第三章〜3
到着すると
「ごめんね。詩絵留……」
「ううん」
「
「うん……、それはいいけど……」
ん? 創斗くんが指さした方向を見ると。
「おー、何かゲームみたいでワクワクするな!」
え、え、な、何でマーキュリーがいるの!?
「ひ……ヒポタン、マーキュリー!」
その名を聞いた
「なんと
ダンドリの悪いカバは、切り替えはめちゃくちゃ早い。
「えー、何で考える間もなくそんなこと言えるの!」
「ん? 何の話? 俺、何かやるの?」
私の
「あー、さっき二人が世界だの悪だのいってたのってこのことなんだ?」
聞き終わったマーキュリーは二つ返事で頷いた。
「いいよ! 俺のとーちゃん、元
「マーキュリー歌だけじゃなくて精神も
「なんと
わたしも創斗くんも結果は出してるのに失礼な話だな!
「とりあえず、マーキュリーは準備が必要でしょ。わたしは先に行くよ」
「僕が
キラキラした表情の美少女は、マーキュリーにあれやこれや装備を身につけさせていた。
「もうすぐタスクも合流するから、ボクとマーキュリーはそれに
わたしは
「ブートオン! チェンジ!」
そして移動の体制に入った。
「トランスポート起動!」
創斗くんの言葉と共に、わたしは移動した。
『自作の物理サーバーなんだね。まあ、クラウドで
「ねー、クラウドって何なの?」
『
「へぇ、創斗くんって本当に色々知ってるよね」
浮かんだ
『詩絵留ほどじゃないけどね。詩絵留のお兄さん、
創斗くんは、いつも
『
「ありがとう詩絵留。じゃ、創斗くん、来るまで情報収集しよっか!」
わたしは飛び上がった。
上から見ても四角い箱。前後左右どこから見ても同様だ。
「ハクティビストJ、姿が見えないんだよね。どこにいるんだろう?」
『うーん、なにかはいる気がするけど。ヒポタン、今データ送ったけど分かる?』
『えー、ちょっと待ってヨ。今イイトコロでさー』
何だかバタバタしているし、そのまま
『右に飛んで蘭さん!』
言われた通りに動くと、赤い
わたしは
小さな箱が
「えー、
前の大きい箱はというと、小さな箱と同じ光をまといはじめた。
……もしかして大きいのも来ちゃう?
そんな時に、さわやかサッカー少年と歌うまな小五、あとピンクのカバがやってきた。
「
「あー、なんで今!
ヤバイよ大きいビーム今パワー溜めてるよ。
「え、何なに?」
見回すと……ん? 地面に
わたしは飛び込んで扉を開き、二人の腕とヒポタンの
間もなくドーンという音が頭上に
「ふー、
「悪いなー。蘭」
『痛いヨ! ラン!』
抗議の声はとりあえず無視だ。
「前は、こういうところに
[お]→[ん]→[に]→[す]→[る]
「つまり、あのビームがオン、つまり今の
「そうだね」
「では、『おふ』にしなきゃいけないということか!」
「そうそう。マーキュリー理解が早いねー」
試しに手で『ん』をこすってみたら、横に光が出た。
“ただし、『文字』も『矢印』も消せません”
困っていたら詩絵留が教えてくれた。
『リストでいけると思う』
「りすと?」
『データ
「そっか! だったら『ふ』を書いて、そっちに矢印を書いてみるね!」
わたしは
おっ、他の文字より暗いけど、思った通りに文字がかけた!
[お]→[ん]→[に]→[す]→[る]
[ふ]
「……蘭って字あまり上手くないんだな」
「言わないで!」
それから、矢印を動か……せない。丞も手伝ったけど無理。
「マーキュリーは……ちょっと狭いよね」
この矢印を動かすスペースがちょっと狭くて、マーキュリーには辛そうなんだよね。
マーキュリーは静かに言った。
「二人とも、俺に考えがある。ヒポタン、やってみたい」
「おっ、ヨロシクマーキュリー」
「スムース! スムース!」
ロックバンドのコールみたいな
終わったマーキュリーはこういった。
「さあ、動かしてみたまえ!」
「どういうこと?」
「さっき、ヒポタンが俺の力を測ったときに分かったんだ。俺の歌は電脳世界に
「あ……、もしかして、さっきブレスレットが通信できるようになったのも」
「そうさ! 君は何かが使えなかったんだろう! 歌の力で動かせたんだ!」
「そっか、だからハクティビストJはマーキュリーを
「そういうコトになるネ。こういう能力はウワサではきいてたケド、夢物語かと思ってたヨ。詳細はまだ分からないケド、こうして目の前にいるとはネ」
夢物語っぽい存在ヒポタンはうんうんと
「俺の歌で心が動くと言ってくれる人はいたけれど、まさか、人だけではなく、機械の心まで動かせるなんてな! サイコー!」
マーキュリーはグッと親指を突き出した。
「機械の心を動かして『ん』は消せないの?」
「無理だな。俺はそのものが持っている力を後押しすることしかできないんだ」
「そっかぁ」
それと、分かっている質問だけど、聞いてみる。
「……で、ヒポタンは何でそれ先に言ってくれないの?」
『えー、バタバタして忘れちゃっタ!』
だろうね。
今こうだ。
[お]→[ん]→[に]→[す]→[る]
[ふ]
これを、クルッと。
[お] [ん]→[に]→[す]→[る]
↓
[ふ]
今まで光ってた五文字が、「ふ」と同じ暗さになる。最後まで
わたしは「ん」の横の矢印もクルッと動かそうとしたけれど、動かない……。
丞も手伝ってガシガシやろうと思ったとき、また何か出てきた。
“ただし、『文字』も『矢印』も消せません”
「後で説明って、ヒポタンか!」
「そのツッコミは
ヒポタンを無視して考える。
「矢印二つ動かさないでできるのかな?」
そこに、困ったときの創斗くんだ。
『さっきの詩絵留の言葉を借りると、矢印を足すのはいいんじゃないの? 蘭さん』
『パクるのか、バカ創斗め』
でも[ん]が残る。
「矢印残ったままなのはいいの?」
『だって最初から最後まで繋がるルートじゃないと光らないんでしょ。
「そういうものなの?」
『リストだったらね』
できたのはこうだ。
[お] [ん]→[に]→[す]→[る]
↓ ↑
[ふ]
これでいいのかなと思う
“おふにする”
ブオンという音が聞こえて、外のすさまじさは消えていた。
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