第15話 最後の証拠と決着の時

NDSラボのオフィスは、戦場のような緊張感に包まれていた。奈緒美は深夜に及ぶ作業で疲労が蓄積していたが、その鋭い目は少しも曇らず、最後の証拠を解析する手を止めなかった。彼女の周りでは、高橋と他のメンバーたちが、必要なデータを整理し、警察への引き渡しの準備を進めていた。


「これが最後の証拠になる…」奈緒美は呟くように言いながら、画面に映し出された解析結果を確認した。「この証拠が揃えば、企業の悪行を完全に暴くことができるはず。」


高橋は、その言葉に力強く頷きながら、追加のバックアップを取り始めた。「これで企業側が逃げ道を塞がれることになるな。」


「そうね。これ以上の犠牲者を出さないためにも、私たちはこの証拠を必ず守り抜かなければならない。」奈緒美の決意は揺るぎなかった。


その時、突然オフィスの照明が一瞬だけ揺らぎ、次に大きな振動が建物全体を揺さぶった。奈緒美は瞬時に異変を察知し、全員に目配せを送った。


「何かが起こっている…」高橋が警戒心を隠さずに言った。


「すぐにデータを持って外に出るわ。警察のサポートも必要になる。」奈緒美はすぐに行動に移り、最も重要なデータを携え、オフィスを後にした。


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外に出ると、夜の静寂を破るように、遠くから複数の車のエンジン音が聞こえてきた。彼らが振り返ると、数台の黒い車がNDSラボに向かって猛スピードで接近してくるのが見えた。


「おそらく企業側の連中だろうな。」高橋が険しい表情で言った。


「その可能性が高いわ。早くここを離れて、安全な場所に移動する。」奈緒美はすぐに決断し、車に乗り込んだ。


だが、その瞬間、彼らの前にもう一台の車が止まり、中から伊吹と志摩が飛び出してきた。


「奈緒美さん!無事か?」伊吹が駆け寄りながら叫んだ。


「大丈夫。でも、すぐに動かないと追い詰められる。」奈緒美は短く答え、彼らに状況を説明した。


「了解。俺たちが追っ手を引き受ける。奈緒美さんたちはデータを守って逃げてくれ。」志摩が冷静に指示を出した。


「でも、それじゃ…」奈緒美は一瞬戸惑ったが、すぐにその提案を受け入れた。「わかった。お願いするわ。」


伊吹と志摩はすぐに自分たちの車に戻り、追っ手を引き付けるために逆方向に走り出した。奈緒美たちはその隙に車を発進させ、警察が用意したセーフハウスへと急いだ。


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セーフハウスに到着すると、奈緒美はすぐにデータを安全な場所に保管し、解析を続けるための準備を整えた。高橋と他のメンバーもまた、それぞれの役割を果たすべく、迅速に行動を開始した。


「ここからが本当の勝負だ。企業側があらゆる手段を使ってくるはずだから、気を抜くな。」奈緒美はメンバー全員に向けて声を掛けた。


「奈緒美さん、こちらの準備は整いました。」高橋が報告を終えた。


「ありがとう。これで、私たちは彼らに勝つための武器を手に入れた。」奈緒美は深い息を吐きながら、画面に目を戻した。


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外では、伊吹と志摩が企業側の追っ手を巧みにかわしながら、NDSラボのメンバーたちを守り続けていた。彼らの車は夜の街を縦横無尽に駆け抜け、追っ手を翻弄していた。


「志摩さん、こっちはどうする?」伊吹が運転しながら問いかけた。


「とにかく時間を稼ぐんだ。奈緒美さんたちがデータを解析し終えるまで、俺たちが彼らを食い止める。」志摩は冷静に答えた。


「了解!任せてくれ!」伊吹は再びアクセルを踏み込み、車はさらにスピードを上げた。


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奈緒美たちがセーフハウスでデータの解析を続けている中、時間が刻々と過ぎていった。彼女たちは一瞬の油断も許されない状況に追い込まれていたが、その心には確固たる信念があった。


「このデータを守り抜けば、全てが終わる。もう少し…」奈緒美は自分に言い聞かせ、手を休めることなく作業を続けた。


やがて、データの最終解析が完了し、企業の違法な実験の全貌が明らかになった。奈緒美はその結果を見つめながら、深い息をついてつぶやいた。


「これで終わりじゃない…でも、これが新たな始まりになる。」


彼女の手には、企業の悪行を暴くための決定的な証拠が握られていた。奈緒美はその証拠を慎重に保管し、次の行動に移るための準備を整えた。

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