第15話 明け方
ある日の明け方。
「ん……」
目が覚めた珠はリビングを通ってベランダに向かう。
朝独特の匂いと空気に包み込まれる。
「いい香り……」
たっぷりと深呼吸をして気持ちを整える珠。
「今日はどんな任務があるんだろう……」
宿題は終わらせてしまい暇しているところ。
「……珠……さん……おはよう……ございます……」
「おはようございます、愛佳さん」
「……珠……さんも……寝れなかったんですか……?」
「はい。なんだか目が冴えてしまって」
クスリと笑う珠。
「同じ……です、ね……」
同じくクスリと笑う愛佳。
「愛佳ちゃんの笑顔、素敵だね」
「そう……ですか?……ありがとう……ございます……」
ぺこり、と頭を下げる愛佳。
「そんな畏まらなくていいですよ。」
「いえ……お世話になっている身、ですし……」
「うーん、そうですか。否定はしませんよ」
「ありがとう……ございます……」
「愛佳ちゃんはこの天元、どう思いますか?」
「……どう、とは……?」
こて、と首を傾げる愛佳。
「雰囲気とか、感じたこととか……」
「えっと……皆さん優しくて……ご飯も美味しいですし……買い物にも行けますし……楽しい、です……」
「なら良かったです。全力で守りますから、安心してくださいね」
そう微笑む珠。
「……ありがとう……ございます……」
再度頭を下げる愛佳。
「畏まらないでください……」
「あ……すみません……」
申し訳なさそうな顔をする愛佳。
「そんな顔しないでください。可愛い顔が台無しですよ?」
「か、可愛く……ない、です……!」
キュッと縮こまる愛佳。
それに対し珠はクスリと笑う。
さぁ、忙しい朝の始まりだ。
2人は笑い合いながら食事の支度を始めるのであった。
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