第8話 ライバル

待ちに待った大型連休の日がやってきた。

珠一行は海にやってきていた。

「海だー!珠ちゃん、遊ぼ遊ぼ!」

海がウキウキとしながら珠を誘う。

「はい!」

そんな珠もノリノリで頷く。

「海っていいよね〜!」

浮き輪で浮かぶ彩。

「長、そのような格好では長の魅力が増してしまいます……!」

亜実がアワアワとしながらそう告げる。

「いいじゃん!私の魅力、知って欲しいし?」

その背丈の小ささから子供扱いされることが多かった彩には嬉しい催しである。

セクシーなビキニに身を包んだ彩は、少女だがどこが魅力的な女性に見えた。

「皆〜!ビーチバレーやろ!」

海が楽しそうに告げる。

「はぁ……全く、海へ相変わらず子供ね……」

呆れながらもしれっとビーチバレーに参加する亜実なのであった。

「そこの集団!この海はウチらのテリトリーだよ!」

茶髪の少女が珠一行を指さしてそう告げる。

「テリトリーもなにも、海はみんなのものだよ?」

「普通はそうね。けどねぇ!妖退治の専門家としては見てられないわ!何よその体たらくは!」

「よく私たちが妖退治屋だってわかったね!」

パチパチと拍手する彩。

「当たり前じゃない。この辺りはアンタたち有名人なんだから!それより!ビーチバレーで勝負よ!3点マッチ!負けた方が出ていく!異論は認めないわ!」

そう言うと少女は4人の仲間を呼び出した。

「これで5対5ね!」

メンバーは珠、彩、海、亜実、春菊の5人だ。

「え〜、アタシもやんの?」

乗り気では無い春菊。

「仕方ないなあ」

嫌々椅子から立ち上がる春菊。

白い水着が眩しい。

「じゃ、対決開始よ!サーブはアンタたちからでいいわ!」

「……ふ、あなた達、運が悪かったね!」

「?どういう意味よ」

「じゃ、行くよ〜」

春菊がサーブをする。

「春菊は」

スパァン!と音を立てて相手のコートにボールがめり込む。

「ビーチバレーがめちゃくちゃ強いのよ!」

あと2点だ。

「何よ今の!?全く見えなかったんだけど!?」

驚く少女に彼女の仲間もザワついていた。

「ズルいじゃない!」

「ルール違反はしてないからセーフだよーん!」

ニヤニヤと余裕の笑みをする彩。

「ぐぬぬ……!江夏こうか、出番よ!」

江夏と呼ばれた少女がサーブをする。

「ほっ」

春菊が軽々とブロック出防ぐ。

ボールは珠側に落ち、1対1となった。

「……ごめん」

「気にしない気にしない!さ、次もよろしく!」

春菊のサーブでまた得点が入った。

珠チームはマッチポイントだ。

江夏のサーブを春菊がブロックし、ボールは江夏側に落ちる。

珠チームの勝利だ。

「ぐぬぬぬぬ……!悔しいけど負けは負けね。大人しく帰るわ」

そう言うと少女は名も告げず帰って行った。

仲間たちも彼女の後に続いて帰って行った。

「なんだったの……」

「ライバル組織だよ。彼女達は祓い屋のあずま組。さっきの子がリーダーの東 嘉悦かえつだよ」

「ライバル組織……」

「めんどくさいよね〜、もっと協力すればいいのに。」

そう呑気に告げる海。

「じゃ、貸切状態のままバーベキューしよっか!」


夜になるとバーベキューが始まった。

「ん〜、美味しい〜!やっぱり海でのバーベキューは格別だね!」

なんだかんだで海が1番楽しんでいた。

「明日は何しよっか!」

長期滞在ということもあってか、予めホテルの予約はとってあった。

「……カレー食べたい」

「じゃあ明日のお昼さカレーね!楽しみ〜!」

海はそう告げると肉を食べていた。

柔らかく焼けたいい肉だ。

バーベキューも終盤に差し掛かると、今度は花火が始まった。

海はバーベキューの後片付けをしながら花火を楽しむ。

「……綺麗」

ポツリと呟く珠。

「でしょ〜?打ち上げ花火もあるよ!」

そう言って海は打ち上げ花火に火をつける。

パァン!と音を立てて打ち上げ花火が打ち上がる。

大きな赤い花火だ。

「わぁ……凄いですね……」

「でしょ?」

にひひ、と笑う海。

夏を満喫した1日であった。

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