龍見有栖4
「ひどいわ!でも全部その通りだからしょうがないのよね」
「まことに申し訳ない」
僕が話している最中彼女は頬を膨らませながら怒っているようだった
でも許してくれた
ちなみにカワイイを強調しておいた。だから彼女は今赤面している
「噛んだことについては謝るわ。ほんとにごめんなさい・・・でも本当に助かったわ。おなかがすいて倒れそうだったから」
お腹がすいたから僕の血をのんだ。ということは
「やっぱり龍見さんって吸血鬼なんだね」
「うーん、なんて言ったらいいかわからないけど、でも私は吸血鬼ではないわ」
吸血鬼じゃないのか。吸血鬼でも驚きはしなかったけど
何なら吸われたい
「食事は普通に取れるのよ?お腹を満たすには必須なんだけど。それ以外に血を取り込む必要があるんだ」
「じゃあ龍見さんの異能力によるものなのか」
「まあそんなところかしら、そんなことより・・・」
ん?そんなことよりってなんか見逃していることでもあるのか
「いつまで龍見さんって呼ぶの?名前で呼んでくれてもいいのよ?」
簡単なことだった。とてつもなく
「じゃあ、有栖さんって呼ぼうかな」
「ん-なんか違う。呼び捨てにしてほしいな~」
ちらちらとこっちを見てくる。かわいい
「わかった。これからは有栖って呼ぶことにするよ」
「うん!それがいい!」
なんだか年齢より幼く見えるな。だけどそれもまたいい
「それで有栖の異能力は何なんだ?」
さっきははぐらかしていたから気になる
でもあんまり聞くと嫌われてしまうかもしれない
こんな親しくなったばかりなんだそれだけは避けなければ
聞くのはこれで最後にしよう
「うーん、ちゃんと言いたいんだけど登録していないから名前はないの。等級もついていないし」
すんなり答えてくれた、だけど登録していないとは
「登録は人類の義務でしょ?発現した時登録するものだけど・・・」
「だって私人間ではないもの・・・」
そうだった。さっき聞いていた。人間ではないと肯定していた
登録は「人類」の義務だ。だけどそれは非人間は適用されない
というか非人間というものは認知されていない
僕も見たのは有栖が初めてだ
「でもそうね。名をつけるなら「吸血」なのかな」
「多分それが妥当かな」
「でもそれ以上は・・・ごめんなさい。言いたくないの」
言いたくないことなら聞かないでおこう。気にはなるけど嫌がることをしたくはない
「じゃあこんなところに住んでるのは人目を避けるためだったんだ」
僕もそうだから納得がいった
「じゃあこんな時期に転校してきたのは・・・」
「食事とるためなの」
道理は通っている。だけどそれは
「天津さんに頼んで調達してもらうことはできなかったのか?」
あのとんでも執事の天津さんなら調達くらいお手の物だろう
「取り込む血は誰のものでもいいわけじゃないの。それに血を見分けるのには私がちゃんと見ないといけないから」
「天津さんに適当に頼むわけにはいけないってわけか」
「うん。記憶を消しても何人もの人が急に消えたとなると南が動くし西の警備も強化されるから」
「だから有栖が自分で狩りをしないといけないっていけないのか」
「狩りって言われるのはちょっと違うと思う」
ちょっと怒っている。かわいい。ごめんなさい
記憶を消せるのは有栖の異能力によるものだったのか
いやちょっとまて
「何で僕の記憶は消えてないんだ?」
「最初からあなたの記憶を消そうだなんて考えていなかったもの。あ!」
なんだ?またなんかあったか
「私も名前で呼んでいいのよね!?」
なんかデジャブを感じた
「ああ、いいよ。好きにして」
「ありがと!」
時折話の腰が折れるのはこれが久しぶりの会話だからだろうか
まあ。きにしないけど
「貴樹には私がちを吸ったことを覚えておいてもらわなくちゃいけなかったの」
「もしあの後すぐ光に言っていたらどうしたんだ?」
「貴樹が言わないことはわかっていたもの」
どこからそんな確信が生まれてきたんだか
信用されるのはうれしいがまだ会話もしていなかったのに
「じゃあ、僕が気を失ったのは吸血によるものだったのか」
「そうよ。私は吸血したものを少しの間操れるの。だから貴樹を席につかせたのも私の力によるものよ」
得意げに言っているがなんだか危なっかしい
でもま、天津さんが何も言わなかったというなら完璧に制御できるのだろう
なるほど、あの後そんなことが起きていたのか
天津さんに飛ばされたわけじゃなかった
というかいきなり現れたら授業どころじゃなくなるか
「そっか、有栖の異能力って結構いろんなことができるんだね」
「貴樹ほどじゃないけどね!」
まて。何で僕の異能力のことをしてるんだ
光の異能力も知っていたがそれはちゃんと登録されてるからであって
僕のものは一部しか登録されていない
それに僕はまだ有栖に異能力を見せていない
「有栖、君はなんd・・・・
「お嬢様、近衛様。もうじき夜明けでございます。そろそろお開きにされてはいかがでしょう」
時計を見てみるとすでに五時を回っていた
三時間近く話こんでいたようだ
聞きたいことはまだいろいろあったが今日は帰ることにしよう
「次はいつ来てくれるのかな?私は明日でもいいのよ?」
さすがに今日は夜更かししすぎた。明日もとなると体がもたない
明後日の昼ならどうかと言ったら嬉しそうに笑顔になった。かわいい
僕らは連絡先を交換した
次来るときに連絡することで天津さんに飛ばしてもらえることになった
さすがに片道一時間は足がもたない
「近衛様。外にいるお連れ様もご一緒にお送りしましょうか」
「え、光はさっき・・・」
「いえ、女性の方です」
外を見てみると鬼の形相をした華蓮が突っ立っていた
夜中に目が覚めて僕がいないことを知り、匂いを辿ってここまで来たのだろう
寒そうにはしていなかった。異能力を使い体にエネルギーを纏わせて寒さを打ち消していたのだろう
いつからそこに立っていたかは家に着いた後にわかるだろう
僕の頭の中には「ヤバい」の三文字だけが浮かんでいる
華蓮は天津さんと少し話をしていた。怒号は飛んできていない
そりゃそうだ。天津さんは何も悪くない。悪いのは何も告げずに家を出た僕だ。
伝えたら絶対ついてこようとするから。まあ伝えずともここにいるのだが。
有栖も華蓮のもとに行き、話ている
僕の罪が少しでも軽くなることを祈るばかりだ。頼むぞ有栖君
当の僕は冷たい地面で正座してことが終わるのを待っている
このあと僕は家に着いたとたん華蓮の何かしらが体をゆがませるだろう
帰りたくない
僕は有栖と天津さんにではまたとだけ挨拶し生きて再開することを祈った
かくして僕らは自宅に戻ったのであった・・・・・
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