チャプター5
ハティエルは日が暮れるまで、部屋で数日前に購入した本を読んでいた。
ソファーに座りながら、パラパラと分厚い本のページをめくる。地上のことはある程度楽園で学習しているので、変わったものをと思い、フィクションの恋愛小説を読んでいた。
本屋で宣伝されていた、グラムミラクト王国で人気の本らしい。
楽園では男女に分かれているが見た目だけの問題なのでそういった概念はなかった。人間になっているハティエルにも、そういう概念は特にない。
女神アリムに人間とは全く同じではなく、子供はできないと言われていることと関係があるかもしれないが、どうも第三者視点で考えてしまう。天使から見た地上人という視点だ。
物語は富裕層の女性と貧困層の男性の叶わぬ恋という、地上ではよくあるタイプの話らしく、世間的には感動したとか共感するとか憧れるとか、そういった感想らしい。
ハティエルも物語としては面白いと思う。ただ、それはいい暇つぶしになっているというだけのことで、共感は全くできなかった。
ギブアップして国に帰ったミュカはどうなのだろうと思う。共感するのだろうか。
ボルトラとジュナ、エリシアとラシッドもそういう関係になったりするのだろうかとも思う。
少し考えたハティエルは苦笑した。
ミュカはわからないが、他の4人はないなと。恋愛をしている暇があれば地下3層の攻略を考えるタイプだ。
暗くなってきたので壁のスイッチを入れて部屋に魔力を流す。
明るくなった部屋でもう少し本を読み、空腹を覚えたのでそろそろ食事に行こうと思った。昼間はホットドッグ1つしか食べていないので、流石にお腹が空いた。
ハティエルはポケットにお金を入れ、手ぶらで外に出た。
周囲はすっかり暗くなっており、街頭の明かりが目立っていた。
この日、ハティエルは前から行こうと思っていた店に向かった。
『酒場』である。
法律はそこまで厳しくないが、17歳のハティエルは酒の飲める年齢では無かった。ミルファスやサグ、ボルトラは飲んでいるようだが、どんなものか興味はあったし、飲めなくても雰囲気を味わってみたかった。
ギルドの近くの酒場にたどり着くと、楽しそうな声が聞こえてきた。
ハティエルは木でできた両開きのドアをあけた。
店は広く、8人がけのテーブルが10個あり、すべて埋まっていた。客は楽しそうに会話をしている。
左手の壁に向かってテーブルが並び、1人や2人の客が座っている。正面はレジと、裏手にキッチンがあった。
店員たちは忙しそうに料理や酒を運んだり、食器を下げたりしている。
キョロキョロと見ているハティエルを客の数人は、子供がなんだろうという目で見ていた。
人間の男の店員が見つけ、やってくると、
「ごめんな、ここは子供が来るところじゃないんだ」
と両手を返して言った。
ハティエルは酒はやはりだめかと思い、
「でも、ご飯は食べられるんでしょ?」
と返した。
「うーん、まぁ、そうなんだけど……ほら、店は満員だろ?」
「あのテーブルの奥、1つあいてるじゃん。そこでいいよ」
ハティエルはそう言うと、歩いていった。珍しいので周囲の視線も集まった。
「あ、ちょっと待って、そこは……」
店の一番奥にはガタイの良い人間の男が座っていた。白い髪だが、老人というわけではない。
中年の男は難しい顔でビールジョッキを飲んでいた。
そばには豆の入った小皿があった。食事よりは酒なのか、食事は他の場所で済ませてきたのだろう。
「よっと」
丸いスツールに座ったハティエルは、正面に置いてあったメニューを手に取った。振り返って店員に向かい、
「おすすめはなんなの?」
と言った。
「バッファローウィングとかオニオンリングなんかは人気だけど……酒のつまみだからなぁ……どうだろう」
「じゃあ、それで」
「飲み物はどうする?酒はダメだよ?」
「うーん……レモネードの炭酸入りで。甘くないほうがいいの?」
店員は頷いた。そして、隣に座る中年の男性に向かい、
「すいません、ディグラットさん」
と言った。ディグラットと呼ばれた男は興味もなさそうに頷いた。
