第7話 もっと仲良く

「よっしゃあ!赤点回避!」

テストも終わり、採点されたテストを見て和也は喜びの雄叫びをあげた。

「大樹何点だった?」

「俺13点だったわ」

「見ろ見ろ俺31点だぞ!やばくね!」

「まじで?お前数学苦手じゃなかったっけ?毎回点数1桁だったのに急にどうしたん」

「実はちょっとばかり友達に教えて貰ってな!そのおかげでこんなに点数取れたわ!」

「あれ?お前に勉強教えてくれる友達なんかいたっけ」

「なんか言い方ひどいな!」

「俺にも紹介してくれよこのままだと留年しちまうよ」

「まあ勉強ならこの天才和也様が教えてやるよ」

「うるせえ31点」

「お前13点だろうが」

「ピンチなんだよ紹介してくれよ」

「やだ」

「えーなんでだよいいじゃん」

「やなもんはやだ」

「わかった!もしかして女の子だろ!」

「うるせえなんか悪いか」

「マジ!?あの和也に仲良い女の子が!?」

「うるさいだまれ」

「いやーあんなに女子に見向きもしないし見向かれもしない和也にもとうとう春が来たかー」

「別にただの友達だしなんもお前が想像してるような関係じゃねえよ」

「ふーん?」

「顔がうっせえ」

「ひど!」


放課後、皐月と和也は前と同じように教室でゲームをしていた。

「そういや皐月さんのおかげで数学赤点回避できたわ!まじありがと!」

「本当ですか...?お役に立てたみたいで良かったです...」

「ちなみに皐月さんは何点だったの?」

「私は満点でしたね...」

「は!?満点!?マジで!?」

「は、はい...」

「皐月さんって家では勉強しないんでしょ?学校での勉強だけで満点取ったの?」

「はい...そうですね...」

「やば、どうやったらそんなに点数取れんの?コツとかあるの?」

「数学は解き方覚えれば簡単なので...教科書見て解き方覚えれば大体はできますね」

(あ、この人ガチの天才だ)

割と理解し難い事を言う皐月に少し恐怖を覚えた。

「今日はなんのゲームやる?」

「私はなんでも...和也くんのやりたいので大丈夫です...」

「ていうか前から思ってたんだけどさ」

「?...はい?」

「俺ら同い年なんだからさ、敬語で喋るのやめない?」

和也は前々から、歳が同じなのに敬語をお互い使っていることに違和感を感じていた。

「敬語だったらなんか距離感じちゃうしさ、だからお互い敬語やめようよ」

「確かにそうですね...」

「ほらそれも敬語」

「そ、そうだね...」

「うんうん!じゃあこれからもよろしくね!皐月!」

「うん...」

「そんじゃあ今日はこのレースゲームやろうよ!」

そうしてゲームを始めようとした時、教室のドアが思いっきり開いた。

「うお!?」

和也は思わずびっくりした。そしてそこには

「さっちー!久しぶりー!」

髪の毛が金髪に染めてあり、いかにもギャルっぽい見た目をしている女の子がいた。

「あ...澪ちゃん」

「え!?皐月その男だれ!?もしかして彼氏!?」

「ち、違うよ!普通にお友達!」

「皐月?この人は、、、?」

「ごめんごめん自己紹介が遅れたねー!私の名前は中島澪!さっちーの幼馴染でーす!」

「皐月の幼馴染なんだ!」

「そうそう!」

(皐月とまるで正反対のような人だな、、、)

「やあやあそこのボーイくん名前はなんて言うんだい?」

「俺は萩野和也、かずやって呼んでくれていいよ」

「じゃあかずちんって呼ぶねー!」

「なんでだよ」

「それにしても、さっちーにもようやく男が出来たかー!」

「だ、だから違うってば!」

「ふーん?その割には仲良さそうにゲームしてるみたいだけどー?」

「ほ、ほんとにただ一緒にゲームしてるだけだから!」

「ふーん?まあでも皐月いっつも一人だから一緒に遊んでくれる友達が出来たのは私すっごい嬉しいなー」

澪は和也の目の前に立ち、和也に話しかけた。

「皐月の遊び相手になってくれてありがとねー!私も遊びたいんだけど最近忙しくて皐月のこと一人にしちゃってたからさ!」

「そんなそんなわざわざお礼を言われることじゃ」

「まあでも」

「?」

「さっちーのこともし泣かせたりしたらただじゃおかねえからな?」

(こ、こわ)

そう言った澪の表情は笑顔であったが、目の奥が笑ってなかった気がしたのでとても恐怖を感じた和也であった。

「じゃあお二人の時間を邪魔しちゃ悪いし!私はここら辺で失礼するねー!」

「またね澪ちゃん」

「さっちーばいばーい!あ、かずちんもまたねー!」

そうして澪はそそくさと帰って行った。

「なんかすごい人だね」

「そうだね...悪い人じゃないんだけど...勢いが凄いから私も時々困っちゃって...」

「まあでも意外だな皐月にあんな友達がいたなんて」

「私の唯一の友達なので...とても大切な存在です...」

「俺も皐月の大切な存在になれるように頑張らないとなー」

「...?それはどういう意味で...?」

「ああ!い、いや友達としてね!?もっと仲良くなれたらいいなーって思ってね!?」

「な、なるほど...」

(危うく違う意味になるとこだった、、、)

そうして二人はまた、ゲームに没頭するのであった。

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