第3話 裏切り



 私は雄太の言葉を真に受けていた。

 その時まで、愚かな人間だった。

 所詮雄太には、あいつには、私は最愛の彼女なんかじゃなかった。

 他に大勢いる馬鹿な人間の一人にしかすぎなかったのだろう。

 それを私は、その日に思い知った。






 あんなに仲が良かったのに?

 一体どうして!?


 雄太は、ボロボロになって倒れている私を見下ろしていた。


 無数の男たちに囲まれて、非道な所業の限りを尽くされた、私の姿を。


 デートの終わり。

 さっきまで、あんなに楽しくて、幸せだったのに。

 その分、心も体も痛いよ。


 冷たい視線が突き刺さる。


「どっ、どうしてこんな事をするの!?」

「千里が特別馬鹿で騙されやすいからだよ」

「うっ、嘘だよね?」

「物分かりが悪いな、はっきり言わないと分からない? 最初からこうするつもりだったのさ」


 付き合ってから数か月後。

 二人っきりになりたいと言って、誰もいない場所につれてこられた私は雄太に騙された。


 殴られて、蹴られて、言葉にはできない事をたくさんされて、それだけじゃなくて、持っていた物をすべてむしりとられた。


「優等生やってると、ストレスたまるんだよね。だからこうやった馬鹿な女をはめて、発散させてもらってるんだ。他の人に言ってもいいよ。どうせ皆信じないだろうけど」


 冷たい笑いを顔にはりつけた雄太が去っていく。


「待って。お願い雄太っ! 待ってよ!」


 遠ざかるその姿に、私の声は届かなかった。


 雄太は本当に私を裏切ったのだ。


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