第八話 後編

信秀は「おい!安祥城はどうでもよいが信広はどうなった?!」


「おそらくでございまするが、連れ去られたと…」


信光「なんたる事じゃ!これは由々しき事態ですぞ!兄上。」


「うむ。何か条件を出してくるやもしれんな。」


という状況下で勝家は疑問に思って

(おかしい… ちと早くないか?そもそも松平家はどうなって、その嫡男の家康… いや、竹千代は今どこに?何かずれておる気が… 本来は以下省略(※『~天下統一再び!~』の説明を参照)となるはずだったのだが、まだ早い段階で松平元康(後の徳川家康)が登場するとはな…)

と、不思議な気分になるのだった。



それから数日が過ぎ、織田家では軍議が行われていた。


信盛「まさか、松平家が人質として我ら織田家に遣わせた竹千代殿との交換を交渉にしてくるとは…」


信光「信広は側室の子ではあるが、れっきとした織田家の親族… 見捨てる訳には参りますまい。」


「皆の意見は分かった。お前は如何致す?」

と、信秀は軍議に久しく参加した三郎に視線を送った。


「叔父上の申す通り、竹千代と交換がと思うのだが、権六は腑に落ちぬ表情を浮かべておるのが気に食わん。」

と、三郎は信秀から勝家へ視線を移す。


「おそれながら… 信広様には死んで頂き、竹千代殿を我が陣営に留める事を進言致しまする。」


家臣一同は驚き、どよめいた。


信光「見ごろせと?馬鹿げておる。信広は織田家とって…」


勝家「そもそも、敵に捕まり交渉の材料にされる事自体、恥でございまするぞ!潔く、死ねばよかったものを!」


「言い過ぎじゃ!」

と、信光は勝家を睨み付けた。


三郎「権六の考えは分かった。(まぬけな信広とでは釣り合わぬという事か? 竹千代が我らの良い材料となると、権六は思っておるか… ワシの企みを見破った唯一の男である事も…)父上!某も、この交渉は破棄でよろしいかと。」


信光「お前までも見捨てると申すか!」


信秀「信光。感情に捕らわれぬな!権六よ。その顔…」


「大殿。某に妙案がございまする。某が今川家の軍師である雪斎を討ち取ってご覧に入れまする。」


「何じゃと?!あの雪斎をじゃと?!」

と、驚きはしたものの笑みを浮かべ

「面白い!お前に100騎与える。見事成し遂げてみせよ!」


「はっ!有難き幸せ!つきましては、竹千代殿も同行して欲しく…」


「今、竹千代を…(読めたぞ!囮にしての騙し討ちか!しかし、雪斎は一筋縄ではいかぬ。いったいどうするのか見物ではあるな。)まぁよい。好きに致せ。」

と、軍議は終わった。


三郎は勝家を呼び止め

「お前… 死ぬつもりではあるまいな?」


「三郎様。そのお腰に付けおる物を某に貸して頂けませぬか?」


「ん?これがどういう代物か知っておるのか?」


「よく知っておりまする。」

と、微笑みかける勝家であった。



つづく。


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