第14話 その才、人を嫉妬させすぎにつき危険


「だから、なんでお前はそうやって要らない波乱を引っ張って来るんだ」仕事ついでに振られた話題に頭を抱えて目の前に座っている奴に言う。他に人が居ないのをいい事に奴は既に気を抜いている。


「だってリズリー家の血、王家に欲しい」

私が責めると奴は不貞腐れたように言う。


「お前なあ」


「仕方ないだろ。ずっと君とヴィーと比較されてきたんだから。少しぐらいその才能貰えないかなって思うじゃないか。今なら王太子も第3王子も選び放題だよ。ルイーズちゃんにどうかな。」


「私の妻を仇名で呼ぶな。第3王子は兎も角王太子には婚約者いるだろう。」

「オズワルドとヴィクトリアの娘なら割り込み1番だ」

「ふざけるな」


オズワルドはリズリーの血筋はそんなに良いものでは無いと声を大にして言いたかった。好きな事には遺憾なく発揮されるそれだが、それ以外の事に対してはそうでもない。そして己の心に反する事をし続けなければならなくなった途端に何も出来なくなってしまうその特性は常に諸刃の剣だった。


「いいか、ルイーズが望むのならまだしもそうで無いならあの子には好き勝手してもらうと家族で決めたんだ。あんなにリズリーの血を色濃く受け継いでいるあの子に人の常識を当てはめるのは酷だ。絶対に公の場であの子の名前を口に出すなよ」


「結婚や仕事はどうさせるんだよ」

「ヴィーの時のように分家から探す。最悪しなくてもいい。仕事など我が家には沢山ある。そしてしなくてもいい。お前こそ自分の子供の心配しろよ。第1王子は王妃が甘やかしまくって、第3王子は今まで好き勝手されてたんだろう?」


こいつが玉座を勝ち取ってから功を焦ったこいつのせいで碌なことになっていない。その癖、罪悪感だけは一人前にある分詰めが甘い。


「いや、それでも政略とはいえ強引な事をしたから罪悪感が……」ほら

「今になってそれを言うのか。そのせいで余計に拗れているんだろ」


私は頼り無い幼馴染にため息をつくと今後どうするのかの相談に乗った。


ーーーーー


私は順調に訓練を積み、手合わせで兵士に勝つことが増えてきた。回復魔法によるドーピングによって筋肉もいい感じに付いてきた。そろそろドレスで誤魔化しきれなくなるかもしれない。


背丈は嬉しい事にお父さま似でスラリと高くなった。成長痛に回復魔法は効かずとても痛かった。日中にずっと外にいる為日焼けが怖かったので闇魔法で日焼け止めをしていたら目敏いお姉さまがスクロールに起こして商品化していた。観光地や女性の趣味にも影響が出そうねとお姉さまはウハウハである。


剣術は義兄さまにお墨付きをもらえるようになった。このまま順調に鍛錬を続ければ、試験でいい成績を取れるとの事。後は座学である一般常識の試験問題、貴族のマナーは女性のものと男性のもの両方をお姉さまと義兄さまから学んだ。やる事が多くて充実している。


耐毒訓練は即死毒、そして遅効性の毒を習得中だ。どちらも身体に回復魔法をかけ続けて摂取した時の反応を覚える。毒の種類によってはエリクサーに反応して即死毒に変化する物もあるので余り使われる事は無いが覚えるのが大変である。


お父さまには癒術省の研究、領地運営部門の相談役を目指すと言って回復魔法の研究と領地運営の勉強をしている事になっているが気付かれないのが不思議なくらいだ。剣だこは毎日回復魔法で入念に治しているけど。

しかし、王城は今いろいろな事があって大変なのだろうお父さまも忙しそうだ。このまま行けばあと1年誤魔化せるかな…?

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