第14話 シュテルの目的

「それにしても、愛佳の浄化の力は凄かったよ」

海が感心した様に告げる。

「……私、は……自分に……できること、した、だけ……」

「いやいや、そんな謙遜しなくたって!ね、珠ちゃん!」

「は、はい……!」

こくり、と頷く珠。

「ありがとう……ございます……」

「にしても、世界の浄化ときたかぁ……一気にスケール大きくなったね」

「……私の一族は……浄化の力を持つので……普段は7歳まで……外に、出さない、んです……」

「7つまでは神の子とも言うしね。神稚児信仰?」

「はい……私、10歳です……」

「可愛い年頃〜!羨ましいなぁ!」

ケラケラと笑う海。

「とりあえず愛佳ちゃんは天元で匿うとして……今後どうしようか」

「妖退治しながらですし、厳しいですよね……」

海と珠が腕を組んで悩む。

「保護は私がするよ!」

「長!」

彩が笑顔でそう告げる。

「天元彩の名において、必ず愛佳ちゃんを守る!うん!だから海達は安心して任務に行って!」

「長がそう言うなら……」

「じゃ早速今日の任務ね!これの退治お願い!珠ちゃんと2人で行ってきて!」

羊皮紙に書かれた内容は【猪形の妖を退治せよ】と書かれていた。

「猪かぁ……突進攻撃に気をつけないと。」

「ですね。……早速行きましょうか。」

「珠ちゃんだいぶ板について来たね〜」

ニヤニヤと笑う海。

「笑わないでくださいっ」

頬を赤らめる珠。

「はいはい、おしゃべりはそこまで!早く行った行った!」

彩に背中を押され任務に向かう2人なのであった。


「ん〜、地図によればこの辺りのはず……」

目的地に到着したが肝心の妖が見つからない。

「!!海さん!上!」

ドンッ!と珠が海を押す。

「珠ちゃん!?」

「Guuu……」

唸り声は上からした。

そう、巨大な猪が海のいた場所を大きな牙で突き刺していた。

「ありがとう珠ちゃん!助かった!」

「いえいえ!行きますよ、海さん!」

「了解!水圧MAX!」

海は指鉄砲で高水圧の水鉄砲を噴射する。

「Gaaaa!」

水鉄砲は妖の身体を貫き穴を開ける……が、直ぐに再生されてしまった。

「私の投石も効きません……!」

「クソッ、核の場所ならわかるのに……!」

「核を露出させればいいんだね?」

「クリスティアさん!」

赤髪の少女、クリスティアが現れた。

助っ人として派遣されたのだろう。

「ファイアッ!」

炎は青白く変わり、猪の身体を包み込む。

毛が無くなり核が露出した。

「今よ、海、珠ちゃん!」

「「行っけぇーーー!!!!」」

海の水圧MAXの水鉄砲に珠の投石を乗せた合体技だ。

「Gaaaaaaa!!」

猪の妖の核を貫き、消滅させることに成功した。

「やった……!クリスティアさん、ありがとうございます!」

「なんのこれしき。協力するのは得意なの。」

「さ、帰ろっか!」

「その前に寄り道しませんか?美味しいクレープ屋知ってるんです!」


3人でクレープを食べ終えると、帰路に着く。

「クリスティアさん、今日は本当にありがとうございました!」

「いいわよ、別に!」

笑顔で告げるクリスティア。

3人で食べたクレープは、なんだかちょっぴり甘く感じたのであった。

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