その38 拝啓、――殿下 ③

(38)



 

 ――目には目を、歯には歯を


 古代のハンムラビ法典にも言葉があるように、人間は『復讐』という行動を押さえられない存在です。

 殿下、あなたもまたそうでしょう。

 故にあなたはそれを実行することにした。

 その実行に当たって、殿下が用意したのは自分と共に行動する『志』を持てる暗殺者アサシン

 それは誰か?

 ピーターパンが相応しい、と殿下はお考えになられましたね?そしてピーターパンをあなたは抱き込んだ。

 その方法は?

 まぁ、いくつもあるかもしれないと下僕は考えます。此処までくれば、秘密をばらすとか、まぁ諸事一般的な小説にあるようなことでしょうね。

 さて、次にですが、ここで意外な産物があった。

 浅野です。

 殿下も知らない事だったかも知れませんが、浅野が恋をしていた相手がピーターパンだった。しかも一方的な恋でしょう。

 しかしながらその結果が他の三人、伊達、加藤、有馬との結果との違いを生んだ。つまり『死』から遠ざけられたのです。ですが結果として精神的崩壊を生んでしまいましたが…。

 では復讐ともいうべき『死』を彼らにどのように迎えさせるべきか。

 多くの『死』を選択したことでしょう。

 そして殿下が選んだのは、偶然に見せかけた――事故死でした。

 そしてここにトリックがあります。

 殿下、それはごく簡単な事です。

 物理的作業と心理的効果。

 それを行うべく、殿下は『提灯横丁』を自らの演劇スタジオに変えたのです。

 次に、そのことを言いましょう。

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