなってきてるみたい」

「いいのいいの、そのまま頭を預けてて」


(頭をなでなでする音)


「なでなで、なでなで……」

「ふふふっ、キモチイイでしょ~」

「んっ、ちょっとぉ……もぞもぞしたらくすぐったいわ」


(猫の鳴き声が聞こえる)


「あ、猫ちゃん。キミはさっきまでへそ天してたのに起きちゃったの?」

「だめだめ、だーめだよ。こちらで膝枕されてる人は、今からおねむだから。邪魔しちゃだーめ」


(猫がにゃーんと鳴く)


「え、ええ~…………そんな自分からすり寄るなんて……う、うらやましい。私が触ろうとするとけっこー逃げるくせにぃ」

「もしかしなくても猫ちゃんってば、都会人が好きなのかなぁ」


「う、うそ……すり寄るどころか体の上に乗って箱座りしてるッ」

「い、いいなぁ~……猫ちゃんが体の上でゴロゴロしてるの、いいなぁ~……」

「私だったら一分持たずに寝落ちしてるよ」


「もー、膝枕してもらって、団扇であおいでもらって、その上猫ちゃんに甘えてもらえるなんて……贅沢すぎるぞぉー」

「これはもうアレだね。とことんのんびりくつろいでもらうしかないよ」


「ふふふっ、寝たふりしてもダメよ。まだ起きてるって、わかるんだから……」

「いつでも寝ていいからね~」


「なでなで、なでなで……」

「実はおねーさんはね、何を隠そうあなたを甘やかすのが大好きなのでした~。秘密だけどね」


「……んぅ~、今日が気持ちのいい涼しい日でよかった」

「暑すぎるとまいっちゃうからね」


「冷房要らずで扇風機もちょっとだけしか使わない」

「やっぱり自然の風が一番いいわね」


「のんびりのんびり、ゆったりと」

「ゆ~~~っくりお休みしましょうね」


(猫が一鳴き)

(風鈴が涼しげに鳴る)



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