料理を待っているハティエルは隣を向き、
「ご飯は食べないの?」
と言った。
男が無視するので、ハティエルはねぇともう一度声をかけた。
静かに酒が飲みたかった男は、うんざりした表情で右を向き、黙るように言おうとした瞬間、ハティエルのゲートトラッカーが目に飛び込んできた。
そこには月のエンブレムがあった。
「おっ、おい!」
ディグラットはハティエルの右腕を掴み、はっとして離した。
「すまない」
彼が声をあげたことで、周囲にいた客は緊張を見せた。いつも一人で何を考えているかわからず、屈強なディグラットとのトラブルには巻き込まれたくなかった。
ディグラットはしばらくジョッキを見つめると、
「アンブリアを突破したやつがいるっていうのを耳にしたが、あれはお前なのか?」
と声を落として質問を投げた。
「うん、そうだよ」
「こういうことを言うと失礼にあたるのだが……その……周りが優秀だった……とか?」
「あのねぇ、私は聖戦士なんだよ!タンクとして前線で戦ったんだよ」
「すまない」
「こう見えても17歳だからね」
ディグラットは驚きながらハティエルの顔を見た。とてもそうは思えない。
そこへ、店員がトレイを持ってやってきた。
レタスの横に真っ赤な鳥の手羽元があった。酸味のある辛いソースが特徴で、ビールに非常に合うものだ。それと、オニオンリングの乗った皿をテーブルに置き、ジョッキに入った炭酸入りレモネードを置いた。
ハティエルは興味津々で、
「どうやって食べるの?」
と聞いた。店員は、
「手で豪快にいこう」
と、おしぼりを置いて親指を立て、去っていった。
バッファローウィングを両手で持って口に入れると、モグモグと堪能し、無言でもう一度かじった。からくて美味しく、右手をおしぼりで吹くと、レモネードを飲んだ。
ハティエルはなるほどと思った。ビールだともっと美味しいのだろう。
夢中で鶏肉を食べていると、ディグラットは言った。
「俺も次はアンブリアなんだ。レストシンボルはまだだがな」
「へー、なら、魔法に強い盾を持っていったほうがいいよ。魔法、結構強力だったから」
そう言いながら、ハティエルはオニオンリングに手を伸ばして口に入れた。甘みがあってこちらも良い。
それを聞いたディグラットはふっと笑うと、
「俺はソロの重戦士だから、タンクはいないんだよ」
と返した。
ディグラット・ティターナ、36歳。彼はあえて一人でダンジョンに挑む、ソロの冒険者だった。
「えっ?じゃあ、デザートブリンガーはどうしたのさ。あれ、かなり速いし攻撃も激しかったよ?特に、怒ったあと」
「ヒットアンドアウェイでやった。回復はヒールロッドでどうにかした」
「じゃあ、毒は?」
「薬は持っていたが、使わなかったな」
ハティエルの隣にいた客や、周囲にいた客は、会話をすることを忘れ、2人の話に聞き入っていた。自分たちがまだ見たことの無い景色について語っているからだ。
「長い距離のキーは?あれ1人で野宿するのはきつくない?」
「服を着込めば問題ないし、一晩ぐらい寝なくても平気だろう?」
「そうか、そういう攻略もあるんだ。凄いんだね。えーと……」
「ディグラットだ。俺は色々あって、他人とつるむのは好きじゃないからな。あー……」
「ハティエル」
「ハティ、アンブリアは近寄れば怖くないということはあるか?」
「ない。周囲に火柱をあげる魔法があるんだ。物理攻撃も結構強いけど、重戦士だとどうだろう?デザートブリンガーよりましだから、攻撃ははじけるかも」
ディグラットは頷くと、ビールを片手にハティエルの話を聞いた。
彼は有名なソロの冒険者だった。実力は相当のもので、彼と組みたい冒険者は多かったが、けっして他人とつるむことは無かった。
話しかけられることすら、嫌そうな対応をされてしまう。
ディグラットはハティエルに、自分はダンジョンにある強力な剣を手に入れるのが目的だと言った。深層にいけばそういうのがあるはずだと。
