第37話 ケツ穴パイル!

「タマランチュラ……。覚えてるぞ、俺のギルド勧誘断ったから俺の主催したプレイヤー討伐イベントで餌食になった奴だな」

「あーそうだよ! てめーのせいで資材根こそぎやられたから追い課金する羽目になっただろうが! あの恨み俺は忘れんぞ」


 タマランチュラは地団駄を踏みながら恨み言を叫ぶ。あの巨体で地団駄踏まれたから地面が揺れる揺れる。もう存在自体が害悪だなこいつ。


「吠えてろ弱者が! 今度はてめーをリアル討伐してやんよ」

「ほざけ! 俺がお前をぶっ殺す。お前をぶっ殺せば俺はチートを手にしてこの世界に転生できるんだよ。俺の人生の邪魔すんじゃねぇ!」


 イヴェルの奴そんな約束したのか。完全に楽しんでやがんな。


「ジェノス殿。ここは私にお任せを! そこの魔神よ、このオルターナの力を思い知るがいい!」


 兵士の奴、やはり俺とタマランチュラの会話なんか理解してるわけないよな。タマランチュラは当然オルターナの能力は知っているはずだ。なのにこの余裕。もしかしたらこいつもあのゲームに準じたチートを持っている可能性があるな。


「おいジェノス。オルターナなんて産廃だろうが。確かに神話級ミソロジーだから強いっちゃ強いけどレア度創世級ジェネシスのヴァリアントに比べたらゴミだろ」

「いや、だからくれてやったんだが」


 当然だ。最高レア度のヴァリアントがあるからオルターナはくれてやっても問題なかったんだよな。


「何をごちゃごちゃと。喰らえ、これこそが神の怒り極光砲である!」


 兵士は両手のひらを魔神に向け、オルターナの最大兵器極光砲を放つ。巨大な極太の光線が魔神を襲った。


「効くかボケ」


 タマランチュラは自分の前にシールドを張り光線を受け止める。光線はタマランチュラのシールドを貫くことができなかったようだ。


「な、なにぃっ!?」

「だから産廃って言っただろうが。鬱陶しいんだよボケ! 壊れとけや!」


 タマランチュラが口を開けると、そこから黒い光線が放たれる。それはオルターナを胸を容易く貫き、破壊する。オリハルコン製の鉄巨人を破壊するってとんでもねーな。しかも一撃かよ。


 機能不全に陥ったオルターナは動かなくなり膝から崩れ落ちる。そして大きな金属音を立てて地面に倒れ伏した。中の兵士はどうなった?


 気になるが確認は後だな。タマランチュラのチートがわからんが余裕で勝てる相手ではなさそうだ。本気で行くか。


「やるじゃねーか。俺も本気で相手してやるよ。でもデカいお前のほうが不利なんじゃねーの?」


 普通ならデカい方が有利だ。だがデカいのが有利なのはパワーとタフネスに依るところが大きい。でも俺にはそんなの関係ないんだよな。


「バカめ! これはゲームじゃねえ。リアルな殺し合いだぜ!?」


 タマランチュラはその黒い腕を俺に向かって振り回す。あの腕に潰されたらたまったもんじゃねえな。ま、当たればの話だが。


 俺は襲い来る腕を軽々と避ける。俺のいた場所に奴の手がぶち当たると衝撃で地面が爆ぜた。奴が腕を上げると手のひらの形にクレーターが出来上がっている。


 今のあいつは魔神であって人間じゃねえからな。人キラーの殺人ソードじゃ大して役にたたないだろう。ここは俺愛用の最強武器の出番だな。


 俺はアイテムボックスから一振りの剣を取り出す。この剣の名は俺様ソード。俺様最強伝説において俺が神器創造で創り上げた最高傑作だ。


「避けんじゃねぇジェノス!」

「そんな大振り当たるかよ!」


 俺とタマランチュラには決定的な差がある。それは現実に戦った経験の差だ。あいつはその姿で生活なんかしたことはないだろう。どんな速度で動けて自分の身体にどんな不都合があるのかなんて知る由もないはずだ。


 俺のスピードについて来られるかな?


 俺は速度を上げタマランチュラに接近する。あこまでデカいんだ。足下の相手には踏みつけるくらいしか攻撃手段がないだろうよ。


「自分から近づくとはな! 踏み潰してやんよ」


 奴は大きく足を上げる。身体が大きい分一つの動作の動きもデカい。その分動きがおせーんだよ!


「うらぁっ!」


 俺は奴のアキレス腱を斬りつける。人体構造はそう違わないだろうという読みだ。極滅の剣は奴のアキレス腱を容易くぶった斬る。


 そして極滅の剣の追加効果は再生不可、出血量増大、全ステータス10%ダウンがカタログスペックだ。どれほど有効かは知らんが斬った足からはおびただしい量の血が流れる。


「この野郎いてぇじゃねぇか!」


 タマランチュラは激昂して俺を踏みつけようとする。しかしそれを難なくかわして奴の後ろに回り込んだ。


 隙だらけだぜ?


「その姿でケツの処女失くしてみるかゴルァッ゙!?」


 飛翔魔法で空を飛び、アイテムボックスからデカい木の杭を取り出す。なんか知らんが入ってたから使わせてもらうとしよう。


「ギョバアアアアッッ!?」


 タマランチュラのケツの穴に巨大な木の杭を打ち込んだ。木の杭は深々と奴のおケツに食い込み、根本まで刺さる。これは相当痛いだろうな。


 そしてケツの穴を掘られたタマランチュラは飛び上がり、ケツを押さえて前のめりに倒れた。


「お、お、お、おぉぉぉ……っ!」


 そしてピクピクと身体を痙攣させ、痛みで声もまともに出ないようである。


「ギャハハハハ! ケツの穴から血ィ出てんぞターコ!」


 俺は涙を流して大笑いだ。いやーこれは実に傑作だろ。ケツの穴に木の杭が刺さるとかウケルわ~。


「じぇ、ジェノス貴様ぁぁっ……!」


 痛みで言葉に全然迫力ねぇな。厄災の魔神といえど俺の敵じゃねえっ!


 俺は勝利を確信しニヤリと笑った。

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