第二章~新たなるレンジャー登場! 転校生来たる
第二章〜1
「このダンス知らないの? めちゃくちゃ
「……知らないです」
「なんで敬語」
うつむいて小さくなる池田くんを、私は見下ろす。
「もしかして、最近ゲーム
ちなみに一組はまだいない。友達はまあまあいるけど、ゲーム仲間はいない。なぜだー。
池田くんは顔を上げて、首をふるふる振る。
「それは全然問題ない。全く問題ない」
「そこまで言うと誘いたくなる!」
「
「もう誘わない! それよりもさ、本当に
「知らないよ……。なんかさ、岡崎さんの学校やA区って変わってるね」
眉をひそめる池田くん。
「バーチャルアイドルと
クラスの友達とは主にこういう話題で盛り上がってるけど、池田くんは首を振る。
「……そういう動画見ない」
納得いかない池田くんの後ろは、いつも通り黒地に何色もの文字でチカチカしてる。
わたしはひらめいた。
「
「……
「言うと思った。親に
「データ流出……」
そこに、今日もダンドリ
「こら、ソコのデコボコ。そろそろダベりは終了さっ」
「え-、
わたしはTシャツにキュロット。池田くんはエリとボタンのついたシャツにハーフパンツ。二人共私服に戻っている。
「ところがドッコイ。新しいレンジャー
わたしと池田くんは顔を見合わせた。つまり、メンバーが増える!
「
ヒポタンの近くに三角座りしたら、池田くんが手で口元を
「……さっき罠って言わなかった?」
「言っちゃいけない。二人体制はキツイしどうにかしたいし」
「え……、僕、力不足……?」
「違う違う! 一人ずつじゃ足りないってことだよ! 他の
そう。この前勝てたのは運が良かっただけだ。メンバーがもう一人いるだけで楽になる。
「それならいいけど、犠牲者って」
「だから、ダベるナ! デコボコ!」
わたしと池田くんが両手で口を
その間に光が集まった後、
「
光は何倍もの大きさになった。まぶしすぎて何も見えない!
……
緑色のスポーツブランドのTシャツと白いハーフパンツ。切れ長の瞳や
そんな、イケメンサッカー少年(イメージ)が、口をぽかんとあけている。
わたしたちもこうだったよねと、
「あれ……、
「い、池田?」
見つめ合う、さわやかなサッカー少年とコンピューター少年の池田くん。
城くんという男子は、池田くんとわたしとヒポタンを
「池田と……かわいい女子と……カバ……?」
かわいいって言われたけど、言われ
「このかわいい女子はもしや池田の彼女か?」
「ち、
わたしが
「
「そうか。ならいいや」
か、彼女ではないけど! 池田くんの冷たすぎる言い方にあきれながら確認する。
「知り合い?」
「う、うん。一、二年の時同じクラスだった
「同じ学校か。うちの市大きいのにずいぶん
「S市北部支部だからねっ。
ふーん。
「そ、それ、僕、気になっていたけど、南部はまた別なの?」
「モチのロン! 初期メンはたまたま南部しかいなくてネ。でも北部が最近キナ臭くて手が回らなくなりそうだカラ、専任を作ろうという話になり、ボクが担当としてメンバー集めなうな時分に網に引っかかったのがキミ達さ!」
そっか。南部の人はヒポタンじゃないのか。いつか会えたら、うらやましいと言おう。
「くそっ、状況が分からないけど、俺はそれどころじゃないのに、池田がかわいい女子とくっちゃべっているのはムカつく」
城くんは本当にいい人なのだろうか。
「落ち着きたまえ。電脳レスキューレンジャーになれば、
「えっ、モッテモテ!?」
ヒポタンのうさんくさい
「……本当にいい人?」
「え? 城君はちょっと女子が好きすぎるだけで、
「女子が好きすぎる?」
「うん。ほら、
「か、かわいいなんてっ!」
わたしは恥ずかしくて両手で口元を
「いや、僕じゃなくて、城君が言ってたでしょ」
「えっ? あ、うん……」
「よく、色々な女子に言ってるよ。生徒はもちろん、給食調理員さんや校長先生まで」
「校長先生!」
「あ、校長先生は女の人で」
「それは分かる。つまり」
「うん。
そんな人にかわいいと言われたわたしは何なんだ。わたしの表情に池田くんは慌てる。
「で、でも……、全員をブスだと言うよりいいと思うよ!」
「いや、城くんじゃなくて、わたしのフォローをしようよ」
「え、あ……。ごめんなさい」
池田くんはいつものように
「分かった! つまり俺は、被害者を助けて、モッテモテになるんだな!」
「そうそう! 好きなあの子のハートをゲットだぜっ!」
あのカバはいったいどういう説明したの?
池田くんの
「いや-、
「おお! タスクはそこのデコボコと
「いやさ、実はおれ、解決したいことがあるんだ」
そこで城くんの表情がキリッとする。
「おれのクラスの転校生の女子がすっげーかわいくてさ」
池田くんの肩がぴくりと動いた。そして、おどおどと言う。
「……一組の転校生って、
食い気味で城くんが池田くんの両肩を掴む。
「そう! おー、池田、案外すっげーかわいい女子に興味あるんだな!」
「いや、興味というか――」
池田くんの言葉は止まる。城くんが肩をつかんだまま前後に大きく揺らしたからだ。
「池田が知っているなら話が早い! おれは彼女を助けたい!」
ガクガクと揺らされて
「え……、し、水野詩絵留に何かあった……の……?」
「そうだ! このままでは大変なんだ!」
「えっ……し、水野詩絵留が!」
「そうだ! 危機なんだ! あんなすっげーかわいいのに!」
「み、水野詩絵留……!」
頭をがくんがくんされながら、『すっげーかわいい』転校生の名前を
……ここでしか会わないから気づかなかったけど、池田くんも気になる女子いるんだね。
わたしがそんなことを考えている間に、城くんは説明し始めるのだった。
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