第15話 最後の真実

夜の帳が降り、東京の街は静寂に包まれていた。久保田達也と「光の剣」のメンバーたちは、別班の残党が集結する最後の決戦の場へと向かっていた。彼らの心には、これまでの戦いで失われた仲間たちの姿が浮かんでいたが、それでも前に進む決意を固めていた。玲奈が命を懸けて守ろうとしたものを、彼らが引き継ぐために——。


久保田の目の前には、東京湾に浮かぶ廃工場の影が広がっていた。そこは、かつて別班が拠点として利用していた秘密の施設であり、今夜もまた、暗闇の中でその姿を隠していた。久保田は仲間たちに静かに合図を送り、全員が無言で工場へと忍び込んだ。


工場内は不気味なほど静かで、まるで時間が止まっているかのようだった。彼らは慎重に足音を消しながら進み、内部の動きを探った。久保田の心臓は高鳴っていたが、その鼓動を抑えるように深呼吸を繰り返し、集中力を高めた。


「ここに彼らがいる……」


久保田は自分に言い聞かせるように呟き、工場の奥へと進んだ。その先には、別班の残党が集結していることを示す微かな明かりが漏れていた。彼らの目指す場所は、工場の地下にある広間だった。そこでは、何かが起ころうとしていた。


「静かに進め……合図があるまで動くな。」


久保田は仲間たちに指示を出し、全員が息を殺して進んだ。彼らの動きはまるで影のように滑らかで、敵に気づかれることはなかった。そして、ついに広間の入り口に辿り着いた。久保田はその場で足を止め、広間の中を覗き込んだ。


そこには、別班の残党たちと、その協力者たちが集結していた。彼らは緊張感を漂わせながら、何かを話し合っていた。久保田はその様子を一瞬見ただけで、彼らが計画の最終段階にいることを察知した。もしこの場で彼らを止めなければ、再び国家は彼らの影の支配下に陥ることになるだろう。


「今だ……突入する!」


久保田は合図を送り、仲間たちが一斉に広間へと突入した。その瞬間、敵も彼らの存在に気づき、激しい銃撃戦が始まった。狭い空間での戦闘は、まるで死と隣り合わせのような緊張感に包まれていた。


久保田は冷静に敵の動きを見極め、次々とターゲットを撃ち倒していった。彼の動きは鋭く、まるで闇の中で生き延びるために研ぎ澄まされた刃のようだった。だが、敵もまた訓練された精鋭であり、簡単には屈しなかった。


「久保田さん、後ろ!」


佐藤美月の声が響き、久保田は反射的に振り返った。その瞬間、別班のリーダーが銃を構えて彼に迫っていた。久保田はすぐに反応し、銃撃を交わしながらリーダーと対峙した。


「ここで終わりだ、久保田。」


リーダーの声には冷酷さが込められていたが、久保田は動じなかった。彼は玲奈が命を懸けて守ろうとしたものを、今度は自分が守る番だと心に誓い、リーダーに向かって突進した。


激しい銃撃戦の中、久保田は冷静さを保ちつつ、リーダーを追い詰めていった。彼の動きは素早く、敵に一瞬の隙も与えなかった。リーダーもまた必死に反撃を試みたが、久保田の決意の前には無力だった。


「お前たちの影は、もう終わりだ。」


久保田は最後の言葉を口にし、リーダーに向かって引き金を引いた。銃声が響き渡り、リーダーはその場に倒れ込んだ。彼が倒れると同時に、別班の残党たちは次々と武器を捨て、降伏していった。戦いは終わりを迎え、久保田たちはついに勝利を収めた。


だが、その勝利の瞬間、久保田の胸には深い虚しさが広がった。玲奈がいない現実、彼女がいなければこの勝利はあり得なかったという事実が、彼の心を締め付けた。


「玲奈……」


久保田は小さく呟き、静かにその場に膝をついた。彼女が残した光を守り抜くことができた。しかし、彼女がいないという現実が、彼の胸に重くのしかかっていた。


その時、佐藤美月が彼に近づき、静かに肩に手を置いた。


「久保田さん、私たちは彼女の意志を継いでいるんです。これからも、彼女が守ろうとしたものを守り続けましょう。」


美月の言葉に、久保田は静かに頷いた。彼女の言葉は、彼の心に新たな決意を呼び起こした。玲奈が命を懸けて守ろうとした正義を、彼らがこれからも守り続けることが彼の使命なのだと。


「そうだな……俺たちは彼女の意志を受け継ぐ。そして、光を守り続けるんだ。」


久保田は再び立ち上がり、仲間たちと共にその場を後にした。彼らの戦いはまだ終わっていない。新たな時代の光を照らすため、彼らは再び立ち上がり、前へと進んでいくのだった。

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国家の闇を狩る影、その名は田島玲奈——彼女の選択が日本の未来を決める。 湊 町(みなと まち) @minatomachi

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