第9話
武が入院してから一週間がすぎたころ
伯母から、少しなら面会できるかもと連絡があった。
私はすぐに駆けつけた。
目をつむったままのたけちゃんはヒゲが伸びていて痩せていた。
まだ会話はできていないのだが、何か話したそうだと看護師から言われ
「道がどうのっていうんです」と。
伯母はすぐに、妙子のことだ!とピンと来たらしく私を呼んでくれたのだった。
「たけちゃんたけちゃん、ミチだよ!」
どんなに呼びかけても答えてはくれなかった。
刺された傷がかなり深く助かったのが奇跡だったらしい。
看護師さんが来て「たまにうわ言をいうんですけどね。今日は言いませんね」
と体温計を確認しながら話していた。
「今朝はもしもし、もしもしって。誰かに電話している夢でも見ているのかなと」
今度は私がそこでピン!と来た
もしもボックスのことだ!!
やっぱり引っかかていたのは間違っていなかった!
でもどうしよう。警察に私からなんていう?
私の話なんで聞いてもらえるかな。
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大谷は教授の過去の研究に関わっていた人達の写真を全て入手しホワイトボードに貼った。
そこに伊原が合流し大谷翔平が揃った。
伊原はじっくりとその写真を見て25人目の前で止まった。
「コイツだ!!」
何日もキャップに隠れた顔を見続けた伊原は、写真を半分手で隠すようにして間違いないと言い切った。
その男は10年前に研究の手伝いをしていた、高梨真司。
当時の研究の内容は極秘扱いになっていて分かるまでは時間がかかりそうだった。
大至急、第一容疑者として高梨真司の捜査が始まる。
しかし高梨真司には犯行当日の動かしようのないアリバイがあった。
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