第二章〜3
ということで、城くんは今ここにいるらしい。
「そんな……、し、
池田くんはノートパソコンを見ながら大きくため息をつく。
何なのか聞いてみると、画面を指さす。
「あ、そうそうこれ! この
「タスクが
明るく言ったヒポタンも、書いているものを読むなり
わたしも見たけど、辛い。
それは、見かけはニュースサイトだけど、その内容は水野詩絵留さんへの悪口だった。
M区はA区と
でも、多分地元の人ならどこの駅か分かるくらいに場所がはっきり書かれている。
小学校の人ならどこのクラスの
内容がヒドイのはもちろんだけど、わたしはおかしいなとも思う。
「Yahhooでこんな記事ありえる?」
池田くんは
「……これ、なりすましサイトだよ。よく見て、ドメインが違う」
見知らぬ言葉に首をひねると、ヒポタンがパタパタと
「インターネットの住所の一つ。世界にホームページは
意外にもヒポタンはちゃんと説明してくれた。さすが
「細かく言うと『
「それで、Yahhooは本当はこう」
池田くんが打ち込むと、朝のテレビと同じニューストピックのサイトが出てきた。
「城君が教えてくれたのは、うしろの『
「リンクからそのまま入ると
ヒポタンは右前足を組む。
「ここの電脳悪霊
「それが
個人のコンピューター。私は考える。
「だったら、スマホ?
「うん、そうだ――」
ヒポタンが言う途中で。
「何でもいいからヒポタン! デンビックスで
「分かっタ! ソコを中心に探っていこうか!」
池田くんとヒポタンは電脳悪霊を探っている中、城くんが話しかけてきた。
「なあ、デンビックスって何?」
「
「ん? 直接確認すれば良くない?」
「数が多すぎるでしょ。キリないから、
城くんの質問に私は答えた。
「えー、何か難しそうだな」
「使い方は知らなくてもいいよ。けど、結果の意味は必要だから、今後覚えてね」
城くんは「さすがリーダーすごいな」とわたしを見た。
「ほら! くっちゃべらナイ。出発だヨ」
「説明してたんだよ!」
「おっ、見つかったんだな!」
城くんの言葉に、池田くんとヒポタンは頷いた。
「よし、タスクは今の格好でイイとして、デコボコは変身だ!」
いつの間にかコンビ名つけられたけど、
うなずきあって、二人で左腕をあげる。
「ブートオン! チェンジ!」
それぞれの左腕から光が
「まずはむかおう! 城くんはまずは慣れないだろうし、わたしの指示に従って」
「分かった! リーダー」
「池田くんはもう
『トランスポート発動!』
その声で、わたしの目の前はキラキラした光に包まれた。
わたしたちは降り立った。
「
そう言いながら、城くんは飛んでいた。初めてなのにすごいなぁ。
わたしは対策を考えようと、池田くんと通信をした。
「その金子梨羽さんって人知ってる?」
『……て、低学年でおなじクラスだった。
じゃあ、たいしたことは聞けないかと思ったけど。
『あと、城君のことが好きで有名だよ。城君はモテるけど、金子さんがニラむから、誰も告白できないし、バレンタインもチョコをあげられないらしい。でも、金子さんも
「……池田くんって、詳しいんだね」
『だって、僕みたいなのは情報集めて上手く立ち回らないといじめられるよ。
『あ、城君は
こそこそと会話をしている内に、目的地についた。
「ベータ
根っこが
『77』と書かれた空間には背中を丸くしたきれいな子がいた。多分、金子さんはスマホをタップし続けている。水野さんへの悪口を
ヒポタンは両前足を顔に寄せた。
「
「つまり、電脳悪霊がとりついて悪口を投稿させているんだね」
理解したわたしは城くんに声をかける。
「わたしが
彼はまだ
「分かった! よし……!」
気合いを入れる城くんにもう少し付け加える。
「あと、大切なこと。金子さんを
言いながら、
晴ちゃんはクラスでは上手くやり直せたけど、
インターネットの世界は顔が見えないし、アカウントがなくなったらそれまで。
晴ちゃんは電脳悪霊に
金子さんはどんな人かは知らない。でも、彼女がやり直せることができるならそれが一番で、それには城くんの力は必要だ。
「梨羽! 今いく!」
その声に金子さんが城くんに気がついた。タップしている指がすこし止まる。
でも、一本の根っこが金子さんの腕を
「梨羽!」
城くんは呼びかけるけど、根っこが何本も
わたしが
「ヒポタン。城くんを金子さんのところに連れて行きたい。あのオリに入る方法は?」
「ベータ種だから、電脳悪霊の解除キーを入力すればいいんだケド、どこかな……」
わたしとヒポタンがきょろきょろしていると、城くんが指さす。
「なぁ、あのウロは?」
幹の
「
「わたしが
「オッケー!」
「タスクは
城くんが器用に衝撃弾を放つと、電脳悪霊はそちらに気をやる。
わたしはその
横一列に並んだ八台の
スパーン!
