マリーローズside-3-
一人目は王太子であるナルキス=ガニメデス。
美和子の推しでもある。
金髪碧眼の正統派なイケメンで、幼い頃のナルキスに一目惚れしたマリーローズが公爵家の権力と財力、自分の母親が王姉で国王が彼女にだけは頭が上がらないという事を利用して無理やり婚約者になった。
公爵家の力を行使して自分の婚約者になったマリーローズをナルキスは心底疎んじているが、マリーローズはナルキスを心の底から愛している。
学園を卒業したらマリーローズとの結婚が決まっているナルキスは心に鬱を抱えていた。そんな時に出会ったのがライムミント。
伯爵令嬢なのに幼い頃に教会で育ったので彼女は貴族社会を知らない。
故に天真爛漫でありながら高潔で慈愛に満ちている聖女のライムミントをナルキスは愛するようになるのだ。
ポッと出の女にナルキスを奪われそうになったマリーローズはライムミントの命を奪うべくオノコスキー公爵家の権力を行使するのだが、今のガニメデス王国が世界各国に小麦・野菜・果物・乳製品などを輸出できるレベルで生産が高くなったのは聖女の力があってこそ。
流石の公爵家も娘可愛さに教会が認めたライムミントに手を出す事だけは出来なかった。
聖女暗殺は諦めろと言う父親の意見に同意するマリーローズであったが、ギリシア神話の女神ヘラの嫉妬が夫であるゼウスではなく夫が手を出した相手に向けられるように、女の嫉妬は浮気をした男ではなく男が夢中になっている女に向けられる。
マリーローズも例外ではなく、彼女の嫉妬はならず者にライムミントを襲わせるという形で向けられるのだ。
ナルキスのヒロインに対する好感度がMAXであれば間一髪のところでライムミントは救われ、聖女を襲った罪でマリーローズは地下牢でありとあらゆる拷問を受けた後、悪女というか悪役令嬢に待っているのは火炙りで処刑エンドである。
二人目は教皇の息子で知的で冷静沈着なレバート=カサブランカ、三人目は近衛騎士団長の息子である脳筋のバーム=シクラメン、四人目はワンコ系で裕福な商人の息子であるエルダー=スノードロップ、そして隠しキャラであるチャラい遊び人タイプのチューベローズ帝国の皇太子であるセージ=チューベローズ。
当然、彼等にも婚約者が居るのだが、彼女達はマリーローズとは異なりライムミントに対して暗殺や暴行まではしない。
それどころか少年漫画に出てくる強敵と書いて『とも』と呼ぶくらいにヒロインに対して正々堂々と勝負を挑んでくるのだ。
ちなみに彼女達がヒロインに挑む勝負は攻略対象者達の得意分野である。
教皇の息子であるレバートは魔法が得意だから婚約者が持ち掛けてくるのは魔法、近衛騎士団長の息子であるバームは剣術と体術が得意だから勝負は剣術と体術という感じだ。
『私では婚約者の心を救えなかった。貴女であれば彼を救えるわ。だから・・・婚約者から身を引くわね』と宣言して攻略対象者達と婚約を白紙にした後、勝負に負けた婚約者達はヒロインとの友情を築くのに・・・・・・。
「何でマリーローズだけ火炙りなのよーーーっ!!!」
このまま何も行動しなかったら自分の未来は真っ暗だ。
マリーローズが火炙りの刑に処されるスチルを思い出した幼女は再び頭を抱えて悶えながら絶叫した。
「・・・・・・・・・・・・そうだ。攻略対象者達を甘やかして優しく接すればいいのよ」
ナルキスを除く攻略対象者達は優秀な婚約者に対してコンプレックスを抱いていた。
『私は貴方が誰よりも努力している事を知っていますわ』
『ですが時には肩の力を抜く事も大切ですよ』
「レバート、バーム、エルダーはこんな感じで話し掛けて、隠しキャラのセージはタイプではないから無視するとして・・・問題は私の推しであるナルキスね」
ナルキスは親の権力を使って婚約者になったマリーローズを嫌っている。
「ならば・・・ナルキスに興味を抱いていないとか、貴方に無関心ですという風に振る舞えばいいのよ!」
男は自分に興味のない女を追いかけたくなる生き物だ。
今までウザいくらいに付き纏っていた女が自分に対して無関心になったら、きっとナルキスは──・・・。
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