第3話「運命の相手だったと思う」

アプリを始めて、初めてこの人だと直感的に思える相手と出会った。


気の合う彼とは最初の電話も永遠と話せそうなくらいに楽しかった。

結局電話をした日は夜中まで話す事が多かった。


初めて会った日、彼は徹夜だったらしくげっそりしてやって来た。

その日はいい天気だったので、私がピクニックに誘ったのだ。

コンビニで買っただけのサンドイッチを食べながら色んな話をした。

仕事や、趣味、最近ハマっていること。


そんな話をしているうちに限界が来たのか彼はすやすやと寝てしまった。


初めてマッチングアプリで会った人の前で寝るとは、危機感のない人だと思った。


しばらくすると彼は起きて、私たちは街をぶらぶらして、歩き疲れたのでそのままバイバイした。

 

彼といると本当に気を使わずに過ごすことができて、こんなにずっと一緒にいれそうな相手は初めてだと思った。


映画の趣味も読んでいる本も、まるで同じで、よく私の家に泊まっては映画鑑賞をして語り合った。


何回か会って、一緒に寝るうちにこの人と手を繋いでみたいと思った。


そっと手に触れてみると、彼は握り返してくれた。それが嬉しくて、何だか恥ずかしくて、

それから私たちはキスをした。


それから私は彼にリードされながら初体験することになったのだった。


今まで、他の人ともそういう雰囲気になることはあったが、全くもってする気持ちになれなかった。

だけど、彼と一緒に寝た時、この人だと思った。


そういう日々が続き、いわゆるセフレという関係になってしまったのだ。


彼と付き合いたいと話してはみたが、どうやら乗り気では無いらしい。


じゃぁなんでマッチングアプリなんかしてるんだと、彼女が欲しいんじゃないなら遊び目的のアプリを入れてくれと

何度も思いながら約束を取り付けては会いに行ってしまった。


これが長く続くのは良くないなと思って、

ちゃんと告白してみたものの


「まだ付き合わなくてもいいかな」


と言われてしまい、

私は彼と会う事を辞めた。


その日は友人を呼びつけ盛大に号泣し、深夜カラオケで歌ってはまた泣くを繰り返した。


泣きながらも、寂しくなってはアプリで恋愛を楽しもうとしてしまう。

でも結局同じようなやり取りばかりを繰り返しては、向いてないのかもしれないと携帯を閉じて、映画の中の物語に浸った。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る