第3話 鬼集め
あやかしたちはかつて名のある四人のお祓いたちによって封妖の地に封印された。しかし、封印は時間の経過とともに弱まり、あやかしたちは封印を逃れるに至った。
遺物に身を潜める鬼。
それが私の中にいるあやかしだ。
鬼は何らかの遺物に憑依し、現世を動き回る。そうして取り憑く人間を品定めした後、その人間の中に入る。
私はまだ取り憑かれていない。この状態はまだ取り憑かれた状態ではないらしいのだ。
ではどうなったらヤバいのかというと、彼いわく角が生えてきたら本格的にヤバいらしい。
目が赤色に変わったことに関しては特に問題ないようで、身体に入られたら誰でも起こる現象らしい。
その証拠に、蒼鬼を宿す彼の目も青かった。
外間緋月はもう七年も鬼を追っているらしい。
鬼は紅、蒼、白、黒の四体いる。すべての鬼を集め、再度封印し直すことが彼の目的で、学校に来られないのもそれが理由だと言っていた。
私としてはそんなこと勝手にやってくれれば良いのだが、しかし、鬼を封印するためには私の協力も必要だった。
その理由は私が紅鬼を宿してしまっているからだ。
鬼の封印はすべて一度に行う。言い換えれば、すべての鬼を一度で封印しなければならない。そのため、紅鬼を身に宿す私も必然的に彼と同行し、封印時に同伴する必要が出てくるわけなのである。
迷惑極まりない話だった。鬼が勝手にやって来たのに、その後処理を無関係な私がやらされるのだから。
けど、彼に協力するのを断る選択肢も私には無かった。私も、紅鬼には出ていって欲しかった。
無味無色の人生とか言ったことは本当に撤回する。私の人生にこんな色は必要なかった。
その日は家に帰ってからもしばらく吐き気がした。
腹を貫かれたのは夢ではなかった。私の中に得体の知れないモノがいることが分かってしまった。その事実に、ただ嫌悪しかなかった。
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