第十九話 後編
早霧(勝家)らは敵の背後に回り込むと、前方の山付近に稲妻が走ると同時に轟音が響き渡った!
早霧「狙うは、あそこで飲んだくれておる甲冑を着ておらぬ足利晴氏じゃああぁぁぁ!全軍突撃ぃぃぃぃぃ!!」
一同「「「おおおおぉぉぉぉ!!」」」
その声は雷の音と豪雨にかき消されてたが、その地鳴りにも似た地響きまでは消す事が出来なかった。
その事に気付いた者が、その地鳴りの方を見て驚愕し腰を抜かしながら
「て、敵じゃあぁぁ!」
と、騒ぎ立てた。
綱景「不味いぞ!敵に気付かれた!」
「いや、大丈夫だ!見ろ。」
と、雷光が辺りを照らし見て取れた。
そう、兵の殆どが泥酔していたのだ!
政繁「遠山様!今ですぞ!」
「うむ。進め!進め!敵はこちらへは攻撃して来ぬぞぉぉぉ!邪魔な者は全て斬り捨ていぃぃ!」
と、怒涛の如く攻めた。
敵は成すすべもなく、早霧らに蹂躙されたのだった。
それから一刻も経たない内に足利晴氏の首を取る事に成功したのだった。
「でかした!敵が我に返った時が見物ではあるが、このまま…」
と、早霧が言いかけた時に茂みから小太郎が現れ
「早霧様。大殿が館林城を跨いで北西に上杉朝定陣営へ侵攻しておりまする。」
「おお!それならば、我らはこの西の山道を抜け河越城を迂回し、忍城へ向かうぞ!」
小太郎「それならば、河越城から忍城に時間稼ぎを目的とした別動隊の垪和様が居りますれば、某が先に向かって知らせておきまする。」
「そうか。助かるが… 少し待たれよ。」
「は?」
「垪和様には我らの動向だけ伝えておいてくれ。」
「動向とは?」
「我らは直接、厩橋城付近に陣取っておる上杉憲正の陣営に向かおうかと思っておる。」
という言葉に、心臓に毛が生えてるであろう小太郎も驚き
「はあぁぁぁ?!それはいくらなんでも無謀過ぎまするぞ?」
その言葉に早霧は不適な笑みをこぼし
「ふふ。それがそうでもない。小太郎には、もう一働きしてもらいたい。」
小太郎は神妙な面持ちで
「この戦に勝つためなら、いくらでも働きまするぞ。して?」
「うむ。我らと足利晴氏の戦いが始まったと報告して欲しいのだ。」
小太郎は両手を組んで、突然閃いたかのように
「まさか、アレを用いて再び上杉憲正を騙すのでござるか?」
「さすがじゃな。よくわかっておる。我らが到着する頃にアレを携えて上杉憲正陣営に乗り込めば、あやつはどう思う?」
「全く、恐ろしい方でございまするな。」
「ワシなど恐ろしくはないぞ?ワシが尊敬しておる過去の偉人の文献を漁って学んだに過ぎぬわい。わっはっは!」
と、笑い飛ばした早霧に突然目の前が眩しい稲光が走った…
つづく。
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