Episode.6...Nowhere.
何もしない日々が続く。
空白に埋め尽くされた時間は長い。
しかし、中に詰まっているのは、迷いとか戸惑いとかに似た感情。
紐をポケットに入れて持ち歩いたことはないだろうか。ああいった場面を想像し試しに実行してみよう。後に残るのは絡まった紐束だけだ。そう、そんな紐の束で支配されてしまった感情と、絡まってしまった意識は追随して僕の心を黒く泥んでいってしまう。金泥と化した心はまるでくすんだ原石になってしまう。
何でもない自分が何であれば良いのか分からず、何でもないという事実は人を、無意識に何をしたいのか、というよりも、何に生きればいいのか、ということが分からなくなってしまって。
堂々巡りが、独楽のように回転する。和独楽のように、全てが、ループする感情が、どうしても消えなかった。この蟠りをどうすれば良いのか。苦しみなのか痛みなのか、何に痛みを感じているのだろう、自分は痛みなんてどこにもないのに。そんな無感情にならないきっかけが亜紀だった。単純に一人になると、全ての悩みの大波が根拠もなく襲ってくる。絵美理も一緒だった。女の子と一緒にいると飽きない。でもそんな自分は果たしてどうなんだろう。いつまでもそういうわけにはいかない、という義務ではなくって、要は、『気恥ずかしさ』からくる、僕の意識も当然あったけれど、それよりも、そんなに居てて飽きないというわけでもなかった。ずっと女子の想いに囚われているわけにもいかないし、僕のやりたいことって何だろう、とか。友達なんでいないんだろう、とか。増やすとか、減らした方がいいかもとか。それよりも疎遠になってしまった方が多分気楽だしな、と自嘲する自分もいて。
―――彼女は新しく何を始めているだろうか。
想った瞬間は数えきれない瞬間は数知れない。しかし、その思いは漠然としていて、彼女と一緒の体験を共有したいのであれば、単純に絵美理であれ、亜紀であれ、どっちでも良かったのではないだろうか。その漂泊とした浮ついた気持ちが、迸る想いを熱くさせる。
―――僕とは、何だったんだろうか、って。
今さら、優しさを貯金して、スポイルして、甘えている自分がどうにも憎らしいとも思わない。単純に助かっているし、僕は僕である、単純にその事実だけでしかないのが焦っていて、満たされない想いは彼女を見ると起こってくる。
―――沸々と。
何が正解で、何が正しいのか分からない。
―――泡のように湧いてくる。
波しぶきが光の反射で跳ね返ってくる、その眩しさのような想いが僕を束縛する。
僕は何か間違っているのだろうか。何かが間違っているから、彼女に救いを求めるのだろうか。間違っている根拠はどこにもない。
―――だったら、全ての情報は何者になるための情報でしかないのか。
そのように社会は決めているわけではないことくらいは知っている。だけど、学生の身分で、新しく何かを始めるには、限られている趣味は多分山ほどあるだろう。
『どうしてそういう発想に行きついたの?』
そう問い返すのは、やはり心の向こう側にいる僕だった。僕らはどうであれば、いいのだろうか。何故神様なんているのに、向かうべき道は勝手に作っていて、向かうべき本来の場所を教えないのだろうか。
『向かうべき本来の場所って?』
その答えは単純かつ明快な防衛本能からくる活動。
―――自分が自分らしくある、ということだ。
劣等感と共に湧いてくる本能に、僕はどうすれば良いのか分からず、その波しぶきが、徐々に僕を何かに向かわせたいが、波は波らしく、僕を揺り籠の上に乗っかって僕を揺さぶり続ける。
その行為にどれほど価値があるのか分からないが、塵芥のような想いは、ごみのように積もってきて、彼女と一緒に住んで灰のように燃やし、また、ごみが現れる。
