第3話 いつも通り

「起立、礼」

『お願いします』

ホームルームが終わり、社会の授業が始まった。担当はおじいちゃんの高峰先生なのだが、よく、俺にいろいろと冗談をふっかける。俺は1年の自己紹介でミスったのでクラスのみんなにはお調子者キャラとして認知されている。そしてお調子者キャラは高峰先生から面白いと思われるのだ。社会の授業では俺が先生にちょっかいをかけるのが恒例になっている。

「えーっと、教科書の221ページを開いてください」

高峰先生がそう言い、板書を始める。そして、俺は高峰先生の私物を取り、遊び始めた。「こら、くりぼう」

「はい?」

「しばかれたいのかい?」

「はーい」

俺はそう返事をした。周りのみんなはクスクスと笑っている。俺はちらっと後ろを見た。すると長谷部が微笑している。「よし、くりぼう。この問題を解け」

「え?あ、はい」

俺は高峰先生に指名され、黒板へ向かう。チョークを持ち、問題を解く。そして答えを書き終え、チョークを置くと……

「正解!よくできたな!」

高峰先生はそういい、俺の頭を指示棒で軽く叩いた。俺はちょっと嬉しかったが、それを顔には出さずに席に戻る。

「……ふふっ」

そんな俺を見て長谷部が笑った。俺は、普段真面目な長谷部の意外な姿に驚いた。長谷部も、笑ったりするんだな……。

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