懸念
大学の研究施設内、外部顧問機関の会議室(続き)
沙紀とさゆりのAIによるプログラミング自動化システムの提案を聞いた後、教授たちは考え込むように一瞬沈黙する。その後、教授Aが口を開く。
教授A 「非常に興味深い提案です。しかし、いくつか懸念があります。まず、AIによるコードの自動生成やデバッグの効率化についてですが、具体的にどのようなアルゴリズムやデータセットを使用する予定ですか?また、AIの学習には膨大な量のデータとトレーニングが必要ですが、その準備は整っていますか?」
沙紀は少し考えた後、慎重に答える。
沙紀 「確かに、AIシステムの開発には多くのデータとトレーニングが必要です。現在のところ、私たちは過去の学生のコードサンプルを使用し、それを基にAIの初期学習を行う計画を立てています。ただし、この点についてはまだ十分なデータが揃っていないので、大学側からのサポートや追加データの提供をお願いできればと思っています。」
教授B 「なるほど。それは確かに重要な点です。私たちの大学でも、多くの学生がプログラミングを学んでいますので、そのデータを共有することで貢献できるかもしれません。ただし、データの質やプライバシーの問題も考慮しなければなりません。」
さゆり 「その点については、データの匿名化やセキュリティ対策も含めたプロトコルを提案したいと思っています。AIの学習には質の高いデータが不可欠ですし、私たちのシステムがより正確に支援できるよう、データの選別と管理には細心の注意を払います。」
教授C 「いいですね。さらにもう一つ質問があります。AIがコードを自動生成する際、どうしてもそのコードの品質が一様ではなくなる可能性があります。学生たちがそのコードを使うことで、学習効率が逆に下がるリスクも考えられますが、その点についての対策はどうお考えですか?」
沙紀 「ご指摘の通りです。AIが生成するコードは必ずしも完璧ではありません。そのため、AIによる支援はあくまで補助的なものであり、学生が自ら考え、試行錯誤するプロセスを重視したいと考えています。また、AIが生成したコードに対するフィードバックを学生から集め、そのフィードバックをAIの改良に活用するサイクルを作ることで、AIの精度を徐々に向上させることができます。」
教授A 「そうですね。それならば、まずはパイロットプログラムを実施し、小規模でテストするのが良いかもしれません。AIがどの程度効果的か、またどのような改善が必要かを見極めるためです。」
沙紀 「はい、その方向で進めることができればと思います。私たちも、このプロジェクトを通じて得られるデータやフィードバックを大切にして、システムをより良いものにしていきたいと考えています。」
教授B 「では、パイロットプログラムの実施に向けて準備を進めましょう。我々もサポートいたします。」
教授C 「それと同時に、改善すべき点についての議論も引き続き行いましょう。このプログラムが成功すれば、私たちの教育にも大きな変革をもたらす可能性があります。」
さゆり 「ありがとうございます!私たちも全力で取り組んでいきます。」
会議室は再び前向きなエネルギーに包まれ、沙紀とさゆりは新しいステップへの期待とともに笑顔を交わす。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます