第23話 失踪事件の再捜査開始
奈緒美はNDSラボの会議室で、玲奈と向かい合って座っていた。彼女の手には、過去の失踪事件に関する新たな証拠が握られていた。その事件は、玲奈が幼少期に住んでいた街で起こったものであり、今まで解決されることなく時が経っていた。しかし、最近発見された証拠が、事件と玲奈の過去を繋げる重要な手がかりとなるかもしれないと奈緒美は感じていた。
「玲奈、この事件について話す準備はできているかしら?」奈緒美は優しく問いかけた。玲奈の目は不安げだったが、彼女は小さく頷いた。「はい、奈緒美さん。もう逃げたくないです。全部知りたいと思います。」
奈緒美は彼女の決意を感じ取り、失踪事件のファイルをテーブルに広げた。「この事件は、あなたが幼い頃に住んでいた街で起こったものよ。当時、あなたの家族も巻き込まれていた可能性があるの。」
玲奈はファイルに目を落とし、過去の記憶を辿るように目を細めた。彼女が小さかった頃の断片的な記憶が次第に蘇ってきた。「この人、見覚えがあります。私が子供の頃に、近所に住んでいた人かもしれません…。」
奈緒美は玲奈の言葉を聞きながら、失踪事件の概要を説明した。「この人物、当時40代の男性が突然姿を消したの。その後、彼に関する情報は一切見つかっていないけれど、最近になって彼の遺留品が発見されたの。」
高橋剛が持ち込んだ証拠品がテーブルの上に置かれた。小さなブローチ、古びた手紙、そして携帯電話のバッテリーが目に入る。奈緒美は手紙を手に取り、それが重要な手がかりであると説明した。
「この手紙には、何らかの秘密が隠されていると考えられるわ。内容自体は個人的なものだけれど、暗号化されている可能性があるの。」奈緒美は手紙を慎重に広げ、玲奈に見せた。
玲奈は手紙に目を通しながら、無意識に手を震わせていた。「これ…なんだかお母さんがよく話していた言葉に似てる気がします。いつも何かを隠しているように話していたけど、その時のことが今になって少しずつ思い出せるんです。」
「紗絵子さんが?」奈緒美は驚きを隠せなかった。「その言葉が何か、心当たりはある?」
玲奈は考え込むように視線を落とし、そしてぽつりと呟いた。「秘密の場所…彼女はよく、私に秘密の場所があるって言ってました。でも、それがどこかは教えてくれなかったんです。」
奈緒美はその言葉に反応し、何かが頭の中で繋がった。「その秘密の場所が、この事件の鍵になるかもしれない。私たちはそれを見つけなければならないわ。紗絵子さんが残したメッセージ、そしてこの手紙がその場所を示している可能性が高い。」
奈緒美はその場で高橋剛に連絡を取り、手紙の暗号解読を急ぐよう指示した。同時に、玲奈の過去の記憶を再び掘り起こし、彼女の幼少期に何があったのかを調べる必要があると考えた。
「玲奈、これはきっと辛いことだと思う。でも、あなたが知りたいと思っているなら、私たちが全力でサポートするわ。一緒に真実を探しましょう。」奈緒美は強く玲奈の手を握りしめた。
玲奈はその手を握り返し、覚悟を決めたように頷いた。「お願いします、奈緒美さん。私も一緒に、真実を探したいです。」
奈緒美はその言葉を受けて、再捜査の準備を進めることにした。玲奈の過去と失踪事件の繋がりを解明するために、NDSラボの全メンバーが動き出す。彼らは新たに発見された証拠を解析し、玲奈が抱える過去の秘密を解き明かそうとする。
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