ただ、ごみを作りだすのは人間かもしれない、と恨んだことはない。単純に自分に起こった湧きあがる想いが、純粋であってほしいと思う。
―――それが自らに課した防衛本能だ。
宝石のようであってほしい。
そこまで美的でいられるだろうか。ただ今の自分はあまりにも脆く、炭のように剥がれ堕ちる程度の存在だ―――だから。
この世界は最高だ、という小説があった。
しかし、この世界は多分綺麗であってほしいと願う傍観者でしかないのだ。
未だ。
今は。
そういう事なのだろう。それが生きるという事なのだろうか。生きるのは辛い。青春よりかは、ずっと青春だろうけれど、リア充なんてどうでもいいのだ。そんなものを望んだわけではない。行きつく先の悔いの残らないのであれば、どうでもいいのに。
その想いがループするんだ。
機械で回した独楽は回転することは止めないのかもしれないな、と自嘲して哂った。晒す程度の価値のない悩みに僕はまた、何かが狂っているのかもしれない、と思い直してみる。
その状態が今だった。音楽も聞いているし、映画も見ているけれど、それで充足される想いは無くって、彼女でも充足されなくって、多分お金があっても無理だろう、と半ば半分諦めている。それがまるで何か信念を抱いた人間のように見えて、信念という強さはなく、何かにチャレンジしたいという想いはこれっぽっちもなく、全ては灯りのように灯って照らし出されていて、そんな世界は一体何なのだろう、って思った。
『困らないでよ、あたしがいるから―――』
そういうセリフを言われた時、僕はきっと彼女を見捨ててしまうんだろう。
全ては全に、全ては個に向かって行ってしまう人生ではありたくない、と悔いのない人生って、彼女と一緒にいて面白いと有り続ける社会が人生だろう。考えたくって、考えているわけではない、考えた先は、悩んだ先は、ずっと迷路だという事を知ってしまって、帰れなくって、放課後みたいに終わってしまえば、それで済むような事実はどこにも無くって―――だから。
……彼女に安寧を求めることにした。それは面白い事もあれば、楽しいことばかりじゃなく、喧嘩が起きたら議論して、全てはうまくいかせようと互いに努力した結果だったけれど、何も思い浮かばないときは、彼女と他愛のない話しをし、ふざけ合う日々が続いて。
時々湧いてくる泡が、一人になると襲いかかってくる。
泡が集まって僕を救いあげる。
心の階層でいえば、上へ向かう方向に。
心の下にはもう行っただろう、って。
―――誘うように。
だから、僕はいつまでも考えている。全てはどうであれば、良かったのだろう、って。
昔はそうだった。小学生はそんな思いばかりで、何も考えなければそれでいいって思えなくって。
単純に小学生から、中学生になると、やらないといけない社会のレールが現れて、何かが紛れて、それに集中していればそれでいいって、単純に助けてもらった経験ならいくらでもある。
高校生もそうだった。しかし。心の向こう側の僕はまだ、語りかけてくる。
―――僕を絶望の淵へ誘うように。
しかし、そう考えていた小学生時代。
しかし、中学、高校へ社会の階層が上がると世界は違っていて、昔はそうだったけれど、やはり世界は違っていて。
僕は小説のように。
―――シンクロしていた心の声は向こう側から一つになり、宝石のように美的で、星のように心の光が灯り、知的に狡猾に叫んだ。
一つの獣のように、オオカミのように何もない場所で僕は実に単純明快に叫ぶ。
『この世界は最高だった。恐らくこれから先、間違いは存在しない。間違いなんてどこにもないんだ。寂寞の悩みなんて砂漠のように不毛で、その想いはもう霧消して消し去った。小説のタイトルを詩的に引用すれば、―――日はまた昇る』
―――そうだろう、皆?
