第13話 その魔法、マッチョに都合良すぎて危険


それから、毎朝の基礎体力づくりと週3回の剣術の訓練が予定に組み込まれた。型通り剣を振れるようになってきたからそろそろ手合わせをやり始めたい。義兄さまが騎士候補生の訓練に混じって鍛錬していたそうだからまたお姉さまにお願いしないと。


あとは男社会で女として見られない方法か…

男しかいない場所に行かなければならない為、女としてみられた時点で変な噂がたつ。1番の理想は候補生試験の際は正体を隠し、良い成績をとって王様に惜しい人材だと思わせる。そして、王様に隠蔽を手伝ってもらい家の都合で自宅から通っているていをとり男のフリをして訓練に通う。卒業式で暴露。男として見られなければいけない、しかし品行方正で無ければならない。難しい。


訓練休憩中にビリーとカミルが歓楽街の推しの子について語り合っていたので他の兵士の気配に隠れながら話を伺う。もちろん私に気づいてやめさせようとした兵士達をジェスチャーで止めながら。ビリーとカミルはご愁傷様である。


ふむ。やっぱり大きなおむねは女性らしく魅力的に映るのか。私のいない所でお姉さまの話題話していないか心配だ。私の場合トレーニングで絞られている分まだ成長していないが大丈夫だろうか?


あとは柔らかそうな唇とほっぺ、ここは化粧でごまかせるかな、華奢な体格、割れてない腹筋、むっちりした太もも、くびれから腰にかけてのライン…ふむ、結構際どい衣装着てる子がいるお店に行ってるのね。気づいている兵士達の顔色が悪くなってくる。2人に悪いからそろそろ離れようと思ったところだった。気づかれた。


「「う、うわああぁぁああああ!!!」」


うん、ごめん。




「筋力トレーニングにおける回復魔法の効果とその有用性について、ーーーーヴィクトリア・リズリー著。……お母さま?」


空いた時間で訓練棟の書物を漁っている時だった。目についてしまった書物を取る。内容にザッと目を通してみると条件が細かく設定され何度も実験を繰り返した後に平均値がとられ丁寧にまとめられていた。


「二の腕の太さの増加率で測ってるんだ。あ、グラフある。回復魔法の強さの段階と1日に何回かけるかもやってるし。…食事との組み合わせ?うわ、これはお母さま楽しくなっちゃってるな、家の兵士だけじゃ無くて癒術省戦闘部隊にも被験者募ってる。うわぁ……」


そうだ、癒術省にもかかわらず魔物討伐の際に前線に出て功績を納め、戦闘部隊を立ち上げたんだった。普段の様子からは想像出来ないがお母さまも中々の脳筋である。成長期におけるトレーニングと身長の伸び方もやってるし…え、女性のデータある。よく年頃の女の子マッチョにしようと思ったな…。


でも兵士達曰く自分と同じ体格の女性には萌えにくいそうだからこのデータはありがたいな。とりあえず、筋力トレーニングしながら回復魔法をかけると理想の筋肉が手に入るらしい。必要な所はメモしておこう。

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