Endrole.15...The happy ending!?
僕らは家まで戻ると、亜紀の映っていたDVDがあった。
「どうしたの、これ?」
「実はね……亜紀って、生命体じゃないの」
「どういうことだ?あの時触れていたし、風邪も引いていたのを確認したぞ?」
「実はね、ホログラムの組織体で、いつでも彼女の原型を取り出せる」そう言って、彼女はDVDのswitchを入れた。Switchをonにすると、彼女の姿が映しだされると信じていた。すると―――。
ボタンが分かれており、英語で、復元いたしますか?と尋ねられていた。
New Yorkの研究機関にA&GCampany,と呼ばれる会社がある。Nano technologyの生命体を研究し、ホログラムの二次元データを三次元化する計画を立てていた。それに近い三次元の生命体の人種をNano technologyで培養し創り上げる。
人造人間と、神の作りし生命。その姉妹だったのだ。
「知らなかった。君達は、人類を超越していたのか―――?」
「実はね。ごめんね、蔵人。同じ男性〈ヒト〉を好きになっちゃった。どうしよう……」
「僕は―――」立ち止まる。ふと振り返ると、後ろ手で、とんかつを挟んだサンドイッチを持った亜紀が立ち上がって、どうぞ。という。
純情な僕は、悩ましい。
「助けてくれ」
「何を?」
「僕に亜紀か亜子か選択する自由を与えてくれ」
「あたしじゃいや?」そういう亜紀。
「あたしはどっちでもいいわ。好きにしなさい。大人だし」そう亜子が言う。
「良いのか?」
「所詮私は死んでしまう身でしかない。神の作った人間など、いつかは滅びてきたでしょう?」
確かにそう言えばそうだ。
人間は神の失敗作。
であれば―――選ぶ道は決まっていた。
「君にするよ、亜子」そう言って、亜子を抱き締めた。亜子は何をどうされたのか分からず、???となっている。
「永遠の命が欲しくないの?」
「形は変わる。僕にだって、朽ち堕ちる権限があるならば、君をいつでも選べるんだよ。君がもしよろしければ、だけどね」そう言って、亜子を抱く。亜子は顔が真っ赤になった。
「い、いい加減にしなさい。私、いつかは滅びるのよ?」
「滅びたら、亜紀の下に還る。約束するよ。君達を永遠に束縛しても良いかい?」そう言って、二人を引き寄せた。
「ありがとう、蔵人。両方を好きになってくれて」
「君も、いつかは呼称したらなくなる人材だからね」
「分かってるわ」そういってカツサンドを食べる。うん、美味しいという。
「どうする、蔵人?今日から」
「―――大学も卒論書いたしな。修業みたいなもんだ。卒業したら、就職の予定も決まっていない。君たちは?」
「あたしは、NanotechnologyのA&GCampany,というところなら紹介してあげられるけど」亜紀は言った。「ただし、研究される側に回る可能性は常に付きまとう。注意しておいた方が良い」
「亜子は?」
「あたしは、異邦人に近いかな、存在が。空気を吸って生きているような人間だからさ」そういって笑った。
夕焼けの日に、コイビトと名乗ったヒトが作られた秋の季節。
僕は悪くないとは思えなかった。女に散々振り回されて、冒険した挙句、この様だ。
Dark sideに堕ちたのか、Happy endなのか、分からない。
「―――どうだろうね?」蔵人は肩をすくめた。
文鳥が無く。残響が、遠くまで聞こえた。
最近亜紀のDVDが煩い、と思い始めた。
なんというか人間臭くて騒々しいから、DVDごと燃えるゴミに出した。
スクラップしていくゴミ収集車。
それを見て、TVに視点を切り替える。
北九州市内の一角で惨殺死体が燃えるゴミに出されていたとのニュースがあった。
そうだよな、僕だって生きていたら多分似たようなことやっていただろう。
女に対する扱いなんて所詮そんなものだ。
すると、ドアベルがなった。
いらっしゃい。
そう言って玄関に行く。すると、見知らぬ男性がやってきた。
「ああ、すみません。小料理屋をやっていまして」
チラシだった。行ってみようかなと思った。
小料理屋は屋台で、屋台にランタンがつるされていたオシャレな一角。
北九州市に来るのも久しぶりだなと思った。
「エクレアへようこそ、お客様注文は」
「分からないよ、メニュー乗っていないし」
そういえばメニュー表がない。
「安いので、よければ」
そう言って、作ったのはポワレと牛肉のフィレと鴨のソース合わせ
「どうぞ」
食べてみる、旨かった。食べたことがない味。
「なぜ料理を始めようと思ったんですか?」
「好きな女性のために作っていたんですけど、記憶を消しちゃいましてね。小説家になれずじまいで。とうとう料理屋さんをやっていたのですよ」
へえ、じゃあ、あの時のニュースの一件か。
「あのニュース見ましたよ。あなたでしょう?」
「いや、星の力を頼って包丁でブスリと女の記憶を消して、精神世界を僕だけの物にしたのですよ」
「そりゃまた思い切ったことをしましたね、私も女性の記憶を破壊しましてね」
「お互い様ですな、わっはっは」
店主の名前は達郎という。30代の男性。そう言ってカクテルを酌み交わした。
そこへイタリア人みたいな顔立ちの男性が現れた。
「ちょっと顔貸してくれ」イタリア人みたいな男性はスマホを広げてbossというアカウント名でチャットをしていた。
「いらっしゃい。おや浮かない顔つきだね」
「まあな。ちょっと同僚の部下の記憶を消してきた。ケーキが欲しい」bossは言った。「新たな門出を祝うためにウヰスキーが欲しい」
「ラズベリーパイとスコッチはいかが」
「じゃあ、それでいい」bossは言った。
しばらく歓談した。bossがdiceをすると聞き、ハイアンドローをしようとウヰスキーグラスをさいころに閉じ込め、振った。
「じゃあ、あれにしません?出た目が偶数だと裏、奇数だと表ということに。いやね、私女性から水着見せてもらえる賭けをして特段興味はなかったのですが見ようと表のコイン引き当てたので、表で」
「私は裏」bossは言った。
「僕も裏だね」蔵人は言った。
引くと裏だった。表が二回、裏が一回の勝負になった。
「中々楽しかったよ、チップは私が出そう」bossは3000円ほど多めに達郎に配り、後を去った。
夜のネオンサインはイルカのショーが表示されていた。淡いレモネードを達郎が飲み、bossはグレープフルーツのカクテル、蔵人は日本茶で、三人とも連れて達郎がよく知っているAir Cloud Spot...紹介しましょうという話になった。
到着する。
星が囁く。
Vegaの独り言は、立ち去りなさい、とのことだった。
僕らはお構いなく騒いでいると、突然、めまいがした。あの頃の記憶が飛んでしまったのだ。訝し気に僕らは覗いてみると、そこに由真が立っていた。
「貴方は誰?」由真は言った。赤のフレアスカート、紅茶色のブルゾン、目が覚めるほど青いバッグ。「あたしは由真」
「僕は」と達郎が続けようとすると、bossだった彼が止めた。
「やめた方がいい」bossが言う。「君は確か小料理屋を営んでいたはずだ。覚えている」
「そうですよ、小説の続きは?見せて下さいよ」蔵人は言った。
「そうだった」達郎は言った。「こうはしていられない。じゃあね」
「どこへ行くの?」由真は言った。
「料理屋さんの続き。食べにくる、君も?」達郎は言った。
カナリアが鳴る。時はあのころに戻ったようだ。
〈Novels.〉Good bye myself. Dark Charries. @summer_fish
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