シュレディンガーの宝箱
「こら、そこ! 勝手に進むな! 整列だ整列! 初心者用と言ってもここはダンジョンだぞ、一瞬の油断が命取りだ」
揃いのジャージを着た学生とおぼしき集団が石畳の広間に集合していた。
各地に
「先生! 第二班も揃いましたぁ」
「よし、それでは初のダンジョン実習を始める。まずは、魔力酔いの奴はいないか?」
どうやら教師らしき男性が見回すも特に気分を悪くしたような生徒はいないようだ。
「予習してきた奴は知ってると思うが、ここは通称『
「え?! 不人気なんですか……宝箱出そうなのに。あ、もしかして名前だけで全然でないとか?」
「いや、宝箱は出るぞ。ドロップ率もかなり高い」
そういうと近くを這っていたドロドロの塊のようなスライムを踏み潰す。
「おおぉっ!」「え、マジ?!」「宝箱じゃん!!」
どこからとも無く木でできたいかにもな宝箱が現れた。
「お、出たな。このように、ダンジョンではモンスターを倒した時に宝箱が出ることがある。この宝箱を誰が用意しているのか等は色んな説がある。ダンジョン自体がモンスターであり餌として用意しているとか、【
「あ、聞いたことある」「全部眉唾ものだよな」「で、何が入ってるんだ?」
「お、中身が気になるか。ちなみに、この宝箱だが、持ち運ぼうとしたり、壊そうとすると中身ごと消えるから気をつけろ」
宝箱、および、その中身は
「まあ、気になるだろうから誰か開けていいぞ。この階の宝箱には罠もないしな」
全員参加のジャンケンが行われ、代表者が宝箱を恐る恐る開ける。
「……箱?」
「箱だな。このダンジョンでは宝箱を発見して喜ぶ人々を見て喜ばれるアイテムとして箱が出るようになったと考えられている……」
―― 解説 ――
元はKAC2024 第3回 お題「箱」として投稿しました。
https://kakuyomu.jp/works/16818093073330110851
KAC2024用のため、元の小説は800字丁度となっています。
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