ハティエルはソロと聞いて、天使のロザリンドを思い出す。話を聴く限り、ディグラットは強いからソロで十分という奢りではなく、別の理由であえて一人で挑んでいるようにも思えた。
彼は現実はしっかり見えているし、謙虚なところもある。
ディグラットは会話もあまりしないので、ハティエルとこうして普通に会話をしているのは珍しいことだった。酒場の店員も気を使って隣の席をあけていたぐらいだ。
「でも、ソロでダンジョンに挑むなんて人もいるって、驚いたよ。あー、でもゲイズも2人だったしなー」
「将軍が亡くなったっていうのは、本当なのか?」
ハティエルは頷いた。
「アンブリアが言ってた。あれさ、人型で会話できるんだけど、多分倒されても記憶が残ってるんだと思う。挑むときに私達のことを聞いてみなよ。きっと、知ってるはず」
「思い出して怒るかもな」
2人は笑った。
「それにしても、あのゲイズ将軍が亡くなるとは……」
「しょうがないよ。ダンジョンの攻略に将軍の知識はそんなに役に立たないんだし。たくさんいる部下を指揮するわけじゃないからね。あー、ゲイズの力が弱いって言ってるわけじゃないよ。臨機応変に対応できる力が弱かったんだ。これは私の想像だけど、コーデルトって部下も、部下のままでいたのが悪かったんだと思う。軍隊って、上司に逆らえないっていうし、戦闘中にやって欲しいことがあってもゲイズに指示したりはできなかったんじゃないかな」
ディグラットは豆をつまみ、口に入れた。ハティエルの話に聞き入っている。
「ダンジョンでは仲間って感覚じゃないとダメだよ。ボルトラファミリーみたいな感じのほうがいいと思う」
「なんだそれは」
ハティエルは苦笑した。有名じゃないし、知らないかと。
「今の話を聞く限り、ハティはゲイズ将軍と面識があるように思えるが……」
「うん。一緒にケバブ食べた」
「ほう……」
ディグラットは満足そうにバッファローウィングを食べているハティエルの顔を見た。とても17歳と思えない女性は、なかなかのカリスマ性があるように思えた。あまり会話をしない自分も彼女の話には聞き入ってしまうし、もう少し話を聞いてみたくなっている。
彼はハティエルのパーティーがどんなメンバーなのか聞いてみた。
ハティエルはボルトラ、ジュナの紹介し、地下3層で死んだけどと、サグの紹介をした。
「なるほど、先程のボルトラファミリーというのは、お前たちのことなのか」
「ち、違う!」
ハティエルはついムキになって反応した。
だが、どうなのだろうとも思う。ハティエルはすっかり自分がリーダーのつもりでいたが、もしかしたらボルトラは自分がリーダーだと思っているかもしれない。この認識はどこかではっきりさせなければと、レモネードを口に入れながら考えた。
そこで、ハティエルはジョッキを飲み干してしまったことに気づき、店員を呼んでおかわりをした。
「一つ言っておくけど、しじまの海はヤバイよ。敵が音もなく襲いかかってくるんだ。気がついた時にはやられてる」
「殺気もないのか?」
「殺気?私にはそういうのはよくわからないけど、明日からエリシアに修行してもらうんだ。対策はあるんだって」
すると、ディグラットは食事を終え、立ち上がった。彼は、
「ありがとう。ハティの話、面白かった。今日の話を踏まえてアンブリアの対策をしばらく考えてみるよ」
というと、会計に向かって店を出ていった。
その瞬間、ハティエルは他の冒険者に囲まれた。腕を掴んで8人がけのテーブルにハティエルを誘うと、案の定、質問攻めにあう。
ハティエルは昼間にジュナが言っていたのはこういうことかと思いながら、笑顔で答えてやった。
チヤホヤされるのは悪くはなかった。楽園で見習い天使に囲まれているのとは違い、行動を褒められるのは素直に嬉しい。それに、テーブルに置いてある料理を食べていいと言ってくれるのもありがたく、いろいろな味を堪能できた。
冒険者の1人がビールジョッキを片手に言った。
「エリシアさんっていいよなー。俺も一回助けられたことがあるんだ。地下1層の話だけど、あの人には感謝してもしきれないよ」
