第14話 迎え撃つ決意
施設の崩壊から一夜明け、NDSラボとMIU404のメンバーたちは、それぞれの持ち場で次の一手を考えていた。朝日が昇り始めた頃、奈緒美は再びNDSラボのオフィスに戻り、データの解析に取り掛かっていた。彼女の目は赤く充血し、疲労の色が隠せなかったが、その手は止まることなくキーボードを叩き続けていた。
「このデータがあれば、企業の計画を暴ける…」奈緒美は自分に言い聞かせるように呟きながら、画面に映し出された情報に集中していた。
「奈緒美さん、少し休んだ方がいいんじゃないか?」高橋が心配そうに声をかけたが、奈緒美は首を振って答えた。
「時間がないわ。私たちが立ち止まっている間にも、次の計画が進行しているかもしれない。」彼女の声には、疲労を押し殺すような強い意志が込められていた。
高橋はその言葉に反論することなく、彼女の横で自分の仕事を続けた。彼もまた、何があってもこの事件を解決しなければならないという使命感に駆られていた。
その時、オフィスのドアがノックされ、神谷悠が静かに入ってきた。彼の顔にも緊張が走っており、状況の深刻さを物語っていた。
「奈緒美、データはどうだ?」神谷は奈緒美のデスクに近づき、彼女の進捗を確認しようとした。
「まだ完全には解析できていないけど、重要な情報は揃いつつあるわ。これがあれば、企業の違法な実験を暴露することができる。」奈緒美は画面を神谷に見せながら答えた。
「そうか。だが、気をつけてくれ。企業側も黙っているわけがない。」神谷の言葉には、彼らが直面している危険が如実に現れていた。
「分かってるわ。でも、私たちがやらなければ、この計画は止まらない。」奈緒美は決然とした声で言い切った。
「警察も動き出している。MIU404のメンバーたちも、いつでも出動できる準備を整えている。」神谷は報告を続けた。「これ以上の犠牲を出さないためにも、私たちはすべての力を尽くすべきだ。」
「そうね。私たちの役割は、その事実を明らかにして、公正な裁きを実現すること。」奈緒美は一瞬、画面から目を離し、神谷の顔を真っ直ぐに見つめた。
「奈緒美…君に任せてよかった。最後まで君の判断を信じる。」神谷は静かに言い、奈緒美の肩に手を置いた。
「ありがとう、神谷さん。でも、私一人の力じゃない。ここにいる全員がこの事件を解決するために尽力してくれている。」奈緒美は感謝の意を込めて答えた。
その時、オフィスの電話が鳴り響いた。奈緒美はすぐに受話器を取り上げたが、電話の向こうから聞こえてきたのは、志摩一未の緊迫した声だった。
「奈緒美さん、状況が変わった。企業側が動き出している。私たちもすぐに出動する準備をしてくれ。」志摩の声には明らかな緊張が混じっていた。
「分かったわ。すぐに準備を整える。」奈緒美は短く答え、電話を切った。
「どうやら、次の戦いが始まるようだ。」奈緒美は振り返って高橋と神谷に言った。
「私たちの準備も整っている。すぐに動ける。」高橋が応じた。
「全員が一丸となって戦う時が来たわね。」神谷もまた、強い決意を込めて答えた。
奈緒美たちは一瞬だけ深呼吸をし、これからの戦いに向けて気持ちを引き締めた。彼らはこれまでにない規模の事件に挑むことになるが、それでも決して諦めることはなかった。
「行こう。私たちがこの計画を止める。」奈緒美はそう言って、データのコピーを手に取り、オフィスを後にした。
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