第10話 パーティー

天元主催のパーティーに呼ばれた東組。

「全く、何よいきなり!」

「親睦を深めようとおもってねー!」

「親睦もなにもないでしょ!」

「まぁまぁ嘉悦様、落ち着いてください」

江夏が宥める。

「ボクはいいと思うよ〜?君が天元の新入りちゃん?ボクは櫻井さくらいみかど。よろしくね、天元の新入りちゃん。」

「九十九珠と申します。よろしくお願いします。」

そう言って握手を交わす2人。

「櫻井さんは東組の方……ですよね?」

「そうだよ〜。でもボクとしてはやっぱり仲良くしたいなぁ〜」

のんびりとした口調の帝。

「櫻井さんが話のわかる人で良かったー!嘉悦とは大違い!」

「なんですって!?失礼ね!アタシだって聞き分けくらいいいわよ!」

「そーなの?じゃあ同盟でも組む?」

「は?」

突然の提案に素っ頓狂な声をあげる嘉悦。

「お互い争っても意味ないし〜、ここは平和にしていきたいでしょ〜?」

「私は賛成です。」

「三日月!」

三日月と呼ばれた少女はそう告げる。

「ぐぬぬぬぬぬ…………わかったわ。皆のためだもの、同盟組みましょ。」

しばらく悩んだ後嫌々了承する嘉悦。

「ありがとー!それじゃパーティー、楽しんでいってね!」

手を大きく振ってその場を後にする彩。

「そこにいるのは三日月宗近と言う子です。両親が刀剣好きで名前が変わっているんです」

そう説明する江夏。

「改めまして。三日月 みかづき宗近むねちかと申す。以後よろしく頼む」

「天元彩だよー!よろしくね、宗近ちゃん!」

そう言って握手を交わす2人。

嫌々了承していた嘉悦がなんだかんだで1番楽しんでいた。

「……む、この料理、美味しいわね」

バイキング形式の食事だ。

全て彩の自払である。

彩は相当金持ちのようだ。

「ではここで1曲!」

そう言うと海はマイクを持ち歌を歌い始める。

美しい歌声だった。

「海さんって歌も上手いんですね。」

「ありがと!」

にひひ、と笑う海。

「アタシどっちかと言うと演歌が好きなんだよねぇ」

「海さんの演歌……気になります」

目を輝かせる珠。

「……聴きたい?」

「はい」

即答である。

「しょうがないなぁ〜」

そう言うと海は演歌を歌い始める。

コブシの入った力強い歌声だ。

「海様、お上手ですね」

江夏が拍手をする。

「ありがと!」

嬉しそうに笑う海。

「江夏さんだっけ?よければ1杯どう?」

「構いませんよ」

そう言ってワインをカチン、と音を立てて乾杯する2人。

どうやらこの2人は相性がいい様だ。

「海ー!皆ー!集合写真撮ろー!」

ブンブンと手を振って彩が一同に声をかける。

「行きましょ、江夏さん、珠ちゃん!」

「センターはアタシだからね!」

「嘉悦様、主催は天元なので彩様をセンターにすべきかと……」

「じゃ並んで撮りましょ!」

彩と嘉悦がセンターへと向かう。

珠は真ん中辺りだ。

身長が高い海は後ろ側だった。

「じゃあ撮るわよ!3、2、1……」

パシャリ!と音を立てて写真を撮った。

皆思い思いのポーズであった。

「じゃあこれにて解散!お疲れ様!私は片付けしないとだから皆は先に帰ってて!」

「彩様、私もお手伝い致します。」

「ボクも手伝うよ〜」

「江夏ちゃん、帝ちゃん……ありがとう!」

パーティーはあっという間に終わってしまったが、楽しい時間という物は速く感じるものである。

3人で後片付けを終えると、彩がこう告げる。

「これ、嘉悦に渡しておいて!」

「畏まりました。」

江夏が預かったのは封筒に入った天元について書かれている資料だ。

「じゃ、これからも仲良くしてね!」

「勿論です」

「じゃあねー!」

「失礼します」

大きく手を振って見送る彩。

「私も帰ろ〜」

楽しい気分で帰路に着く彩なのであった。

今宵の月は満月だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る