あったはずの想いがあっただろう。僕だけではないから、彼女も同じように僕らと泥んでいる。そんな泥のような関係は、多分、もう辞めたくなるくらい、世界はカッコよくって、全ては閉じた瞳が、一度に開かれると、景色は広がった。
とある小説の一節にあった、閉じていた瞳が生まれるにつれ広がっていく景色を見ることを願うような、胎児の夢のような想いは多分色あせないだろう。
そんな想いが、僕を小学生時代から揺り籠のように高校生になっても今のままだと、何にも無くなってしまうんだよ、分かるかい、って山彦のように呼ぶ。
それが今の自分だった。
やはり一生この想いは変わらないだろう。だから、将来の夢だろうが、何だろうが、何事にも真剣だった―――全ては全だと信じていたから。
だから、今の自分があった。やはり間違いなんて泡はなく、正解みたいなカッコよさしかなく、そんな序列がどんどん現れて防衛本能なんて想いは微塵もなく、だから。
―――知りたくなったんだ。
心の外へ開かれている景色を、心の向こう側は多分、内のものとは違っていて、やはり、面白い。
それが僕は知的好奇心がある理由だった。
―――戯言かもしれないけどね。
僕は笑った。
亜紀は笑わなかった。
真剣に聞いてくれていた。愛情と優しさが、うわべだけでしかないのであれば、僕は全ての独白を罪と称して罰して退場してしまおう、それがこんなしょうもない話をした罰だ。と思えた。しかし彼女は違った。真剣に話を聞き、彼女は彼女らしく話を聞き、一言も言わず。
黙って微笑んだ。その微笑は月に満ちた時に光ったルーン文字のように美しく、僕を照らしてくれていた。それだけが暖かくって、僕は僕で有り続けられる。
そんな存在に罪なんて言葉は戯言だろう、満たされない想いはとことん劣等感を持って他人を退場させ、孤独を選ぶ。この防衛本能が新たに生まれた。彼女には話していない。
彼女は困るだろう、と思えたからだ。彼女にしたってそんな壊れたピンボールのような悩みの弾かれたスフィアのようにあちこちに八つ当たりされても困るだろう。妙な所で大人しかったが、しかし、今の想いは、彼女に対してではなく自分に自分で八つ当たりをしてしまっている。
バスタブの中にゆっくりと浸かると、そっと自分の体を抱きしめた。
僕は、僕だったんだ。僕でしかない、ってどうして知らないと思っていたんだろう。心の階層だのなんだの、そんな八つ当たりのタペストリーに埋もれてしまって僕は僕を見失っていた。
―――彼女は、僕の味方だ。
それだけで十分さ。心の向こう側の新しい事実を全て否定する言葉は、そこにあったんだ。心の内に誠実さを兼ね備えた新しさなんて僕には必要無かったんだ。それがソロバンみたいに、杓子定規みたいに僕に覆いかぶさってきて、また僕は僕を見失い、彷徨う。
また、今度はピアノしてみようか、だなんて自嘲して、ギターショップへ足を運ぶような生活みたいになるんだろう、と漠然と考えていた自分だなんて、一喝して胸張って、太陽のように輝いて、僕を見降ろす。巷で言う、ツンデレっていう萌え属性だって、きっと最後はヒーローを演じるんだろう。
―――丁度、見上げた視線の先が彼女の頬笑みであったかのように。
それが、道端に咲いている花をポプリにしてみたような、気さくに気軽に、でもどこにもないオンリーワンの笑顔がそこにあって。
それが彼女だったから、僕は選んだのだろう。多分、この先ずっと間違わないだろう。虚無で包まれた泡みたいな間違いも、多分想像の内に包まれ、きっと新しいことがあったとしても、それはそれなんだろうな、と許容するくらいの心の器が大きくなっていってしまうんだろう。
