◆番外編 ピュアブライトリング 2
一人になった僕は、ヴィクトリアと性別を交換した。
そう、このためにわざとヴィクトリアを煽ったのだ。
もっとも、『特別な貢献』と僕が喋った時点で交換可能になっていたのだが、さらに煽ったのには理由がある。
【交換】スキルの条件である悪意について、時間が経って僕に対する悪意が薄れると条件を満たさなくなることがあるからだ。
それを防ぐため、『お前では僕に勝てない』と言って悪意が持続するように仕向けたのだ。
そのまま戦っても勝てるが、あまり実力差を見せつけて勝つと諦めて悪意がなくなってしまう可能性もあった。
ちょうどエリアさんが途中で止めてくれたのでヴィクトリアは僕に悪意を持ち続けてくれている。
そして見事僕は女性の身体になった。
胸もそこそこある。
お尻もちょっと大きくなった。
顔は元々中性的だったせいか劇的に変わったりはしてないが、雰囲気が柔らかくなった。
これで僕も『ユニコーンフォレスト』に向かえるなと思ったが、僕の身体に異変が起きる。
お股から血が出て下着が汚れたのだ。
それになんか気分が重い。
心なしか身体もだるい気がする。
ていうか、女性用の下着がいるじゃないか。何も考えてなかったよ。
相談できる女の人が必要だ。
知っているのはサレンさんだから、ウォーレン商会へ行こう。
◇◇◇
下着を替えてウォーレンさんから借りている宿舎の部屋を出ると、ミストラルさんに会ってしまった。
「あれ、クラウスさん……? じゃないですね。でもよく似てるような……?」
「あ、クラウスをご存じなのですか。私は親戚のクラリスと言います。王都に出てきたのですが、クラウスが借りている部屋を使ってもいいと言われてます」
あらかじめ考えていた言い訳だ。
どうせクラリスは期間限定だ。
設定はガバガバでもいいよね。
「今からどちらへ向かわれるんですか? 王都に不慣れでしたらご案内しましょうか?」
「あ、いや大丈夫です。ひとりで動けますから」
「いやいや、お一人だと心細いでしょう。あ、私はミストラルと言います。クラウスさんには大変お世話になってますから、どうか遠慮なさらず私を頼ってください」
え、なんかミストラルさんが強引なんだけど。
「ささ、どちらへ行かれるんですか?」
「あ、あのクラウスから言われてウォーレン商会のサレンさんに会いに行こうかと……」
なんだか断りきれない。
「じゃあご案内しますね」
◇◇◇
「へえ〜、クラウスくんの親戚ねえ」
「あ、それでサレンさんとだけちょっと話がしたくて……」
「いいわよ。ならこちらの部屋へいらっしゃい」
結局ついてきたミストラルさんといっしょにサレンさんと会う。
サレンさんと何とか二人きりになって本題に入る。
「あの、女の子の生理についていろいろと教えてほしくて……」
「はあ、なにそんなことなの? いいわよ。ていうか生理は初めてなの?」
「ええ、そうです。どうしていいかわかんなくて。下着とかも適当に済ませていたので」
「遅いほうな気もするけど、個人差が大きいからね。多分気にしなくてもいいよ。彼氏はいる?」
「いません」
「そう。なら心配ないけど、生理中にエッチはだめよ。お互いに危険だからね。生理中でもヤラせて、なんて言ってくる男は選んではだめよ」
ええ…… なんか生々しいんですけど……
「それとミストラルには気を付けてね。あなたに気があるみたいだから。いつもよりすごい笑顔だし、あなたにやたらくっついてくるでしょ」
そのとおりです。
いやでも僕は男なのでちょっとなあ。
今は女性の体だけど。
「多分童貞だから、はっきり断らないといつまでもくっついてくるわよ。じゃあ、買い物に行きましょ。お金持ってる? なければ貸しましょうか? クラウスの親戚なら融通をきかせてあげるわよ」
「あ、大丈夫です。それなりに持ってると思います」
「そう。にしてもあなたクラウスくんにほんとよく似てるわねえ。クラウスくんが女になった、って言われた方がしっくりくるわ」
本人ですし。
早くダンジョンに行って『ピュアブライトリング』を手に入れよう。
みんなをずっとだましとおせる気がしない。
◇◇◇
サレンさんといっしょに買い物して女の子の服装やらなにやらを手に入れた。
男の子より服の種類がやたら多いのにびっくりした。
あ、あと自分の胸を自分で揉んでみた。
手のひらに包み込めないくらい大きくて感触もモチモチしてて柔らかかったけど、しばらく揉んだら飽きたのでやめた。
恋人のならともかく所詮は自分のだし。
道行く男から胸にやたら視線を感じるんだよね。
胸が大きい女性ってついつい見ちゃうんだけど、これから極力胸ばかり見ないように気を付けよう。
んで、次の日、生理の影響がまだ残るけど念願の『ユニコーンフォレスト』にやってきました。
◆◆◆◆◆◆
いつもお読みいただきありがとうございます!
なんていうか性別転換ものって書きにくいですね。
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