第18話 それから

 夏休みが終わって二学期が始まり、千穂の家には和子お祖母ちゃんが戻ってきた。

 草花のいきおいが少しおとろえて、トンボの姿をよく見かけるようになった。 

 家の庭先でパパの車が止まり、千穂とお祖母ちゃんが荷物を抱えながら降りてくる。


 やがて、部屋の中からポロロンと音が響き出す。

 千穂の手には白い線の入ったウクレレが、お祖母ちゃんの手にはまた別のウクレレがあった。

 千穂が出た演奏会の日から、和子お祖母ちゃんは再びウクレレを弾きたいと、どうしてもまた弾きたいと思ったのだ。

「お祖母ちゃんと一緒に演奏出来る曲を練習したい」

「ええ、私もそう思ってた」


 今でも人前は苦手。

 出来るならば避けたいけれど、千穂は自分の手でメロディを、ハーモニーをかなでる特別を見つけた。

 新しい曲を弾くたびに、楽しそうにハミングする声が、今もときどき千穂の夢にあらわれる。

 白い模様のウクレレがまた新しい音楽を奏でられることを、喜んでいるのかもしれない。ずっと相棒でいようねと千穂はウクレレを抱え、そう思った。

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星のウクレレ 森沢 @morisawa202305

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