僕は大きくなったんだろう。その代わりに、何かを捨てなくてはならない。その交換は、電池のように定期的に行われるわけではなく、彼女の存在はずっと半永久的であったから、僕は、救いになっていって心は大きくなったままで、大樹の下に木陰で休んでいるハチドリのような、一掬いのオアシスが欲しかった。多分、絵美理でも良かったのかもしれない。しかし、そこまで話そうと思えるほど、道はそんなに誰にでも開かれていなくって、僕の道を辿ろうとする信念は評価出来たけれど、僕は、どこへ進んでいるのか、誰かに相談するんだったら、多分。
『運命の人って、信じられるかい―――?多分居ないんだよ。多分、道を繋ぐバディみたいな役目は自分で見つけなくてはならないけど、そんなに人って分かってあげられないし、自分は自分で切り抜けなくてはならないから―――今の僕があったんだろう、なあ、心の向こう側の僕』
すると、僕はもう悩みの種が消えた。僕は、僕だったんだ。彼女に対して獣でも、うす笑っているわけでもなく、オオカミのような狡猾さを持っているわけでもなかった。そうでしょうね、と彼女は、笑った。今度は間違いなく、同じ目線で、テレビでも見るように。
やっぱり、亜紀で良かった。防衛するほどの拒絶の意志は無く、虚心坦懐するほど僕は、明鏡止水の心で、僕は彼女のことを真っ直ぐに見つめ、こう言った。
僕は君で良かった理由が、分かった。彼女は、テレビを見て、そうね、私はあなたでなくてはならない理由はあんまりなかった。ただ、貴方の想いは多分誰よりも真剣で、大人になると多分諦めてしまう類の想いだろう、と思えたから、そういう事で悩んでいると打ち明けてくれて嬉しかった。私は、貴方にとって何なんだろう、と思えた。しかし、やっと分かった。
『私は、貴方のパートナーなんだろうね―――』
亜紀は言った。
僕は、彼女の髪をなでた。彼女は嫌がらなかった。気の効いたセリフをいくつか思いついたが、そのゴミみたいなセリフをダストボックスに捨ててしまって、彼女と一緒にテレビを見た。内容は頭に全く入らなかった。まだまだ僕は狡猾にはなれないんだな、と思った。
狡猾というよりかは安寧。別の言葉が思いついた。安定というよりかは、一休みのオアシスのような安寧でありたいんだろう、僕にとっても彼女にとっても。
そう知ってほっとした。彼女は、やっと分かったのね、とだけいって出ていった。どういう意味だろう、と考えた。
彼女は多分僕より先に砂場に埋められたフラッグを手にしたんだろう。要は彼女は僕のことを一足飛びに理解している。彼女は頭が良い。多分、僕よりかはずっと遥かに高度な事を考えられるのだろう。
ただし、そう言って褒めることはしなかった。
自分が彼女に対して諦めた信念を抱いたまま、自分に惑うままの自分に戻るわけではなかったが、しかし狡猾でいたいオオカミの本能は僕の体に迸る。
―――モスグリーンの下、絵美理は僕と出会った。たった、それだけの事実から絵美理は僕に近づく権利を得て、今の僕がある。しかし、英吾の存在は僕にとってどんな影響を及ぼすのか分からなかった。未知数の彼の存在に僕は、彼氏持ちの彼女を連れまわしたというこんな大事な時になっても、友達でいられるだろうか、と漠然とした想いがあった。
『なりたいのかい、彼と友達に?そんな言っているほど興味があるのかい?』心の向こう側の僕が言った。
言っているほどの興味とか、そんなうわべの言葉じゃなく、彼女の彼氏はどんな人だったんだろうって、それだけの興味だった。そんな興味くらい持ったって良いだろう。亜紀と絵美理は僕の興味を全否定していたが、どうしてそんな事をしてしまうのだろう。
亜紀は別にいいんじゃない、と言った。絵美理はうーん、紹介するほどの奴じゃないし、あいつ馬鹿だから、苦手なんじゃない?私は頭いい男の人って好きだけど、好感持てるから。
そう言ってさりげなく告白した。
僕の体はカッと熱くなったが、すぐに収まった。やはりバディの安心感は大きく、いつでもどこでも亜紀がいればどうなってしまってもいい、と思えたりもするんだろうか。亜紀はそんなこと言ったら、私いないと駄目じゃない、と言って笑った。
