第16話

あの時の経験から、「自殺」という選択肢が自分の中に発生してしまった。

本当にその選択をとるために、あの4階の窓の縁に立っていたのかはわからないが、自分の中にその選択肢が生まれてしまった。


しかし、今のところ、自分がその選択肢をとることなく生きているし、今後もないのかなと思う。

自分に絶望することも多いし、世界に絶望することも多い。

ただ、存外自分の生きてきた道に関しては、悪いものではないと今でも思えるし、今後の選択についても、そう思えるように選択し続けると期待している。

ここで、「自殺」を選択するとなると、それまでの行動を棒に振ってしまうことになる気がして、取ることができない。もし、棒に振ってもよいと思えるようになってしまったら、その時に考えようかと思う。


あの時の一言で小倉くんがその選択肢を取らなくなったのだとしたら、私の人生史上まれにみるファインプレーであるし、自分の選択の際にそのような声をかけてくれる周りの人々を作っておいたほうが良いと感じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る