終の剣閃 ヴェロニカ編3 四聖二の剣 青龍


「終の剣閃……朱雀二連!!」



「直撃魔法 破砕水牢!!」



 直撃魔法 破砕水牢を発動した鋼鉄は時空間制御ハイブースト(自身の鎧の時間を加速)と機動機甲術ブラスト・アーツを駆使しなんとかヴェロニカの腹部に一撃入れることに成功する。破砕水牢を受けたヴェロニカは体中の水分を操作され汗が止まらなくなってしまう。



「ぐはっ!! 直撃魔法だと?! ありえないっ! 魔法とは本来、遠距離から攻撃するもののはず! それをお前は……!!」



「私には、魔法の才はない。掌に魔法を集中することはできても、宙に放つことがどうしてもできなかった。できたのは掌に集めた魔力を直接、相手の人体に叩き込むことだけ……」



「それこそが、直撃魔法。私が考案したスキルだ。だが、このスキルには~」



「マスター」



 喋りすぎだと言わんばかりに鋼鉄の鎧の裾を掴むレイン。そのあまりの力の強さに、鎧がメキっと少し凹んでいた。



「うむ。そうだな、レインよ。少し喋り過ぎた」



「まだだ! 私はまだ負けていない! 四聖二の剣!」



「何が来ようともこの拳で応えるのみ……!」



「青龍!!」



 頭上に大きな青い竜が現れ、ヴェロニカの体を癒していく。折れていたアバラ骨もくっつき完全回復していた。手を大きく横に広げ嬉しそうに不気味な笑みを浮かべる。



「四聖剣にはこういう使い方もあるのだ……!」



「しまった!! 回復系のスキルか!」



 ヴェロニカに回復を許してしまった鋼鉄。すぐさま体勢を立て直そうとするが、ディフュージョンスーツから警告音が鳴り響く。



 鎧のシステム音)ディフュージョンスーツ負荷限界突破。冷却モードに入ります。



「ぬうっ! こんな時にっ!!」



 片膝を付き冷却モードの体勢に入る鋼鉄。体中から蒸気がプシュウウと噴き出し、仮面は上に上がり顔が露出している。



「好機! これでもう避けられまい! 四聖三の剣、玄武!」


「まずいっ!!」



 ヴェロニカの攻撃が鋼鉄に当たる瞬間、薄いドーム状の青い膜のような物が鋼鉄の周りに張り巡らされる。その鋼鉄の眼前には静かに、レインが凛とした様子で佇んでいた。



「お手伝いいたします。マスター」



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