有栖の助言

 華蓮の異能力制御について話を聞いた後、少し経って僕だけ先に家に飛ばしてもらうことにしたけど華蓮と有栖も一緒に戻ることになった


 手伝いたい華蓮と見学したい有栖だ


 天津さんもどうかと誘ったけど天津さんは味覚がないらしいので行っても意味がないと断られた。有栖に


 全くいやな顔をしていなかったから落ち込んではなさそうだ


 味覚がない。なるほどおいしくないと言われていたのにはそんな理由があったのか。弱点と言ってごめんさい


 家にもどってまず買い出しに行くことになった


 有栖に日中はだけど大丈夫かと尋ねたら血をせがまれた。ちょっとだけでよかったらしく一瞬だった。心なしかちょっと血色がよくなったような気がした


 三人で買い物をした。


 有栖はカートを押すのが気に入ったようで手を離さなかった。初めて見たらしい


 なんだか妹が一人増えたようで楽しかった


 家についたのは十八時だ。華蓮のお腹が限界を迎えるかと思ったがお菓子を大量に食べたせいかまだ大丈夫らしい


 夕飯は三人で作った。有栖は楽しそうに肉をこねていた。初めてやったそうだ


 華蓮も慣れない手つきでフライパンと返しをもってハンバーグを焼いた


 僕は指示係をした。二人が楽しそうに料理をしている姿をカメラでとって送ってあげた


 一つだけ焦げてしまったが僕が食べることにした。せっかく初めて作ったんだ、美味しい思い出にしてあげたい


 華蓮は五つ、僕と有栖は一つずつ食べた。有栖はとんでもない量食べる華蓮を恐ろしいものを見る目で見ている


 華蓮はちょっと恥ずかしかったのか一口を少なくした。食べる量は変わらない


 食べ終わって三人で・・・は狭すぎるので二人に食器をあらってもらった


 僕は落として割らないように未来予知の眼をかっぴらいてみている


 一度有栖が落としかけたものの目にも止まらないスピードで阻止した


 ・・・華蓮が


 食後三人でトランプをすることになった。有栖は初めてするようだ


 結果有栖が全勝だった。能力を使うのはよくないと思う


 もしかしてと思ったら、通常時の感触系能力使用禁止を知らなかった


 天津さんが言い忘れたのか、有栖が聞いていなかったのか。多分後者だろう。天津さんがそんなミスするはずない


 しばらくして華蓮と有栖が一緒にお風呂に入りに行った


 僕は明日の準備をしに自室に戻る


 ロビングにいると聞こえるのだ。彼女らの声が


 ダメだろう聞いちゃ。だめ・・・ダメだ


 しばらくして、下に降りると華蓮が有栖の髪を乾かしていた


 脱衣所じゃ座れないからリビングに来たそうだ


 そのまま僕も風呂に入った。なんだかそのまま入るのに罪悪感があったので湯を張り替えた


 風呂からでてリビングに戻ると二人で何やら話していたが僕が来たとたんやめた


 乙女の話をしていたみたいだ。悪いことをした


 しばらくして有栖が帰ることになった


 華蓮はとまってほしそうだったが二人で寝るには華蓮のベットじゃ狭すぎる。華蓮は仕方ないとあきらめた


 また別の日に向こうに留まる約束をした


 僕は独りぼっちだ


 有栖は帰り際ふと気づいたように話しかけてきた


 何だろう


「貴樹・・・何か悩んでるようだけどあんまり考えないほうがいいよ」


 心配で声をかけてくれたみたいだ


「そうだな~、もし迷ったら何もかも無視してその眼を全力で駆使するといいよ」


「それは助言みたいなものか?まあ頭の隅にでも置いておくよ」


「ん、いまはそれでいい」


 さすがに全部使うわけにはいかないからな。助言通りにしてみよう


「華蓮はさっき言った通りね」


「わかってるわ」


 さっきの乙女の話かな。なにかアドバイスでもあったのか


「あ、待って。絶対ばれちゃだめだからね」


「そうなの?」


「うん。絶対に!」


「わかった。そうするわ」


 男に秘密の話・・・ちょっと寂しい


 有栖はもう話すことはないようですぐに天津さんに送ってもらった


 今日は昨日と違う意味で疲れた。いい日だった


 明日光に会ったらなんてごまかそうか・・・察しのいい光には全部ばれそうだけど


 言い訳を考えながら眠りについた


 あ、有栖とどうやって仲良くなったかもかんがえなくちゃ・・・・



 明日は明日の風がふく。なるようになる




 そう思ってた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る