終の剣閃 ヴェロニカ編1 神速の一太刀


 転移の扉を出ると、寂れた山道に出た鋼鉄とレイン。



「ここは……地球なのか?」



「似てはいますが、どうやら違う星のようです。マスター」



 鋼鉄のパートナーであるヒューマノイド型機械生命体レインが、空中に電子インターフェースを出し、画面をタッチしながらこの星の情報を調べていく。



「大気、磁場、共に地球とは違う数値を示しています」



「了解した。レイン、まずは街の酒場に行きヴェロニカの情報が欲しい」



「かしこまりました。マスター」



 と、レインが返事をした瞬間だった。




「その必要はない」



 突然後ろから低い女性の声が聞こえた。その声には確かに殺気がこもっており、こちらをひたすらににらみ続けていた。姿は日本風のサムライのような恰好をしており、腰には2刀の長刀を差している耳の長いダークエルフだ。



「必要はないとはどういうことだ、まさか君がヴェロ~」



 そう鋼鉄が声をかけようとした刹那、向けられていた殺気がゆらりとうごめく。謎のサムライダークエルフが突然切りかかってきたのだ。



「神にすら届きうる神速の一太刀、貴様に避けきれるかっ?!」




 ーーーーー?!!




 鋼鉄のディフュージョンスーツからプシュウウと蒸気があふれ出し、赤熱している。首に向けて横なぎに払われた一刀は鋼鉄の3本の指でピタリと止められていた。鋼鉄の腰に付けられているヒーローベルトの表示パネルにはハイブーストの文字が浮かんでいた。刀を握っているヴェロニカの両手がわなわなと震えている。




「馬鹿なっ?!! 私の神速の一太刀を止めたというのか?! たった3本の指で!!」



「助かった、レイン。鎧を外部から操作したのか」



「私が鎧のスイッチを入れるのがあと0,5秒遅れていたら、キケンでした。マスター」



 淡々としゃべるレインをよそに、鋼鉄は扉をくぐって転移してくる前のウィディア神の言葉を思い出していた。



『剣閃……剣士か』



『ぬふふ~そうとは限らんぞい? ま! 向こうに行ってから確かめるんじゃな~!』



「のじゃロリめ、扉をくぐる前からわかっていたな」




「さて、こちらから自己紹介させてもらおうか、私は鋼鉄のレインの、鋼鉄。こっちはレイン。私の最高傑作だ」



「ハジメマシテ。マスターの最高傑作である、ヒューマノイド型機械生命体の、レインでございます」



 スカートを両手ですこし横に引っ張りお辞儀をするレイン。



「終の剣閃、ヴェロニカだ。貴様ら一体何者だ……何もない空間から突然現れおって!」



「突然切りかかって来たから何かと思えば、君が終の剣閃、ヴェロニカなのか。しかし、こんなに早く出会えるとは思わなかった。好都合だ。君が星のチカラの継承者かどうか、見極めさせてもらう」



 鎧のシステム音)ハイブースト、ロウブースト、ダブルブーストが使用可能デス。



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