第6話 初恋
宿屋も見つけ、ある程度冒険に必要な物も買い揃えた俺は娼館を求め散策していた。といっても場所は冒険者ギルドの男性に情報料を払えば簡単に教えてくれたがな。昼でもやってるが夜の方が賑わっているのはどこの世界も一緒。
俺は夜になるのを待って聞いた場所へ赴く。銀の猫亭と書かれた看板には女性が投げキッスをしている絵も描かれている。うん、いかにもな看板だな。
俺は早速中へ入る。見た目は酒場だが客は男ばかり。そして給仕をしているのは全て女性で露出の高い衣装を身にまとっている。
「いらっしゃいませー。こちらへどうぞー」
中へ入ると早速店員が俺に近づき、席へと案内する。この店員なかなか可愛いじゃねーか。ていうかむちゃくちゃ幼く見えるんだがいくつなんだ?
まず身長。どう見ても150どころか140もないだろ。顔立ちも幼いし胸もツルンペタンだ。まさかこの子も買えるというのか?
うーむ、赤い瞳と銀色の長い髪がとってもぷりちー。衣装も敢えて露出は控えめになっており、愛らしさを強調したゴスロリのような服。うーん、抱きしめてスリスリしたくなるぜ。
「ありがとう。ところで、君随分幼く視えるんだけど……」
「あはははは。私はロリペド族っていう種族ですからねー。これでもちゃーんと成人してますよー」
「マジか! んで、ねぇちゃんが俺の酒の相手をしてくれるのか?」
ご、合法ロリ……だと?
しかしロリペド族ってのもすげー名前だよな。いったいどんな特徴の種族なのか後で聞いてみよう。
「ええ。チェンジもできますけど私でいいですよね。おにぃさんもう鼻の下伸び切ってますし。あ、私ルルナっていいます。よかったらご贔屓にしてね」
前世じゃ女に無縁だったからな。可愛い女の子に話しかけられたらそりゃ鼻の下も伸びるってもんだ。
「よし、ルルナちゃん。先ずはエールを二つだ。ルルナちゃんも飲んで大丈夫なんだろ?」
「ありがとうございますー。ええ、勿論大丈夫ですよー。おつまみに何か頼まれますか?」
「そうだな、適当に見繕ってくれ。一緒に食べようぜ」
「うわぁ、おにぃさん太っ腹ですね。じゃあお言葉に甘えてこれ頼んでもいいですかー?」
ルルナの指差したメニューはミノスステーキセット。値段は金貨1枚だ。そしてもう一つは高級媚薬入りワイン。これまた金貨1枚と結構な値段だ。だがこれくらい今の俺なら余裕で支払える。
「それと、金貨3枚で私を買ってくれたらサービスしますよ?」
そしてルルナが俺の耳元で優しく耳打ちする。さらに軽く息をふきかけ、俺を誘惑した。やべぇ、こいつはたまらん。この時点で既に俺の愚息は臨戦態勢に入っていた。
「いいねぇ、商談成立だ。それと料理は俺も同じものを頼む。ルルナちゃんが選ぶくらいなんだから美味しいんだろ?」
ここは太客なことをアピールして次に繋げないとな。俺のロリ魂に火をつけるとは罪なやつだ。
「ええ、お勧めですよー。エールも飲むんですよね?」
「もちろんだ。先ずはエールだな」
是非この出会いを乾杯せねばな。
「では、私込みで金貨7枚と銀貨2枚お願いします」
「おう」
俺はアイテムボックスから金貨20枚を取り出しルルナに渡す。かなり多いのは俺の気持ちってやつだな。ここはカッコつけるべきだろ。
「え、金貨20枚もありますけど……」
俺の渡した金貨の枚数にルルナは身を見開いて驚く。そりゃそうだろ。請求額の3倍近いからな。
「この後の君の時間全てがほしい。それで足りるかい?」
俺は精一杯のクールな笑みを浮かべルルナを見つめた。そう、ヒーローは目で犯……じゃなくて語るのさ。
「……こんな時間からオールナイトを受けるとは思いませんでした。本当はオールナイトは夜10時からなんですけどわかりました。お受けします」
ルルナははち切れんばかりの笑顔でオールナイトを受けてくれた。そうか、本当は10時からなのか。受け付けより3時間近く早いな。
「ありがとう。俺の名はジェノス。いずれこの街に俺の名前が轟くはずさ」
「はい、ジェノスさんですね。よろしくお願いします。では注文ついでにエールをお持ちしますね」
ルルナは金貨を握りしめカウンターの方へ向かった。そして戻って両手にエールを持って戻って来る。
「お待たせしました。はい、これジェノスさんの分です。では乾杯しましょう」
木で出来たジョッキを俺に渡す。そして乾杯を求め俺にジョッキを向けた。
「ああ。俺とルルナとの出会いに」
「「かんぱ~い!」」
そして俺とルルナはジョッキを軽く合わせて乾杯した。そうだ、せっかくだしロリペド族について教えてもらおう。
「そういやロリペド族ってどういう種族なんだ?」
「私達はですね、小さい身体と童顔を活かして可愛がってもらえるように作られた種族なんです」
「作られた?」
「ええ、私達は人間達の手によって作られた愛玩種族なんです。だから私達は生まれながらにして心は奴隷なんですよ。人間に依存しなきゃ生きていけない、そんな悲しい種族。それがロリペド族なんです」
そう語るルルナの目から読み取れる感情は諦めだった。自虐的に笑い、悲しさを隠そうとしている。
「そうなのか。もしかしてロリペド族って女しかいないのか?」
「ええ、女性しか生まれません。そして私達を孕ませられるのも人間だけ。それなのに人間との婚姻は認められていないんです」
「ひどくねーかそれ。子供ができたらどうするんだよ」
完全に性奴隷にするために生み出された種族ってことか。この世界の倫理観はどうなってんだよ。
「奴隷行きですね。そのために人間と結婚してちゃ駄目なんですよ」
「そうか、悪いことを聞いちまったな」
しまったな、聞くんじゃなかった。そんな俺の気持ちを汲み取ったのか、彼女は朗らかな笑顔を向け明るく話す。
「いいんですよ。憐れむくらいでしたらまた私を買ってください。さ、湿っぽい話は忘れてジェノスさんの武勇伝とか聞かせてください」
「おう、そうだな。じゃあ俺のベヒーモス退治の話を聞かせてやろう」
「ええっ、おにぃさんベヒーモスを倒したんですか? 凄すぎです!」
ルルナはとても良い子だった。俺の武勇伝をうんうんと頷いて聞いてくれ、俺を褒めちぎる。女の子とこんなに楽しく話すなんて何年ぶりだろうか。
そして、夜も最高だった。俺が初めてで緊張していたのを理解したのか彼女はリードしてくれた。あまりに気持ちよくてすぐにイっちまったが彼女は笑わずに「そんなに良かったですか? 嬉しいです」と微笑んでくれた。そして媚薬の影響もあってか俺は回数をこなし、最高の朝を迎える。
もう俺は彼女に夢中になっていた。それからも俺はこの銀の猫亭に足繁く通い彼女を指名する。そして必ず大量の金貨で彼女の夜を独占した。他の男に触れられたくない。そんな俺を笑うやつだっていたさ。知ったこっちゃないけどな。
当然それは冒険者の間にも噂になり、ギルド職員の耳にまで届くことになる。
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