第十六話 後編
勝家らは早速、仮とはいえ与えられた平山城に着いたは良いが、周りを見て愕然としていた。
竹千代「湿地もそうでございまするが、川も多いですな。柴田様。」
「うむ。これでは川の氾濫が絶えぬな… どう致そう?信広様。」
「どうするもなにも、我ら三人で何をどう致すと申すのだ?それに、織田家の者と分かれば厄介じゃ。ここらで、わしと竹千代殿の名前も変えておく方がよいな。」
勝家「そうでございますな。しからば…(竹千代はワシが知ってるのは確か昔、猿に聞いたが、今川義元から一文字・元を貰っての『松平元信』になって、義元の娘を貰って竹千代殿の祖父の一文字を貰い『元康』になり、今川家と織田家と敵対していたが義元が死んだ事で元を家に変えたとか… 猿の事じゃ、嘘か誠か定かではないが… とりあえず)竹千代様は元服後に徳川家康と名乗るが良かろう。」
「徳川家康でございまするか?何やら良い響きでございまするな。柴田、いえ早霧様が織田家に帰っても、この名を名乗りたいのでございまするが如何でござる?」
「それは好きにするが良かろう。信広様は織田は織田でも小田にして名を広信と致そうと思うが、どうでしょうか?」
「織を小さいの小か…(微妙ではあるが…)あい分かった。それで、わしを呼ぶ時は語尾に『様』は不要じゃが、尾張に帰った暁には『様』と呼ぶのじゃぞ!」
「はっ!心得ました。」
と、城の前で話していると小田原城で会った遠山綱景と大道寺政繁が声をかけて来た。
綱景「柴、いや北条早霧様とお呼びした方が良いですな。」
政繁「そうでございまするな。遠山様と某は大殿の命により、今後は貴殿を殿と仰ぎ忠誠を誓えとの事でござる。」
その申し出に勝家は驚き
「え?!遠山綱景様も大道寺政繁様も、北条家の重鎮でなくてはならない方達では有りませぬか!それを、他の家中の… しかも仮城主に、忠義とか有りませぬぞ?」
綱景「いや、早霧様がそう申すと思ったが、貴殿の軍略が必要と大殿が申すのもあるが、その手腕を見て見たくて、某と政繁が志願したのじゃよ。それに、たった三人でこの城を任せておけぬしの。我らの兵を合わせて1500を使って下され。」
すると、政繁の後方に控えていた北条幻庵が
「お待ち下され!某も微力ながら手伝いまするぞ!」
「なんと… 氏康様のは頭が上がりませぬな。解り申した!こちらこそ、宜しくお頼み申す。」
という勝家に幻庵が不満げな表情を浮かべ
「『お頼み申す。』?『頼む!』で良いですぞ!今や我らの殿なのですぞ!もっと、威厳を持ってもらわねば困りまするな。」
「そうは申されても…」
と、困惑な表情を浮かべつつも笑顔を滲ませ
「ふふ。解った!では最初の仕事として、この平山城周辺の水害を無くす為に、川の流れを変える治水作業を頼む。そして、竹いや家康は幻庵から学問等を学ぶ事!広信は遠山らと共に作業へ向かえ!」
と、竹千代と信広は複雑な表情であったが、遠山綱景と大道寺政繁は早速の仕事に笑顔で応えたのだった。
つづく。
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