第4話 虚な吸血鬼

「Uターンだ。今すぐに」


「久々に遊びに来てあげたのにそれは無いんじゃ無いのー?」


「どうやらお前がエリブレイドみたいだな」


赤い大きな玉座にあぐらをかいて座る12歳ほどの女の子。

それがエリブレイドだった。


吸血鬼は老いても見た目が変わらない的な物があるのだろうが、

明らかにホワイトより年下である。


…それなのにホワイトの何倍もの殺意。覇気。オーラ。

赤い瞳の鋭い眼光はキッとホワイトを睨んでいる。


「ヴェズギルドを殺しに行くんだけど一緒にどう?」


「ヴェズギルドを…。手の込んだ自殺だな。ナイフでも貸してやろうか」


エリブレイド、言い回しがかっこいい。

ヴェズギルドとやらはおそらく200年生きた吸血鬼なのだろう。


「貴様。貴様は何者だ?」


「…人に物を聞くときは自分から、だぜ?

 礼儀がなってねぇな吸血鬼さん?」


「…よかろう。我は吸血鬼エリブレイド・ミズガス。通称は虚、だ」


虚。空っぽ的ないみだったハズ。

なんかかっこいい。

エリブレイドさんかっこいい。


「オレは白雲つかさ。ただの新米吸血鬼だ」


「貴様が吸血鬼?面白いジョークだ。明らかにウィザードだろう」


ハイ出ました新役職。ウィザードは魔術師だろうか。

まだ吸血鬼になってから数十分だから勘違いしたのだろうか。


「ウィザードってのは魔術師か?」


「魔法を使える家系のことだ」


オレの父親は建設会社の社員で母親は持病で寝たきりですけど??

姉貴は普通に学生ですけど??

魔法使えんならいまごろ母親元気ですけど??

てか両親と姉貴は2年前にバスの事故で死にましたけど??

今更チート家系でした〜はずるいだろ!もっと前に言えよ!


…そういえば姉貴は魔法が使えたような。

氷を出したりするくらいだったけど。

あれ手品だと思ってたけどよく考えると魔法かもな…。


「…うちで魔法が使えんのは多分姉貴だけだ。でも姉貴は2年前に死んだ。

 オレが知ってんのはそれだけだ」


「なるほど。ウィザードは1世帯に1人しか目覚めない。

 女が選ばれるとは何とも稀有なことよ」


「話は変わるが、何故お前は虚って呼ばれてるんだ?」


エリブレイドが驚いたような顔をする。

かと思えばいきなり笑い出した。


「フフ…フハハハハ!そうかそうか。気になるか。なら教えてやろう。

 それは我が自慢のブラッドリーズのためよ!」


「ブラッドリーズ?血の…なんだ」


「我の体の中の血液を凝固させ打ち出す技だ。これを食らえば皆が倒れるのだ!

 だから、魂を虚にする、と言うことなのだ!!」


「目にハイライトがないからでしょ。嘘はよくないよ」


「お前は黙っていろ!!」


なるほど。吸血鬼は死なないから多少の無茶をしても大丈夫。

だから血液発射なんて力技が。

オレもなんか考えとこう。


「で、来てくれるの?」


「お前は吐くほど嫌いだ。が、えっと…少年は気に入った。ついていってやろう」


名前覚えてくれよ!!

オレを少年呼び第二号ができてしまった。

このままじゃ本当に名前を忘れられてしまう。


「オレは白雲だ。気に入ってもらって嬉しいよ虚」


「白雲。Sだな。よろしくなS」


「もうそれでいいよ」


かくかくしかじかで次回へGO!!

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