書くことで紡がれる世界

海音まひる

書くことで紡がれる世界


 なぜ私は創作をするのか。


 それを話す前に、まずは、私がネットに小説を投稿し始めた理由から話そうと思う。




「あなた、そろそろネットに投稿したりしないの?」


 母の言葉である。


 私に言ったのではない。妹に言ったのだ。



 妹も、そして私も、小説を書いていた。


 でも、私はそのとき、自分の方が妹より、ちゃんと小説を書いていると思っていた。

 長編を書き切ったことはおろか、短編すらろくな量は書いていなかったというのに。


 私は、今も子どもだけれど、当時は今以上に子どもだったのだ。



 でもとにかく、私は悔しかった。


 なんとかして見返したいと感じた。


 ネットに投稿しよう。それで結果を残すんだ。そう心に誓った。



 結局、焦っていた私は、具体的に書きたい小説もはっきりとしないまま、小説を投稿することを始めた。


 ネット上で発表できるような小説を書くことはまだ難しくて、当初は詩なんかを投稿したりしていたけれど、だんだんと慣れて、小説も少しずつ書くようになった。


 これが、私がネットに小説を投稿し始めた経緯である。


 だから、このとき、つまり半年ほど前の私は、家族を見返したい気持ちでいっぱいで、小説を発表することに何らかの堂々とした理由を持っていたというわけではなかった。


 よって、今から説明するのは、単なる私の最近の考え事の一端であって、決して強い信念などではないということを理解していただきたい。


 数年後にはまた全然違うことを言っているかもしれないから。




 私は、自分の作る世界が見たいのだ。


 「誰か」の作る世界は、もちろん私に様々なものを与えてくれる。

 誰かの書いた小説、誰かの歌う歌、誰かの描いた絵、誰かの投稿した動画……


 でも、そのどれも、私にとって完全にしっくりくることは永遠にない。一から十までお気に入りというわけにはいかない。


 あくまでもそれらは、私とは違う誰かから生まれたものだから。私の思い通りになるものではないから。



 話は一転するが、私がいちばん最初に小説を書いたのは、小学生の頃のこと。


 読書感想文を書くために原稿用紙を用意したところ、余ってしまったので、本の虫だった幼い私は、何か一つ、物語を書こうと思い立ったのだ。


 あいにく、記念すべき最初の物語の筋書きは忘れてしまったのだけれど……

 とにかくその時から、私はポツリポツリと物語を書くようになった。


 それは、自分の想像が形になることが面白かったから。


 形になったものが、あまりにもしっくりときて、あまりにも愛おしかったから。



 高校二年生の現在は、小説も多少本腰を入れて書くようになり、ままならないことも経験している最中である。


 斬新なコンセプトが決まらない、起承転結が思いつかない、文字数が足りない……


 気に入らない小説もたくさん書いてきた。

 思い通りにいかなくて、小説を書くなんて時間の無駄じゃないかと思ったこともある。



 でも私は、自分の書く全ての文字が、文字の紡ぎ出す世界が、大好きだ。


 だから書くことはやめられない。



 これが、「なぜあなたは創作するのか」という問いに対する、今の私の答えだ。



 せっかくここまで目を通してくださった読者の皆様にとって、何か一つでも刺激になるような物語であったなら幸いだ。




 ところで、ネット上に小説を投稿するようになって面白いなと思ったことが一つある。


 それは、読者の方々が思いもよらない反応をしてくださることだ。


 嬉しいことに、小説を投稿するたびに、毎回たくさんの方に読んでいただいている。(もしかしたらたくさんと言い張れるほどではないのかもしれないけれど……)


 また、一人や二人、コメントを書いてくださる方もいる。(本当にありがたい話だ。私は人の作品を読んでも、緊張してしまって、なかなかコメントを書けない)


 ところが中には、私の予想外のコメントをしてくださる方がいるのだ。

 なるほど、そこに注目するのか、とか。待って、そこのところはあんまり考えないで書いてたんだけど、みたいな。


 小説を誰かに読んでもらうって、なんて楽しいことなんだろう。

 投稿するたびに、読者の方々の反応が気になって、ワクワクしてしまう。



 私はもっとたくさんの人に自分の小説を読んでもらいたい。


 私の世界が、ある人にとってはどのように、また別の人にとってはどのように映るのか知りたい。


 だから、少しでもたくさんの方に小説を読んでもらえるよう、これからも精進していきたいと思う。

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