第11話
大谷は話の腰をおらないように慎重に質問を挟みながらしっかりと話を聞いてくれた。
最後に手に持っていたスマホの写真を見せた。
大谷はスマホを奪うように手に取り、そして目を見開いた。
そこには高梨が写っていたのだ。
「ミチさん。いえ妙子さん!ありがとうございます!!すごい情報をいただけました!!!本当に感謝します」と別れの挨拶もそこそこに走って病院を後にした。
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そこからの捜査は急速に進んだ。
極秘扱いになっていた研究は妙子からの情報で事件解決にとても重要なことだと判断され、内容が開示された。
しかし、現実問題その研究が実際に可能になったかどうかは半信半疑どころか誰も信じることが出来なかった。
ボックスを目の前にしても、何をどうすればいいのか皆目見当もつかず、当時の研究員達に聞いて回ったのだが自分が研究内容を話すのは抵抗があると拒まれたり、詳しくは知らないの一点張りだったり、何度も質問されることに苛立ちをぶつけられたりと成果がだせていなかった。
大谷は前回会った時に教えてもらっていた妙子の番号にかけた。
「こんばんは。先日病院でお会いした捜査一課長の大谷と申します。」
一通り今の武の状態の話と捜査状況の話をした後、「妙子さん研究について何か聞いてたことなんてありませんよね?」
とかなり諦めモードで聞かれた。
「何かと言われても。AとBの居場所を交換するとか、物質同士の移動はスマートフォンの位置情報で操作するとか・・・それにまだ人間では試したことはな・・・」
と最後まで言い終える前に
「わ!!!またまたすごい情報をありがとうございます!すみませんすぐ捜査に戻るので切りますね」
と病院での別れと同じように一方的に会話は終了した。
研究の情報は開示されたと言っていなかったっけ?
私が知っているような情報がなんで役に立つんだろうか・・・
とにかく明日たけちゃんにここまで話してしまったことを報告しなくちゃだな。
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