マリーローズside-2-







 家事は家政婦に頼むのではなく美和子がやれ!


 料理もケータリングとウーバーイーツではなく美和子が作れ!



 顔を合わせる度に口論になってしまう夫に嫌気が差した美和子は、夫の部下の一人であり毛色の違う男と深い関係になった。


 その男こそが【聖なる箱庭】のヒロインとして転生した優子の夫だったのだ。


 優子の夫との浮気がバレたので優子と夫からは慰謝料を請求されたが、その慰謝料は父親が払ってくれたので問題は解決したと言ってもいい。


 浮気が原因で夫とは離婚。


 と同時に父親が不明(Win-Winなお付き合いをしていた男の一人)な子供を妊娠していた事が発覚した。


 普通の感覚を持っていれば両親は美和子を勘当するはずなのだが、二人は一人娘を溺愛していた。


 子供を抱えて生きて行かなければならない美和子を不憫に思った両親は娘を実家に引き取ったのだ。


 両親のおかげで子供を産む事が出来ただけではなく実家に寄生して学生時代のように自分の思うような生活が出来た美和子であったが、彼女の身体は学生時代からWin-Winなお付き合いをしていたパパ達に開発されてしまっていたので身体は常に疼いていた。要するに欲求不満だったのだ。


 それを解消する為に美和子は子供を両親に預けてWin-Winなお付き合いに勤しんでいた。


 何もかもが思い通りだったという前世のイージーモードな人生を歩んでいた美和子ことマリーローズはゲームのストーリーを思い出す。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






【聖なる箱庭】は、十歳になったばかりのヒロインことライムミント=アニスヒソップが教会に魔力と魔法の測定を受けに行くシーンから始まる。


 火・水・氷・雷・風・土のみならず浄化・治癒・防御・豊穣魔法の属性に加え、膨大な魔力を所有している事が判明したライムミントは教皇によって聖女と認められた。


 実はその間にゲームではライムミントを育成していくのだ。


 例えば、信仰と魔法方面だけを中心にすれば学園卒業後は国に全てを捧げる生涯独身の聖女として、家事全般だけを中心にすれば学園卒業後は食堂や宿屋で給仕として働く、剣術や体術方面だけを中心にすれば学園卒業後は冒険者として生きて行くという感じで育て方によってエンディングが変わるのだが、それはノーマルエンドの部類に入る。


 教皇の命令で伯爵家を出る事となり王都の教会で育ったライムミントが十五歳になると、特別枠として王立レモングラス学園に通い、そこで攻略対象者達と出会うのだ。


 学園に通うようになるまでに信仰・魔法・家事全般・体術・教養・立ち居振る舞い等、全てをバランス良く育成していく事でライムミントと攻略対象者が運命の出会いを果たす。


 その後はどの分野を伸ばしていくか───例えば魔法を中心に育成すれば教皇の息子、剣術と体術を中心に育成すれば近衛騎士団長の息子、家事全般を中心に育成すれば裕福な商人の息子、教養・立ち居振る舞い・礼儀作法を中心に育成すれば王太子という感じで攻略対象者が決まるのだ。


 攻略対象者は全部で四人。


 いや。逆ハーエンドを達成した後にニュープレイを選ぶと留学生にしてチューベローズ王国の王太子であるセージ=チューベローズが出てくるので彼を入れたら五人になる。







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