だよなと、他の冒険者も続いた。エリシアの容姿が優れているというだけではなく、冒険者全体のリーダー的存在らしい。
彼女が冒険者のサポートをしているという話は聞いていたが、こうなるのかとハティエルは思った。
だが、自分の目的はあくまでも大天使の試験、魔王討伐なのである。支援を受けることはあっても、する余裕はなかった。
そこでふと、月下の砂漠の夜を思い出した。
「支援っていえばさ、大きな斧を持った女の人を見たことある?」
砂漠をトーブではなく、一枚布で作られた白い服を着て、腰にベルトを巻いてうろついている女性のことを聞いてみると、全員知らなかった。地下1層を突破できていない冒険者がほとんどだということもあった。
ハティエルは私みたいな格好の人だと付け加えると、はっとした。思い返してみるとそうだった。
あれは、自分みたいな格好なのである。
そのことについて考えてみたかったが、冒険者から話しかけられてしまったので記憶から消えていった。
ハティエルは楽しい夜だったと思い、宿に戻っていった。
食事代は他の冒険者が払ってくれた。
-※-
次の日の朝8時、ハティエル、ボルトラ、ジュナの3人は時間に遅れずにギルドに集合をした。
ボルトラはやる気に満ち溢れ、1時間前にはいたらしい。
黒板を背にエリシアとラシッドが立ち、正面にハティエルたちが座っていた。
「早速、しじまの対応を説明しますねー。ここで講習をして、実践って形になりますー!」
ボルトラは力強く反応した。
「おう!」
「いいですねー。地下3層では音もなく敵が襲いかかってくるっていうのは、皆さんが体験したとおりですが、敵が見えないわけではないんですー。だから、4人が背を向けあって、全方向を確認しながらゆっくり進む形になりますー」
「は、はぁ……?」
ボルトラは予想外のひとことに、テンションを落とした。
「ウソですー!それじゃ、私とラシッドでは攻略できません」
ジュナはプッと吹き出した。
「ポイントは『殺気』ですー。今までの皆さんはおそらく敵を見たり足音を聞いたりして反応していると思いますが、殺気を感じて早めに反応してくださいー」
ラシッドが続き、敵は基本的に冒険者を殺しにくるため、地下1層でも殺気を出していると説明した。
殺気を感じるのは視覚や聴覚を使うわけではないので、慣れれば目をつぶって耳を塞いでも相手に反応できるらしい。
ハティエルは昨晩のことを思い出した。
「殺気かー。ディグラットが言ってたやつかな?」
何気なく言ったひとことに、ボルトラは身を乗り出して言った。
「おいおいおいおい、ハティ。ディグラットってのはあの、ソロでやってる有名なやつだろ?超強いっていうのは俺でも知ってるぞ?ゲイズ将軍といい、なんでそんな凄いやつと面識があるんだよ」
「昨日一緒にご飯食べただけだよ」
ラシッドは言った。
「あいつがつるむことなんて、あるのか。珍しいな」
「凄いって言うけど、あの人はこれからアンブリアだよ?もう倒してる私達のほうが凄いじゃん」
エリシアは続いた。
「ハティエルちゃんの言う通りですねー。ダンジョンは一人で攻略をしなければいけないって決まりはありませんから。私達5人のほうが凄いんですー!」
そして、エリシアとラシッドは殺気についての説明を始めた。
感覚では言いたいことがわかる。ただ、見えないものに対策するというのは、座学ではわからない。
まずは地下1層、始まりの草原に向かい、殺気を感じるための修行をすることになった。殺気自体はエリシアやラシッドどころか、ハティエルたちでも誰でも出せるので、まずは後ろを向いて、エリシアたちが出す殺気を感じ取ったら手を上げるというような単純なものからスタートする。
10日が過ぎる頃、ハティエルたちは感覚をマスターすることができた。慣れればなんてことのない話だった。
5人は再びギルドに集合し、今後について話し合った。
残りの課題は2つ。1つ目について、ボルトラが言った。
「襲撃については殺気を感じて対応できるかもしれない。ただ、地下3層の敵が単純に強いっていうのは残ってる」
