第10話

これくらいの時期から、自分のために生きることに意味が見いだせなくなってきた。


生物としては、種の存続を期待できず(別に無理をしたらできるわけだが)、自分の利益のために生きるのも無為な気がして、誰かのために生きるのもよいなと思い始めた。

その意味では、担任の先生からしたらとても良い生徒だったと思う。

暗めで危うくいじめられてもおかしくない女子といつも同じ班になるし、校外学習や修学旅行、文化祭等々何かしらのイベントの時は大抵知的障がい者の子と一緒に組まされていた。


特にそれらに文句もないし、自分のような人間のおかげで、周りの人たちが動きやすくなっているのは目に見えてわかるのでそういう生き方、人間になってきていた。

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