有栖の異能力講座2

異能力は意思を持っている。有栖から放たれたその言葉に僕の頭はパンク寸前だ


華蓮も何言ってるんだこの子って顔してる


「異能力っていうのは血液中に漂ってる情報全部を合わせたもののことをいうの。みんな意思をもってて、宿主が指示を出すことで使われるのよ」


「まって、全然頭の整理が追い付かない」


有栖が異能力を知れるってとこで血液中の情報体が異能力の正体ってのはわかった


だけど異能力が意思をもってる?さすがに信じられない


「・・・意思を持ってる異能力を抑え込んでるのが三割制御。それって無理やり抑え込んでるってこと?」


華蓮が真面目な顔で考えている


わかるのか。これ。全然理解できないんだけど


「華蓮ちゃん正解!だから三割・・・なんだけどそんなに暴れまわってないんだよね。もともと好かれてるのかな?すごく強い異能だからおとなしいってことはないし・・・」


「毎日お風呂でエネルギー出してるってのは関係してる?」


「あ、それかな。華蓮ちゃんのはずっとエネルギー作り出してるから窮屈そうだもん。例えるなら密室にいて自分の汗で窒息しそうになってるってかんじかな」


その例えはひどいけどわかりやすい。華蓮の異能に関してはわかってきた。


こいつは飼育されてる猛獣だ

 

「今の部屋はかなり小さいからその部屋を大きくしてあげるともっと使いこなせるかも」


「そのための訓練ってわけね」

 

異能力が意思を持ってるってのは信じがたい


でも異能力の強化方法について例えるなら今の説明はわかりやすい


「じゃあ、暴走っていうのはエネルギーを全く出さないときにおこるってことね。小さいころよく暴走してたのは許容量が小さかったから」


「正解!華蓮ちゃんは賢いのね。すぐに理解できるはすごいよ」


僕もそう思う。僕のも聞きたいけど頭がパンクしたまま料理したら失敗しそうだからまた今度にしよう


「華蓮ちゃんの異能力は特殊だからね。窒息しそうになったその子がおぼれる前に表に出てきたってわけ。普通の能力はエネルギーなんて生み出さないからそういう暴走の仕方はしないの。暴走っていうのは宿主に負荷がかかった時、例えばストレスとか外傷とか、そんな時に宿主を守るために異能が表に出てくるってのが暴走」


なるほど・・・うーん。もしかしたら僕ってバカなのかもしれない

 

「暴走を意図的に起こすっていうのは異能をだまして表に出てこさせるってこと?」


「ふふふ、話が早いわね華蓮ちゃん。そうゆうこと、でも暴走って宿主を守るために起こることだから意識を持っていかれるの。異能に大丈夫だよって言い聞かせて、力を貸してもらえて九割制御ね。たまに異能が貸してやるって出てくるときもあるから勘違いしないようにね」


「なるほど・・・。だからあのとき・・・」


華蓮の顔が赤く染まった。怒っているわけではなさそうだけどどうしたんだろ


「もしかして華蓮ちゃんやったことあるの?」


「た、ぶん。あんまり覚えてないわ」


「小さいころは記憶があいまいだからね。でもやったてことは異能が覚えているはずだから同じような場面になったら力貸してくれると思うよ」


「ほんとに!?それはすごく・・・いいわね」


叫んですぐにまた小さくなった。ほんと感情の振れ幅すごく大きいな華蓮って


またすぐに口を開いた


「じゃあ完全制御ってどうするの?」 


「ききたい?」


「ええ」


また真剣な顔つきだ


華蓮の異能力は強大で扱いずらい。それは周りにとっても、自身にとってもだ


だから完全に制御できる方法がすぐそこにあるのなら逃すてはない


有栖は得意げに教えてくれた。語る姿がカワイイ


「さっきも言ったけど異能と仲良くなるのが重要なの。意図して引き出した暴走状態のときって異能が貸してくれるのって一部の能力だけなの。それだけでも強力なんだけどね。でも何で一部かっていうのは宿主が使用に耐えられないからなんだ。耐えられなかったら自壊してしまうの宿主ともどもね。異能も生きていたいから宿主を守るために暴走するの。だから異能の全部を引き出せる体を作ることができたら完全制御達成!」

