第8話 ルルナの独白〜ロリペド族の宿命〜
本当は助けてって言いたかった。
でもそれが不可能に近いことは理解している。
私の寿命は後何年だろう。25歳前後の若いままでその生涯を閉じる。それが愛玩種族であるロリペド族の宿命なのだ。
ジェノスさんのおかげで私はたくさんお金を稼ぐことができた。でもそれがいったいなんだというのだろう。家庭を持つことも許されず、生まれた子供は特殊な奴隷契約をさせられる。そしてまた身体を売ることを義務付けられ若いままで死んでいくのだ。
そして私が死ねばその財産は全て雇い主と憎たらしいあいつのものになる。結局私達は搾取されるために生かされているだけだ。
ジェノスさんが私に夢中になってくれたことは正直嬉しかった。彼はとても優しかったし私だけを見てくれる。もし彼と愛し合い、家庭を持つことができたらどれだけ素晴らしいだろう。
でもそんな普通の幸せを望むことは許されない。私達の背中に刻まれたこの奴隷紋が許さないからだ。元々私達は淫魔の系譜で強大な魔力を持つ。この背中の奴隷紋はその魔力を封じる役割を持っており、その魔力を利用して私達を自壊させるのだ。
だからもしその奴隷紋を消すことが可能なら私達ロリペド族は人間と敵対するかもしれない。特に許せないのはそんな仕組みを作り上げた愛の神ラフティの使徒ペドラだ。
私達ロリペド族も今や私を入れて何人生き残っているだろう。自分の人生に絶望し自ら生命を断つ同胞は決して少なくない。そして私達は子供ができにくい身体にされている。それらのことが個体数減少に拍車をかけ、私達ロリペド族は絶滅の危機に瀕しているのだ。
「もうこんな時間か……。行かなきゃ」
そして私は今日も銀の猫亭へ仕事に出かける。もう私だけを見てくれたあの人は来ないだろう。ほんのひと時の偽りの愛の時間。もうそれすらないのだと思うと憂鬱だ。
もし許されるなら。
私は私を愛してくれたあの人の腕の中で死にたい。
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