「いったー!」
わたしの声に、池田くんが通信をしてきた。
『どうしたの!? 岡崎さん!』
「おでこはたかれた!」
わたしは
「うー……外れかなぁ」
『き、決まりがあるんじゃないかな? 僕も手伝うから待ってて』
池田くんの準備が終わるまで、何か手がかりがないか、改めて部屋を見渡す。
台座の向こうを見ると何か
”部屋を開けたいときは部屋番号を設定してください。255はハリセンです”
つまり、部屋番号を入れなくてはいけないのに、わたしは255にしたからハリセンだったの? 八台全部に光る玉を乗せると255になるの? じゃあ金子さんは?
タイミング良く池田くんが来たので、状況を説明する。
「八台全部光っていると255……」
つぶやいた後、池田くんは「あ!」と声を出す。
「岡崎さん、台座に何か数字は書いていない?」
左の台座から順に、128、64、32、16、8、4、2、1と書いてあった。
『
ブレスレットが光り、小さな画面が浮き出てきた。共用のメモ
『例えば、1から5は、二進数だと1と0しかないからこうなるんだ』
池田くんが1=1、2=
「つまり、6は
『そうそう!』
「だったら、さっき金子さんの番号は77だったから……、いきなり桁が増えるなぁ」
『楽な求め方あるよ』
「ほんと?」
『さっきの台座の数字で、77より小さくて、一番大きい数字を引いてみて』
「64?」
77-64=13
『次は13より小さい数字……っていうのを0までくりかえして』
13-8=5
5-4=1
1-1=0
「できた!」
『じゃあ、その引いた数を並べてみて』
64、8、4、1
『これがボールをおく台座の数字。足したら77だよ』
64+8+4+1=77
「おお! 確かに77! つまり
『よろしくね。でも、金子さんの番号よく覚えてたね』
「わたしの誕生日七月七日だから」
わたしは左から二番目、五番目、六番目、八番目の台座にボールを置いた。
すると台座は光り、ガチャンという音がする。
わたしが空洞から飛び出すと、ちょうど城くんが開いたオリに飛び込むところだった。
「ごめん梨羽!」
城くんはスマホを奪ったけど、取り返そうと
根っこも城くんにまとわりつこうとするので、わたしが対応するけどキリがない!
「いや、いやなの! 丞に嫌われたくないの!」
その声に、城くんはがばりと金子さんに抱きついた。
「大丈夫だから! おれが梨羽のこと
まるでドラマのクライマックス。金子さんは動きが止まり、根っこも引っ込んでいく。
そしてお
「タスク! 今
「えっ? ああ!」
とまどう城くんだけど、わたしや池田くんと
よし、
「城くんお疲れ! 休んで! 池田くん!
『任せて、岡崎さん』
耳元で頼もしい声がする。
わたしが
ちょっと難しいけど、フリーズフラッシュよりも強力な光の球。
「すべてを
そして、電脳悪霊のコアに一直線――のはずが。
持ち上げた根っこにボールがぶつかると、何と
「ラン! リビルドボールドは強力な分、ガードされやすいんダ!」
その情報、いつものように聞いていないって!
『岡崎さん! 危ない!』
わたしの前にボールが一直線――のはずが、目の前に背中が見えた。
「ボールならおれに任せろ!」
城くんだ。スマートシューズで
「よし! 勝利だ!」
ガッツポーズをした後、城くんは、すぐさま金子さんのところに戻っていった。
えー、城くん、確かにめちゃくちゃ
モテるイケメン男子を初めて見たわたしは、何だか感動してしまうのであった。
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