 

「そのための訓練ってわけね」


自壊・・・はしたくないな。持ってくれよ僕の異能。仲よくしような


とりあえず腹をなでておいた


「訓練って何をすればいいの?」


「異能を使いまくるの。その時にできる全部を出し切って」


「・・・私の場合は無理そうね」


華蓮はあからさま落ち込んだ


それはそうだ。せっかく方法を知ったのに華蓮の異能力を全力で行使したら町に被害が出る


訓練ができないのと同じだ


「うーんそうだよね~強大な力をもった宿命だね」


有栖も頭を抱えている。カワイイ


「そうだ!昨日会ったときエネルギーを纏ってたよね。一日中欠かさずやってみるのはどうかな?寝るときも同じく。確かそんな修行方法があったはずよ!マンガに!」


マンガなのか・・・でも何もないよりはましなのかもしれないな


「それにある程度体が耐えられるようになったら初めて使うものでも異能が使い方を教えてくれるから」


「そうなの!?今日からやってみるわ!」


そうなの!?マンガってすごいんだなあ


華蓮は今すぐと言わんばかりにエネルギーを纏いだしたけどやめさせた


有栖の家が壊れかねない


とりあえず壊れない自宅のふろ場で慣らして、それから庭でってかんじで少しずつという約束をした


華蓮は残念そうな顔をしたけどしょうがないわね、と納得してくれた


「じゃあ、貴樹の・・・・」


「ありがたいけど僕は今度にしてほしい。頭がパンクしそうなんだ」


有栖はこれからが本番なのにと残念そうな顔をしていた。カワイイ

 

残念顔が二人になってご飯の話になった


有栖は何でもいいといったがそれが一番難しい


けどろくなごはんを食べていない有栖だしょうがない


華蓮にきいたらハンバーグがいいと言っていた


ちょっと思いがまだ三時だった。全然心配いらなかった


お菓子とかを片付けて外に行くことになった


外で華蓮の異能力をためすためだ


有栖いわく「天津なら何とかしてくれる」らしいので天津さんに頼んでみることにした


天津さんは結界も張れるらしい。この館にカモフラージュもとい幻術をかけたのも天津さんみたいだ


何なんだこの人。古の忍者かなにかか


そんなこんなで天津さんに結界を張ってもらい華蓮の特訓が始まった


僕らは見ているだけである

 

華蓮は最初から限界ギリギリを出した


爆風で有栖が飛びそうになって僕が守ろうとしたけどそのまま吹き飛ばされた


そして天津さんがキャッチしてくれた。お姫様抱っこなんて初めてされた。ちょっと恥ずかしい。でも有栖が笑っていたから良しとした


華蓮はまだ限界じゃなかったみたいでさっきより数倍の爆風が僕たちを襲ったが天津さんが守ってくれた


さながら姫を守る騎士のようだ。かっこいい


華蓮の全力だ。地面は割れ、木はなぎ倒されるはずだが砂ぼこりすら立たない


天津さんの結界が全部守っている。有栖いわく「全力だとしても止められるよ」なんて言っている。天津さんも否定しなかった


華蓮は限界ギリギリのエネルギーを収束し身にまとった多少の揺らぎはあったが薄く纏えていた


天津さんに一瞬だけ地面の結界を消してもらったけど、コンマ一秒も経っていないのにも関わらずクレーターができた


クレーターは天津さんの手でものの数秒で元通り。すごい


華蓮は徐々に身に纏う量を減らしていき少し砂ぼこりが立つ程度の加減を覚えてお風呂で慣らすことになった


 今まで垂れ流すだけだったけどこれからは意識して消費してゆく、リラックスできればいいんだけど。あまり根を詰めないでほしいところだ


この訓練をすると許容量とエネルギー増加量、放出量を上げられるらしい(マンガの知識)


真偽はともかく理にはかなっていそうだから華蓮はこれからもっと異能力を制御できるようになるだろう


・・・少し心配ではあるが何かあったら守れるだけの力を僕もつけよう


僕の者については来週教えてもらえることになった


今から楽しみだ

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