第11話 新たな仲間と緊迫する現場

冷たい夜の空気が、都市の外れに位置する廃工場の周辺を包み込んでいた。志摩と伊吹が犯人を取り押さえたものの、その言葉は彼らに新たな不安をもたらしていた。「まだ終わっていない」という言葉の重みを感じながら、二人はさらに警戒を強めていた。


工場の外では、特別捜査班の西川真理が指揮を執り、周辺の警戒を強化していた。彼女の眼差しは鋭く、これまでに経験してきた数々のテロ事件の記憶が頭の中を駆け巡っていた。


「これで終わりじゃないわ。奴らはまだ何かを仕掛けてくるはず。」西川は部下たちに声をかけ、さらなる捜査の指示を出した。


その時、無線が静かに響き、小野寺翔太の声が聞こえた。「こちらNDSラボ。システム内の解析を進めたところ、追加の通信ログが確認されました。犯人が別の仲間と連絡を取り合っている痕跡です。」


「やはり…」西川は眉をひそめ、伊吹と志摩に無線で指示を飛ばした。「お二人も、引き続き警戒を強めてください。彼らの仲間が近くにいる可能性が高い。」


伊吹が小さく頷き、すぐに周囲の警戒を強化した。「奈緒美さん、状況はどうですか?」と無線で尋ねる。


「こちらもシステムをさらに解析しています。犯人たちが通信している相手の特定を急いでいます。」前田奈緒美の声が返ってきた。その声には、緊張とともに確固たる決意が感じられた。


廃工場の周辺は静まり返っていたが、その静けさがかえって不安を募らせていた。志摩は深い息を吐きながら、じっと周囲を見回した。彼の目に、遠くにちらりと光が見えた。何かが動いている。


「伊吹、あの方向だ。」志摩が囁くように言った。


「了解。」伊吹もすぐにその方向を見据えた。光が動いている。人影だ。しかも、複数いるようだ。


「まさか、仲間が…」志摩は瞬時にその可能性を考え、すぐに行動を起こした。「西川班長、複数の不審な人影を確認。おそらく、犯人の仲間です。すぐに応援を。」


西川は無線で指示を出し、捜査班が一斉に動き始めた。志摩と伊吹もまた、その方向へ向かって慎重に歩を進めた。


「奴らを逃がすわけにはいかない。」伊吹が決然とした声で言った。


人影は廃工場の裏手に回り込み、そこで何かをしているようだった。志摩と伊吹は、周囲の物音に耳を澄ませながら近づいていった。そして、ついにその姿を確認する。


「動くな!警察だ!」伊吹が叫び、二人は一気にその場に突進した。


しかし、その瞬間、犯人たちはすぐに応戦しようとした。志摩と伊吹は、それを見越して動き、瞬時に制圧にかかった。緊迫した格闘の末、犯人たちは再び拘束された。


「終わったか?」伊吹が息を切らしながら確認した。


「いや、まだだ。」志摩はその場に立ち尽くし、遠くにぼんやりと浮かぶ都市の明かりを見つめた。「奴らが狙っているものは、もっと大きい…」


その言葉の通り、次の瞬間、NDSラボからの緊急通信が入った。「奈緒美さん、至急、電力会社のシステムに異常が発生しています。犯人の通信ログに基づくと、次の攻撃が既に始まっている可能性があります。」


「何だって…」奈緒美はその報告に驚愕した。電力会社のシステムが攻撃されれば、都市全体が暗闇に沈む危険がある。時間がない。


「私たちがすぐに動かなければ…」奈緒美は無線で指示を飛ばした。「西川班長、電力会社に急行してください。次の攻撃を阻止しなければなりません。」


「了解。すぐに向かいます。」西川もまた、その緊迫した状況を理解し、すぐに捜査班を指揮して動き出した。


夜はますます深まり、時間との戦いが激化する中、彼らは一刻を争う状況に追い込まれていた。都市全体が再び危機にさらされようとしている今、志摩、伊吹、そして奈緒美たちは、それぞれの場所で最善を尽くすために動いていた。

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