終の剣閃 ヴェロニカ編4 四聖三の剣 玄武


「四聖三の剣 玄武!!」



 ヴェロニカが刀を大きく縦に振るうと、とてつもなく大きな岩が隆起しながらこちらに向かってくる。片膝を付きスーツの冷却モードに入っている鋼鉄はなすすべもなく攻撃を受けるしかなかった。



「まずいっ!! 避けきれない!!!」



 攻撃が当たるその瞬間、鋼鉄の周りに薄いドーム状の膜のようなものが張られた。ヴェロニカは攻撃を塞がれ、後ろに大きくバックステップする。



「斥力反射フィールド展開。お手伝いいたします、マスター」



「助かった、レイン! 冷却モード終了まであと180秒ほどだ! 持ちこたえられるか?!」



「かしこまりました。マスター」



「機銃掃射、開始シマス」



 レインの右腕が突然、機関銃に変形し、ババババとヴェロニカを狙い撃つ。ヴェロニカは凄まじい剣捌きで銃弾を全て叩き切ってしまう。



「銃だと?! 卑怯な!! だが私に銃の類は効かん! ふはは!」



「マスター。ハイバーストビームの使用許可を下さい」



 ヴェロニカの猛攻に耐えながら淡々と鋼鉄に懇願するレイン。防御だけだとこの状況を打破できないと悟ったのだろうか。



「いかん! ハイバーストビームだと消し炭になってしまう! 使ってはだめだ!!」



 その時鎧の中からシステム音が聞こえてくる。



 鎧のシステム音)出力15%でのハイバーストビームならどうでしょうか、ご主人サマ。



「むぅ……四の五の言ってられんか……許可する! 出力15%のハイバーストビーム!」



「了解しました。ハイバーストビーム、出力15%で射出シマス」



 レインの腹部の射出口がカシャンと開き、ブウウウウと音を立ててエネルギーをチャージしていく。



「ハイバーストビーム、射出」


 白き一閃が宙を駆ける。亜高速に近い速度で射出されたそのビームはヴェロニカへ向けて一気に加速していく!


?!!


「ぬううううううう」


 ヴェロニカに放たれたビームは真っ二つに分かれ後ろへと放出されている。



「馬鹿なっ?! ビームを刀で切っているだと!」



「信じられません、マスター」



 ヴェロニカの離れ業に驚愕する二人。余程優れた名工が作った刀なのだろうか。それとも、ヴェロニカの技術がなせるものなのか、二人は想像もつかなかった。ビームの射出が終わると、ヴェロニカは嬉しそうにこちらに声をかけてきた。



「もう終わりか……?! 私の刀はなんでも切れるんだ! アハハハ!!」



「あの刀、余程の名工が打ったと見える」



「マスター、まさかあの刀は」



「ああ。レーンベッツ鋼で打たれた刀で間違いないだろう。普通の刀ならばハイバーストビームに耐えきれるはずがない」



 予想外の展開に少しワクワクしている鋼鉄は、戦闘中なのについコレクターである自身の本音がもれてしまう。



「その刀、良ければ名を聞かせてもらえないだろうか」



「秘剣、流れ星」



「流星……か。いい名だ」




「さて……時間稼ぎはもういいだろう! こんだけ待ってやったんだ! 速く立って私と戦え!」



「システム! あと何秒かかる!?」



 鎧のシステム音)あとおよそ60秒です。ご主人サマ。



「あと一分だ! レイン! もう少し持ちこたえてくれ!」



「かしこまりました。マスター」



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