「なら、エリシアたちが流してる装備を買えばいいじゃん」
「多分、ダメですよー。すぐ売れちゃいますー」
ハティエルはそりゃそうかと両手を返した。そんなに強力な装備であれば、お金を持っている冒険者はすぐに買うだろう。冒険できる人数も2人しかおらず、常に地下3層にいるわけではないのだから、流れる本数自体が少ない。
ラシッドは言った。
「いいじゃないか。修行しながら集めれば。地下3層は今までのようにすんなり攻略できるわけではないからな」
「敵が強いからか?」
ラシッドが返答する前に、ハティエルが反応した。
「地図がないんでしょ、あの海の」
「そうだ」
ラシッドは頷き、話を引き取った。
「攻略され尽くしている地下2層とは違って、地図がないんだ。エリシアと二人で進んだエリアはごくわずかだし、レストシンボルの位置も分からなければ、キーがいくつあるのかもわからない」
「そりゃ、時間がかかりそうだな」
「だから、私達は冒険者の支援をしているんですよー。今は5人になりましたし、マッピングも少しずつ進められると思っていますー」
今までのフロアと同じ広さなら、端から端まで移動すれば10日ぐらいの広さだろう。今回は海のため、陸地は狭い可能性もある。
ジュナが不安そうに言った。
「船で移動しなければならないような場所にキーがあったらやばいよね」
「それはないでしょ、ジュナ」
「なんでさ」
「ダンジョンて、そういう意地悪な作りになっていないじゃん?よくも悪くも、不自然なんだよ」
エリシアが少し身を乗り出した。
「言われてみると、そうですねー。ハティエルちゃんの言うとおりですー」
「まずは、そういう仮定で計画を練ろう」
ラシッドはそう言うと、黒板に横長の長方形を描いた。左下のほうに丸を描くと、
「我々がわかっていることは、地下2層から転送されるのはこのあたりだということだ。いや、わかっているというのは違うな。あくまでも推測だ」
南に向かうと海がある。北に向かうと西側はずっと海岸が続いているが、2人では攻略に限界があり、北の果てまではいっていないということを説明した。
ハティエルは言った。
「レストシンボルが1つ見つかれば、だいぶ違うね」
「そうだ。そこを軸に次に繋げられる」
ハティエルは頷き、立ち上がるとラシッドからチョークを受け取った。
「今までの経験からすると、レストシンボルがある位置は半日以上の距離で、地下2層は野宿をする必要があったけど、基本的には1日で歩ける距離にあったよね。だから……」
そう言いながら、転送位置から2つの円を描いた。
「この、挟まれているあたりにありそうだと思う。どうかな?」
エリシアとラシッドは頷いた。
「いい読みだ」
「ですねー。ボス戦じゃありませんし、この5人でいきましょうか」
「いや」
ハティエルは首を横に振った。
「私とボルトラとジュナは地下3層に慣れる必要があるから行くのは確定だけど、エリシアとラシッドはどっちか残らないと。冒険者のサポートっていうのがどの層でどうやるのかはわからないけど、支援して地下3層にこれるメンバーを増やす役目も必要でしょ?一番効率がいいのは、それだと思う」
ボルトラは言った。
「なんだその発想。お前の頭のなか、どうなってるんだよ」
「でも、ハティエルちゃんの言う通りなんですよー。特に地下2層にいる冒険者は、失うと惜しいですー」
「エリシア、お前が残れ」
「ですねー。魔法攻撃ができるラシッドさんを残したほうが、バランスは良くなりますから」
「いや、お前も暴れたいだろうし、交代しながらでいいだろう」
「それもそうですねー」
こうして、方針が決まった。
まずは修行をしながら最初のレストシンボルを探すことが目的となった。
ラシッドはハティエルたちよりも強く、最初から手を出すと修行にならないので彼女たちが辛くなったときに参戦する形となった。
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