僕は、笑わなかった。そんな駄目なくらいの駄目な奴の方が多分一緒にいる奴ってそのくらい駄目な奴の方が良いんだと思ったからだ。
『だから、君は駄目な奴なんだよ、分かるかい?』心の向こう側の僕が言った。
―――分からないね。君みたいな心の向こう側で安全地帯にいていつまでも安寧気取っている奴には分からないんだよ、僕の気持なんか。見掛け上の安寧にいつまでも縋っている奴の気持なんか。
そう言ってしまいたかった。しかし、心の向こう側にいても、いなくても僕は僕であるわけで、平然としている心の外側の理性と、感情的な心の内側に苛まれて僕は悩んでいる。
僕はどうしたら、いいだろう、って。
―――いけないあり方ってないと思います。
そういうのは、絵美理だった。どうして、彼女に言おうと思ったのか。最後まで分からなかったが、僕が苦しそうに見えた、と言って勝手に彼女が抱きしめてきて、あの時の木漏れ日の匂いがふわっと香ってきて、クラっときたからだった。たったそれだけで、亜紀との関係を反故にしてしまった気分が僕をアンニュイにさせる。どうして、僕にいちいち口応えするんだろう、とは言わなかったが、多分、同じ想いを亜紀も抱くだろう。しかし、彼女は続けた。
―――貴方が映画を見ていて、素朴な感想を言っていたり、していたことは覚えています。その時の貴方は狡猾という感じはしませんでした。きっと心の向こう側の自分も気取っているんじゃないですか。そもそも貴方は気取っているようには見えません。だから、自嘲しているんですよ、優秀な人達を見聞きして、自分もその輪に入りたいといった裏側の気持ちとかあるんじゃないですか?
考えたが、僕は優秀でいたいわけではない。しかし、偉くなったり、実力を付けるためにひたすら目の前の目標に頑張っているわけで、そういう意味では優秀でいたいのだろう。
しかし、僕は―――その前に、どうしてそんな話をしなくちゃいけないのか。優秀だろうが、優秀で無かろうが、自分で自分が立派だという道を辿っていたい。たった、それだけの想いだった。立派というよりかは美的でありたい、あの時に抱いていた信念くらいは宝石箱のように閉じ込めておきたい。そんな思いが僕を突き動かしたんだろう。僕は絵美理にそう説明する。
―――成程、自分が基準にあるわけですか、自分の基準で物差しで測っていて、結局行きつく先がないのであれば、誰かと比べるしかなくなるんじゃないですか?そう思って言ったのですけれど。
僕には、心の向こう側にもっと優秀な自分が備わっているから、そんな他人と比べる必要はないんだと思うよ、というと意外な答えが返ってきた。
―――自分を駄目呼ばわりするような自分が、優秀であるとは到底思えません。やはり彼女さんについていった方が良いですよ。支えないと、その内バランス崩しますよ。心の防波堤が崩れたら、一気に駄目になってしまう。
それは貴方にとっても危険です。多分、亜紀さんにとっても、私にとっても。貴方の事が好きだからこそ言っているのです。
―――貴方が貴方で無くなってしまう事が寂しい。
彼女はそっと僕の飲んだ缶コーヒーに口を付けた。おいしいよ、これも、と言ってミルクティーを差し出す。
その手は暖かかった。そして僕の手をぎゅっと握った。
―――悩んだ事実は裏切らないんだと思います。頑張ってください。
最後に分かれ際にそう言った。
僕は振り返らなかった。影が伸びていく時間帯、昇った夕陽が堕ちていく時間に僕はオレンジの地平線に向かって歩いて行った。
彼女とは別れたが、悔いは残らなかったのは確かだった。それだけ、彼女は彼女らしい返答を僕にくれた。もし今が青空だったら、彼女は一緒に散歩に着いていく事を了解しただろうか。
―――心の向こう側の自分は何も返答をくれなかった。
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